こんにちは。エディター天野です。恥を忍んでぶっちゃけ告白しますと、私、ロンドンに来るまではデイヴィッド・ホックニーを存じませんでした。20世紀の英国を代表するアーティストを知らないのか、と英国人にお叱りを受けてしまいそうですが。。。
そんなビギナーな私にぴったり(もちろん大ファンの人は必見!)のエキシビションが開催中のため、いざテート・ブリテンへ。彼の80歳を記念した過去最大規模の大回顧展となっていて、60年に及ぶ創作活動の一部始終を見られる絶好のチャンスということもあり、チケットは売り切れ必至。当日券もあるけれど、絶対に見たいなら事前予約を強くおすすめします。
デイヴィッド・ホックニーは1937年生まれの英国人アーティスト。ロイヤル・カレッジ・オブ・アート在学中より活動をスタートし、60年代半ばにLAへ移住。2006年に英国へ戻るも、2013年再びLAへ拠点を移し、現在もLAで暮らす。一度見たら忘れがたい独特なタッチと色使い、作品に負けず劣らず存在感のあるルックスとスタイルがなんとも印象的。60年代のポートレートなんて本当にお洒落!!
今回のエキシビションは時間軸に沿って作品が展示されているので、住んでいた環境や人間関係(彼がゲイであることは周知の事実)、どんな表現技法にチャレンジしてきたかという変遷がとてもわかりやすい。LAに移住したあとの鮮やかな色使いとか、絶対に英国に住んでいたら描けないだろうなぁとしみじみ。
60年代後半は屋外、特にプールの絵を描くことが多く人気の作品となっている。この頃、水やガラスといった透明のものを、どう2次元の絵の中に表現するかということにこだわっていたとか。なぜ裸?という答えの出ない素朴な疑問をいっぱい思い浮かべながら、作品を見るのも楽しいもの。
エキシビションのポスターにもなっている、代表作のひとつがこちら。
説明によると、ジャケットを着てプールを覗いているのは元恋人でアーティストのピーターで、水中を泳いでいるのはホックニーのアシスタントだそう。
彼の作品はポップアートの部類に捉えられることも多いけれど、やっぱりドローイングやデッサンが本当にうまくて、基本がしっかりとあるからいろいろな表現スタイルを実験できたのだなぁと思う。
デザイナー、オジー・クラークのポートレート。
彼の興味はペインティングだけにとどまらず、写真を使った作品にこだわった時期も。複数の写真をコラージュし、視点の多様さを表現した作品群は、最初はポラロイドを使っていたけど、白枠がどうしても嫌で最終的には35ミリのフィルムに行き着いたとか。
2000年に入ってからは、ビデオやiPadを使った作品など、表現を広げるため様々な新しいメディアにもチャレンジ。2013年頃、アシスタントの事故死をきっかけに、ショックで一時活動を休止していたそうだけれど、時間を経て創作意欲が復活。最新作としては2016年のものまで展示されていて、ホックニーの歴史がまさに一堂に会した見応え充分のエキシビション。5月29日まで開催中なので、ロンドンに来る機会があればぜひ溢れんばかりのホックニーのパッションに触れてみてください。
http://www.tate.org.uk/whats-on/tate-britain/exhibition/david-hockney
ロンドンは美術館が特別展示ではない限り、基本無料というのがいいところ。英国美術に特化したテート・モダンも常設展と建物の美しさだけでも充分楽しめますよ。
おまけ。
他にもおすすめのエキシビションが目白押し。
★ヴォルフガング・ティルマンズ at テート・モダン
ロンドンとベルリンを拠点に活動するドイツ出身の写真家、ティルマンズのエキシビション。現在開催中で会期は6月11日まで。
http://www.tate.org.uk/whats-on/tate-modern/exhibition/wolfgang-tillmans-2017
★バレンシアガ at V&A博物館
「クチュール界の建築家」と呼ばれたクリストバル・バレンシアガ。ブランド創設100周年を記念した回顧展。会期は5月27日〜2018年2月18日。
https://www.vam.ac.uk/shop/whatson/index/view/id/4741/event/Balenciaga–Shaping-Fashion/dt/2017-05-27/free/2