ちゃんと息抜きできてますか?忙しい毎日から少しはなれてリフレッシュするのも大切。遠出でも近場でもできるみんなの“私ならではの旅”を集めました。GINZAMAGでも連載を持ち「Magazine isn’t dead. 」を主宰する高山かおりさんの場合は?
ホットな夏は図書館巡りでクールダウン。穴場の4スポット:高山かおりさんならではの旅
突然ですが、図書館って利用しますか?私は半日過ごすなんてこともざらにあるくらい、大好きです。利用目的は職業柄、資料探しがメインではありますが、それだけではない通いたくなる理由があるんです。公立の図書館や美術館に併設のライブラリー、企業が運営する場所まで、都内を中心に攻め続けること100カ所以上…(もはや数えていません笑) その中から特にGINZA読者の方におすすめしたい場所を紹介させてください。暑い夏、いざ図書館で涼みながら楽しむ旅へ!
雑誌を通して知る世界の楽しさ
世界中の雑誌が楽しめる場所、それは都立多摩図書館です。「東京マガジンバンク」とうたい、雑誌の専門サービスを提供する珍しい図書館です。一般誌から専門誌まで世界中の約18,000誌を揃えていて、一堂に並ぶ様は圧巻。中には、パキスタンやレバノンなど一般書店ではほとんど見かけないものもあり、雑誌を通して異文化に触れることができます。そして見逃せないのが、趣向を凝らした展示スペース。司書の方の雑誌愛をひしひしと感じられ、雑誌好きの私にとってはいつ行っても本当に楽しいです。ブレイクタイムには、入口のカフェ「キイニョン」で美味しいパンを。
「都立多摩図書館」住所: 東京都国分寺市泉町2丁目2-26
www.library.metro.tokyo.jp
美と粧いと女性の歴史を学ぶ
化粧を美しさの文化と捉え、1976年から活動するポーラ文化研究所。その蔵書約16,000冊を閲覧できるのがポーラ化粧文化情報センターです。さすが化粧品メーカーの資料室と思わず唸りたくなるのが、ユニークな棚割り。「美人観・人相」「よそおいと心理学」「扮装(舞台・映像)」「芸術、文学とよそおい」など約20の切り口で紹介。「お歯黒」なんて分類もあります。本だけではなく、入口にはまるでドレッサーのような可愛らしい展示スペースが。8月末までは、モダニズムの化粧をテーマにミニ展示を行っています。また、SNSなどでも積極的に情報発信。化粧の歴史から現代女性の化粧に向き合う思いなど、化粧文化を身近に感じられる内容です。
「ポーラ化粧文化情報センター」住所: 東京都品川区西五反田2丁目2-10 ポーラ第2五反田ビル1F ポーラ文化研究所内
www.cosmetic-culture.po-holdings.co.jp
※開館は毎週水曜のみなのでご注意を
ユニークな体験型展示と本棚
世界的にも珍しい広告に特化したミュージアム、アドミュージアム東京をご存知でしょうか?日本で唯一の広告コミュニケーションに関する専門図書館を併設する、デジタル展示を多く取り入れた体験型の施設です。タッチパネルに触れながら日本の広告史をユニークに知ることができます。「十返舎一九さんに聞く。文章で食べていく秘密。」というように、江戸時代の広告界のスターたちのサクセスストーリーを現代風に解釈したデジタルモニターや会場の中心に次々と表れては消えていくロマンチックな言葉たち、脳をイメージした視聴ブースなど、まるでアトラクション!デートにもおすすめです。ひと通り楽しんだ後は、階段を上ってライブラリーへ。広告にまつわる本と雑誌を国内外問わず揃えているのですが、三角のスペースのリコメンドコーナーが見逃せません。オープンな雰囲気にフォトジェニックな絨毯の模様…明るい空間で展示の余韻に浸るとなんだかアイデアが湧いてくるんです。不思議。身体で楽しむって大事なんですね。
「アドミュージアム東京」住所: 東京都港区東新橋1-8-2 カレッタ汐留
www.admt.jp
六花亭が好きすぎて。
なぜここにきて六花亭?!と思ったみなさま、期待を裏切ってすみません(笑)。六花亭が運営している食の図書館があるんです。場所は札幌市は真駒内、中心部から地下鉄で南下することおよそ20分、そして歩くこと10分。住宅街の中に蔦の絡まる建物が現れます。それが、六花文庫です。六花亭はお菓子の製造・販売メーカーですが、文化活動に熱心な企業でもあります。本社がある北海道・十勝には六花亭が運営する美術館やコンサートホールもあり、児童詩誌『サイロ』も発行しています。そんな背景から、食にまつわる約8000冊を所蔵する図書館を開設したのは自然な流れといえるでしょう。広い窓から陽が差し込む室内は本を読むのに最適な空間で、喫茶メニューとしてコーヒーのみを提供。もし訪れる機会があれば、この場でぜひ読んでほしいのが『お菓子の街をつくった男』という本。創業者小田豊四郎の物語です。泣けます。
「六花文庫」住所: 北海道札幌市南区真駒内上町3丁目1-3
www.rokkatei.co.jp
読書のお供にアプリのすヽめ
最後に、「図書館日和」というアプリのおすすめをさせてください。実は今までこのアプリを使っている人に出会ったことがないのですが(笑)、図書館で資料を探したり、ウェブでの予約手続きが簡単にできて超便利なんです。和書の読書管理は全てこちらでしています。他に私が重宝している機能は、読書メモを残せること。その時に感じたことや簡単なあらすじなどもとりあえず記録。いわゆる読書ログを貯めています。まだまだおすすめしたい図書館はたくさんあるのですが、それはまたどこかの機会に。ぜひ図書館巡りを楽しんでもらえるとうれしいです。
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高山かおり
独断と偏見で選ぶ国内外のマニアックな雑誌に特化したオンラインストア、Magazineisn’t dead. 主宰。本業は、東京と甲府の2拠点で活動するライター、編集者。生まれも育ちも北海道。セレクトショップ「aquagirl」で5年間販売員として勤務後、都内書店へ転職し6年間雑誌担当を務める。4歳からの雑誌好きで、国内外の雑誌やZINEなどのあらゆる紙ものをディグるのがライフワーク。「ずっと行きたくて未だ行けてない図書館を一つ挙げるとすると、秋田県にある国際教養大学中嶋記念図書館。眠らない図書館として一躍有名になりましたが、建築も気になっています。図書館はワンダーランド!」