クリスマスイブを教会で過ごしたこと、ある?私は数年前に友人に誘われてから、仕事が忙しくても、クリスマスにはミサに行こうと思うようになった。礼拝に行ったことない人でもOK。誰でも優しく迎え入れてくれるから。
カトリック東京カテドラル関口教会では、毎年クリスマスと新年を祝う礼拝が行われる。ホテル椿山荘東京の目の前にあるここは、どの駅からもまあまあ距離がある。だから、いっそのことタクシーを拾ってさっと乗りつけるのがおすすめ。行先を聞かれて、「東京カテドラルまで」と口にする自分に少し酔ったりもできる。到着し、賛美歌の歌詞が書かれた冊子をいただいて、中に入る。大きな空間はすでに人でいっぱい。後方には立っている人もいて、さながらライブ会場のようだ。
この教会は、自身もキリスト教信者であった建築家・丹下健三の設計による。地面から緩やかな円弧を描くように、天に向かってすうっと伸びる壁。雄大な形と、天井や壁の隙間からこぼれる光の美しさは他に類を見ない。打ちっぱなしのコンクリートでできた壁の表面には、セメントを流し込む型枠用の板の木目がレリーフのようについていて、荒々しさと同時に木の温もりも感じる。実はこの建物を上から見ると十字架の形をしている。地上からは目にすることの叶わない場所に十字架を置くなんて、なんと洒落たデザインだろう。
ミサの始まりが告げられ、あたりはしんとする。神父様のお説教と感謝の言葉の合間、オルガンの伴奏に合わせて賛美歌を歌う。大人になると合唱はめったにしないから、みんなで歌うのはすごく新鮮で楽しい。束の間の一体感と、洞穴の中のようでもある空間があいまって、目に見えない何か大きなものに包まれているような気持ちになる。
クリスマスはキリストの生誕を祝う儀式。同時に、1年を振り返る節目でもある。ミサで歌う感謝の気持ちは、素敵な1年を迎えるためのおまじない。さあ、今年も歌いに行こう。