スタイリッシュな服を生み出しているからには、きっとそのアトリエもすてきなはず。そんな期待を胸に秘め、東京を 拠点としているブランドの仕事場へ。そこには、各々の視点でこだわり抜いた空間が広がっていた。1300年近くの歴史を持つ神田明神。 その境内の脇を入った奥に見えてくるのが 1968年竣工の「千代田中央ビル」だ。 そこで今、2つのブランドが隣同士で仕事をしている。
2007年設立。ノスタルジックさと過剰さが入り混じるものづくりでつねに見る者を驚かせている。デザイナーの山縣良和は「ここのがっこう」も主宰する。
以前のオフィスが入っていたビルが取り壊しになることから2016年6月、アーティストの中村政人さんの紹介で入居した。山縣さんは、近くの湯島聖堂付近を散策してリフレッシュしたり、インスピレーションを求めて自転車で神保町に向かい、好きな古本屋巡りをすることもある。
「移転したとたん、スタッフの恋が突然実ったり(笑)、東京都庭園美術館の展覧会に参加してショーを行うなど大きなプロジェクトに携わらせていただくことが増えました。きっと神田明神のおかげです(笑)」
時折つながりのあるセントラル・セント・マーチンズ芸術大学からインターンを受け入れることもあるが、基本的にコアなメンバー数人でオフィスを使用する。置いてある家具はほとんどが白。中には山縣さん自ら塗装したものもある。
「ものづくりをする空間は全部白にしたくなるんです。もっとクリーンにするのが理想です」
山縣さんはプレスルーム奥にある白いデスクで作業する。画用紙に布を貼り、ペイントするコラージュからコレクションを始めることが多い。
多岐にわたる本は背にジャンルごとに色分けされたシールが貼られている。ところどころにキッチュな小物もディスプレイ。
2018年春夏のシューズをデザインするにあたり作ったムードボード。
昨年10周年を迎えた〈ミュベール〉のデザイナー中山路子が手がける。シーズンを設定せず、ベーシックなカラーで展開。ブランドのイメージムービーもある。
〈ミュベール〉デザイナー中山路子さんが手がける新ブランド〈M〉を取り扱うアポイント制のサロン兼ギャラリー。昨年6月にオープンした。この場所を選んだのは、ブランドショップが多く集まるエリアとはまったく異なる隠れ家的な雰囲気に惹かれたから。天井を抜き、壁を白く塗装するなど、大幅に改装した。ブランドコンセプトは、自らを取り囲む人、もの、ことを引き立てる奥ゆかしい服。空間もその理念に共鳴している。
白い空間にヴィンテージ風のゴールドのラックが静かに並べられている。ブランドのテーマ「境界は存在しない」に合わせてドアや仕切りにマジックミラーを貼り広がりを見せている。
中山さんの私物が置かれたコーナーも。
東京都千代田区外神田2-16-2 302
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