07 Jul 2017
ヴィヴィアン・ウエストウッドからの愛とパッション溢れるメッセージ エディター天野志穂のLONDON 13

こんにちは。エディターの天野です。6月中旬は2018年春夏ロンドン・メンズ・ファッション・ウィークでした。そのときお邪魔したヴィヴィアン・ウエストウッドのショーのパワフルさたるや。英国モード界のクイーンの存在感たるや。改めて心から思いました。「ファッションはパッションだ!」と。
デザイナーとしてのヴィヴィアン・ウエストウッドのキャリアは説明不要かと思います。ちょっと補足するなら、英国において彼女は環境保護活動家としての一面もあり、2015年にはシェールガスのフラッキングに反対し、当時の首相デイヴィッド・キャメロンの地元選挙区に戦車で乗りつけた、なんて逸話も。自身のコレクションで恐れることなく堂々と政治的意志表明をし、問題提起することもしばしば。
6月12日に行われたヴィヴィアン・ウエストウッドの2018年春夏のメンズ&ウィメンズ・コレクションのタイトルは“We are Motherfucker”。さっすがパンクの女王。会場はマリルボーンにあるレジャーセンター(体育館みたいな感じ)で、ライブ演奏にあわせ歩くのは、本物のモデルと何とサーカスのメンバー。
踊り出ながらウォーキングするモデルもいれば、こんなアクロバティックなパフォーマンスも!
コレクションに象徴的に使われているトランプのマークにはそれぞれ以下のような意味が。
ハート=Love, Free World & IOU
ダイヤ=Greed, Rot$, Propaganda
クローバー=War
スペード=Giants like Shell and Monsanto who rape the Earth
そして、ヴィヴィアンの環境活動家の一面が色濃く出たのが、網タイツのルック。そこに挟まれているのは、我々が使い捨てている空き缶やプラスティックの蓋などの決して自然に還ることのないゴミ。
そうだった。こういった地球環境への熱く、愛溢れるメッセージをコレクションで力強く伝えるのがヴィヴィアンだった、と再確認。もちろん、ファンを魅了しつづけるテーラリングの美しさやドラマティックなデザインも健在。
フィナーレでは、肩車に乗りブーケを片手に本人登場。なんてパワフルでパッション溢れる76歳!! 頭が下がります。
ショーのリリースの最後には
“Buy Less Choose Well, Make it Last”
(よく選び、必要なものだけを買い、長持ちさせること)
というヴィヴィアンからのメッセージが。
売れるものをデザインし、量販するブランドが溢れる昨今。服を買うということは、デザイナーの心意気を買うということ、と肝に命じたコレクションでした。
ヴィヴィアン・ウエストウッドのSS18コレクションはこちらから。
http://www.viviennewestwood.com/en-gb/content/vivienne-westwood-ss18

天野志穂
Shiho Amano
エディター&ライター。出版社の雑誌編集者だった2013年、ロンドンに住むチャンスに恵まれ、二つ返事で渡英。以降、フリーランスとして活動中。ヨーロッパではこの時期になるとホリデーの話でもちきり。フランスやイタリアに比べるとイギリス人の夏休みは2週間くらいと短いけれど(注:個人差あり!)、日本人からしたら充分羨ましい。よく働いて、よく遊ぶ。オンオフの切り替えは心から見習いたいもの。とはいえ、フリーランスなんて毎日ホリデーみたいなものですが。笑