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「今よりもっと上を目指したい」というモヤモヤ。嫉妬心との付き合い方。【劇団雌猫 愛と浪費のおなやみ劇場 vol.6】

「今よりもっと上を目指したい」というモヤモヤ。嫉妬心との付き合い方。【劇団雌猫 愛と浪費のおなやみ劇場 vol.6】

平成元年生まれのオタク女子4人組からなるグループ「劇団雌猫」が、オタク心を持つアラサー読者の日頃の悩みをズバっと解決。応募フォームに集まった人生相談にメンバーである、かんさん、ひらりささん、もぐもぐさん、ユッケさんが月替わりで回答します。前回のお悩みはこちら。

質問

今月の相談者:こぶたさん

「劇団雌猫の皆様、いつも楽しく拝見しております。雌猫世代(平成元年生まれ)の女ですが、私の悩みは“いつもなんとなく満ち足りない”ことです。実家にローンはないけど裕福ではないし、国立大学は出ているけどそこまでいい大学じゃないし、安定した公務員だけどもっと稼いでる人はザラにいるし、貯金はあるけど1000万には届かないし、現場は楽しいけど地方住みで全通はできないし、結婚はしてるけど理想の人じゃないし..…。というような、声にならない漠然とした満ち足りない気持ちがよくココロに芽生えます。私はどうしたらいいんでしょうか?」

 

劇団雌猫からのアドバイス

今月の回答者:かんさん、ユッケさん

劇団雌猫

 

ユッケ 今月はユッケ&かんコンビでお届けします!うーん、すごく私たちっぽい悩みだ。私とかんちゃんも、よく漠然と「もっと高みを目指したい……」って話するよね。

かん する(笑)。他人から見たら贅沢な悩みってわかってはいるから大声では言いづらいんだけど、普通に真剣な悩みなんだよなぁ。

ユッケ うんうん。相談者さんも、他の人が見たら充分羨ましい状態な気もするよね。絶対私より貯金あるだろうし……結婚もしてるし……(笑)。

かん これって、本人の「嫉妬」と切り離せない悩みだと思うんだけど、どうかな?

ユッケ 詳しくお願いします。

かん このお悩みからひも解くと、質問者さんはたぶん、実家が大金持ちで、ハーバード卒で、年収3000万以上、貯金も1000万以上あって、都内に住んでて、超理想の旦那と結婚してる……という架空の存在に嫉妬してるんだよね。その架空の存在と比べたら自分なんて……と失望している。

ユッケ その気持ちは確かによくわかる。私も、「頭の中で思い描いている、本当はこうなれたかもしれない自分」に嫉妬してると感じることはあるなぁ。

かん オルタナティブユッケにね。

ユッケ かんはどういう人に嫉妬するの?

かん 私は構造上の強者に嫉妬しますね。土地を持ってて一生働かなくてもお金持ちとか、努力と関係ない生まれながらの強者に。

ユッケ そういう人になりたいと思う?

かん 思う。でもなれないじゃん、現実的に。だから私は、最近は嫉妬心をコントロールすることに命を懸けてる。かなり難しいんだけど、ひとつひとつ、自分が今いかに幸せなのかってことを見つけてそれを味わうの。相対的にではなく絶対的に、自分の幸せを評価する。

ユッケ 解脱っぽい!もっと詳しくやり方教えて。

かん まず、想定しうる最悪な、未来の自分の状況を思い浮かべるのね。「いやだ!!!こんなのつらい!!!」って気持ちになるオルタナティブな自分を、できる限りリアルにイメージする。で、その未来の自分になりきって、今の自分を思い出す。そしたら、今の自分にめちゃくちゃ感謝できる。

ユッケ 思ったよりつらいやり方だった……!そこまでやって得られる幸福感、真の解脱って感じする。でもちょっと待って。私は嫉妬の鬼なので、正直その考え方、めちゃくちゃ難しそうなのですが……?

かん 難しいよ!しかも、向上心が薄れるという副作用もあるわけですよ。今の自分をあまりに認めると、今がゴールになっちゃって、高みを目指さなくなる。でも、競争社会に生きてる以上、どうしても向上心はあった方がいいじゃん。だから、嫉妬に燃えてるユッケがまぶしいんだよ。

ユッケ あ、ありがとう……(笑)。私は実家が九州の田舎の方にあって、それがかなりコンプレックスだったんだよね。だから「絶対将来は東京に出て、一旗揚げてやる!」と思ってて。でも、いざ東京の大学に入ったら、都内に土地持ちとか、親が医者で裕福とか、“東京人”の中でもさらに恵まれてる人がたくさんいて、次の目標が「絶対この人たちより稼ぐぞ」になった。

かん キリがないな。

ユッケ で、稼ぐために会社に入ったら入ったで、自分がやりたい案件をやってる同期とか、自分より仕事ができる先輩とかに嫉妬して「この人たちより成果上げるぞ」と思って転職して……よく考えたら、常に嫉妬心でここまで生きてきたわ。

かん 潔い!(笑) 嫉妬と向上心は紙一重なんだよね。嫉妬をプラスの力に変えられる人は、頑張れる。

ユッケ 嫉妬してるだけで行動に移さない人はつらくなっちゃうのかな。だから、もし質問者さんが「今よりもっと上を目指したい」という方向のモヤモヤを抱えていたら、満ち足りない気持ちを爆発させて、行動に移してみるといいのかも。

かん でも、具体的に何をすればいいんだろう?

ユッケ うーん。どんな簡単なことでもいいから、理想の自分に今より近づけることを、とりあえず一個やってみるとか?例えば質問者さんの場合だったら、ちょっと買い物を我慢して目標額まで貯金してみるとか、逆に今の貯金を切り崩してでも、推しの舞台に全通してみるとか……。

かん ふむふむ。

ユッケ そうやって一個ずつ試していくと、「この生き方は自分に向いている」「向いてない」の判断ができるようになって、ゴールまでたくさんある道筋がどんどん絞られていく気がする。

かん あと、やってみて満足することもあるしね。例えば「ブランドもののバッグがたくさん欲しい!」と思ってる時に、一個買ったらスッと欲が消えたり。

ユッケ うんうん。

かん 逆に「行動するほどじゃないけど、モヤモヤしてる……」っていう場合は、私のやり方で解脱してみることをお勧めする。今の自分が持っているものを探して、慈しんで!

ユッケ 仏門か、修羅の道か……(笑)。自分に向いていると思う方のアドバイスを、参考にしていただけたら嬉しいです!

 

☆次回はひらりさ・もぐもぐが登場します☆

あなたの悩みも聞かせてね。投稿フォームはこちら

劇団雌猫 げきだんめすねこ

平成元年生まれのオタク女4人組(もぐもぐ、ひらりさ、かん、ユッケ)。2016年12月にさまざまなジャンルのオタクがお財布事情を告白する同人誌『悪友vol.1 浪費』を刊行し、ネットを中心に話題となった。2017年8月には『浪費図鑑』(小学館)として書籍化。現在はイベントや連載などに活動を広げながら、それぞれの趣味に熱く浪費している。
Twitter:@aku__you

Illustration: Maiko Sugiyama Edit: Karin Ohira

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