今はなき「銀座らしさ」に学ぶレディの審美眼 旧き良き銀座の歩き方vol.2

今はなき「銀座らしさ」に学ぶレディの審美眼 旧き良き銀座の歩き方vol.2

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昭和の銀座を庭として青年時代を過ごし、この街を今もこよなく愛する作家、岩下尚史さんが教えてくださるの「旧き良き銀座の歩き方」。銀座ならではの伝統に触れて一人前のレディになる方法。街の来歴や往時の様子も聞くと、銀座正統の形が見えてくる!


2. 銀座らしいセンスに包まれて審美眼を磨く

岩下さんが体験していたのは、今は見れない銀座のおしゃれスタイル。

「勤め人でしたが隆とした三つぞろいのスーツを誂えて、今はなくなった、みゆき通りの輸入洋品店『フジヤマツムラ』で買ったネクタイだのスカーフをつけて出かけていました。上等の洋装の小物と言ったら、男ものも女ものもそこでしたね。高かったけど!いつか女優の佐藤友美さんが何か試してらっしゃるのをウィンドウ越しに目撃したのですけれど、ふわッと髪をかき上げられて素敵でした。パリの街にいるのかと思った」

和装の女性たちも闊歩していた銀座。

「新橋の芸者さんたちなどはモダンな柄の着物を着て、『ぜん屋』のエナメルの細身草履を履いてハイカラでした。花柳界毎に出入りの呉服店が決まっていて、独自の色柄があった。モンドリアン柄なんて、西欧のデザイナーよりずっと早く考えてたらしいですよ、銀座の呉服屋は」

「今よりおしゃれだった」銀座、イメージするだけで楽しい。さて今、旧き良き時代の銀座センスが息づくとして岩下さんが愛用するのが「東哉」の陶磁器だ。

「西と東の文化をうまあくミックスした感覚は、まさに銀座風。私の自宅は野暮ったい家ですけど、器は素敵なんですよ。20代から通って買いためて、この店のものしかないんです。きれいな色に金彩や銀彩をあしらった華やかなものが女性にはおすすめ」

「昔ながらの銀座の風情ということでは、『トリコロール』も変わらないですね。2階建ての一軒家の喫茶店なんて貴重。よく残していらっしゃる」。ここパリの路地?と見まごう外観の店では、ショコラのケーキを召し上がるのが習慣。

「そう、美術商や画廊の街なのは変わらずですね。頑張って身銭を切って見る目を磨くのは、美術館に行くより役立ちますよ。扉を開けてみることです。『桜の木』という女性オーナーによる画廊は、リビングにかけられそうな買いやすいものから扱われています。中は明るくて、作品のジャンルも広いので若い方向き」

東哉

和食器にミックス感や季節を発見

京都、五条坂の工房でデザイン、製作された端正で瀟洒な清水焼の器を並べる。先代が「京の雅と東京の粋」を合わせた店を金春通りに開いたのは昭和11年。すべてがオリジナル製品のため、一点からの絵付け注文等も可能。

東京銀座本店
住所: 中央区銀座8-8-19 東哉ビル1F
Tel:03-3572-1031
営業時間: 11:00〜18:30(土〜18:00)
: 日祝 


ギャラリー 桜の木

和・洋の、暮らしの中で長くつきあえる作品を集め、企画展を定期的に開く。ラウンジ風のくつろげる空間に、まずは通って審美眼を養ってみたい。上写真はやまと絵の林美木子の作品。11月は小倉亜矢子展を開催中。

≫銀座本店 
住所: 中央区銀座5-3-12 壹番館ビルディング3F 
Tel: 03-3573-3313
営業時間: 11:00〜19:00
: 火祝


トリコロール

アンティークブレンドコーヒー ¥880、ショコラ ¥610(共に税込み)。

昭和11年創業。回転扉と煉瓦壁の現在の建物は昭和57年より。薫り高いネルドリップ珈琲とケーキをお供にゆっくり時を過ごしたい。モーニング営業も。

≫本店
住所: 中央区銀座5-9-17
Tel: 03-3571-1811
営業時間: 8:00〜20:00LO(土日祝〜21:00LO) 
: 無休

岩下尚史さん いわした・ひさふみ

新橋演舞場に長く勤務。新橋花街の芸妓たちによる『東をどり』制作に携わる。退職後、2006年に処女作『芸者論』を上梓、和辻哲郎文化賞を受賞。現在、『銀座百点』『美しいキモノ』等に連載をもつ。文筆活動のほか、テレビ・ラジオでもコメンテーターとして活躍中。

Photo: Kazuharu Igarashi Text: Chikako Hara

GINZA2018年12月号掲載

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