21 Apr 2021
スタイリスト/二村毅が熱中している趣味の話。頭脳戦の駆け引きを楽しむ「将棋」

好きなことを話すとき、人は一番いい顔になるのではないでしょうか。男性に愛してやまない趣味の話を思う存分語ってもらいました。気になったら始めてみるのもおすすめ。今回、GINZAガール・佐藤綺さんが気になるメンズカルチャーの世界に潜入レポート! カルチャー道場へ、いざ入門。#僕らが熱中している趣味の話
二村 毅
スタイリスト
「将棋」
自由が丘の古桑庵にて、中庭を眺めながら対局。「最近は桂馬の評価が上がってきていて、上手く使う人が多いんだよね」と、二村さん。
頭脳戦の駆け引き。さらに先の一手を読むべし
二村(以下二) 将棋は指したことある?
佐藤(以下佐) 実はなくて…。超初心者ですみませんが基本から教えてください!
二 そっか。じゃあ、もう実戦で学ぶのがいいね。説明しながらやっていくよ。まず、歩は前に1マスしか進めないの。だから一番弱いとされている。強い駒の代表である飛車は縦と横に、角は斜めにずっと動ける。
佐 なるほど…!桂馬は唯一跳び越えることができるんですね。
二 そして、前進していって相手の陣地に入ると成って(ひっくり返して)、歩は金の動きができるようになる。
佐 なんだか、変身みたいですね(笑)。
二 将棋って名人戦では1人9時間ずつ持ち時間があるから一手に2時間かける人もいる。その代わり、次の次の手を先読みしないと簡単に負けてしまう。上手い人はもっと先まで読むけど。その駆け引きが醍醐味だし、僕が熱中する理由だね。
佐 戦法とかもあるんですよね?
二 もちろん。王を頑丈に守るために、金や銀で囲ったりする戦術がたくさんある。昔はみんなそういう戦い方で、一局の中に序盤・中盤・終盤の物語があったんだよね。でも、最近はオンライン対戦とかが広まって、いかに早く詰ませられるかが主流になってきているかも。…あ、王手!これは、どう対応する?
佐 横に動かして回避?
二 そしたら、僕も同じように動いて、もう一回王手ができる。でも、王手と逃げの堂々巡りになるでしょ? これには千日手っていう名前がついてるの。同じことを4回繰り返すと、最初から指し直しになるっていうルール。自分の状況が悪くなったら、千日手に持ち込むこともあるんだよ。12年の王座戦での渡辺さんと羽生さんの千日手局が有名だね。観てて感動したもん。
佐 将棋って深い…。
二 まだまだ面白さの入り口だよ。人それぞれの個性が戦い方に出るのも魅力かな。僕は帰省したときに兄とやるんだけど、昔から全然勝てない。緻密な将棋が上手くてね。そんな家族の恒例行事みたいな時間がいいんだよね。これで詰むかな。王手!
佐 ええ〜、負けました…。もう一回お願いします!
右が二村さんで、左が佐藤さん。ハンデで駒落ち戦にしてくれたものの、到底敵わず。「角で攻め入っちゃうよ!」(二村)
COMMENT
対局中に教わった「桂(馬)の高跳び歩の餌食」という将棋の格言も興味深かったです。早速、アプリ「将棋ウォーズ」をダウンロード。なかなか勝てませんが、相手との攻防戦はドキドキします。
対局中に教わった「桂(馬)の高跳び歩の餌食」という将棋の格言も興味深かったです。早速、アプリ「将棋ウォーズ」をダウンロード。なかなか勝てませんが、相手との攻防戦はドキドキします。
二村 毅 にむら・つよし
1970年愛知県生まれ。雑誌や広告などで活躍。最近はスケートに夢中で、駒沢公園に足しげく通う。好きな棋士は羽生善治。「先日の竜王戦は、羽生さんが豊島さんに52手で負けたのが衝撃でした」
Photo: Taro Hirano Text&Edit: GINZA
GINZA2020年12月号掲載