05 Jun 2019
マスタードディスペンサーが洗剤入れに。ニット作家中村須彌子さんの愛用品:暮らしの定番品

部屋も心も、すっきり快適に過ごすための定番品は、“自分にとっての使い心地のよさ”を基準にまず考えよう。中村須彌子さんの愛用品インタビュー。
マスタードディスペンサーとほうき&ちりとり
CLEANING TOOL
洗剤と石けんをケチャップ・マスタードの容器に移し替えて使うのは、NYのニュー・ミュージアムのカフェで見たアイデアから。液体クリーナーなどはラベルをはがして。
「広さよりも別の部分を優先していると、引っ越しのたびに部屋が狭くなってきて、結局使わないものは捨てることに。掃除機はフローリングだと不要なので処分しました」。中村須彌子さんは、子どもの頃に掃除好きの両親から部屋をきれいにすることを習慣づけられた。「物がたくさんあっても片付いている人は管理がうまい人。私はいっぱいあると片付けられないタイプで、新しいものはあまり買わずに物を減らす方向へとシフトしてきました」。
ワインボトルと脚の折れた花器でペーパーホルダーに。ボトル目当てでワインを買うことも。ティッシュはガラス器に収納しつつ使う。花はピンときた一、二輪を飾って。
制作中や日常を過ごすのに苦手なものが目に入ると気になって、メンタルに影響することも。精神的に良いコンディションを保つため、納得のいくものだけで部屋を構成している。「ギャラリーのイメージで物と物との間を空けて置いていると、詰めて並べているよりホコリや汚れが目立ちます。それで気になってまめに掃除をしますね」。
幼い頃にもらったおもちゃのほうきとちりとりは黒く塗り直して使用。
デザインが主張するものに囲まれると疲れるから、洗剤やハンドソープはケチャップ・マスタードのディスペンサーに移し替えたり、大好きな花はワインボトルに飾ったり。そういうありふれたアノニマスな容器で整えるのが中村さんのスタンダード。独自の美意識が行き届いたコンセプチュアルな空間は、まるでひとつの作品のように輝いている。
中村 須彌子 なかむら・すみこ
ニットアーティスト。1981年生まれ。大学在学中よりニットレーベル〈CIANSUMI〉をスタート。ブランドとのコラボレーションや作品展示を行う。次の展示会は6月予定。
Photo: Akiko Baba Text&Edit: Akane Watanuki
GINZA2019年6月号掲載