ネットストレンジャーによる深夜動画便 vol.2
よなよなネットの世界をパトロールするGINZA編集部のエンタメ好きライターが、寝る間を惜しんででも見たい作品をピックアップ!

ファッションの世界では聞き慣れた言葉「ジェンダーフリー」。メゾンはこぞって男女共同ランウェイを開催してるし、もはや「これってレディース?メンズ?」と聞くことすらナンセンスな気がしてくる。

フランス制作のNetflixオリジナル配信『軽い男じゃないのよ』(独占配信中)は、いわゆる男女入れ替わり物。イケメンの伊達男ダミアンはある日路上でポールに激突。目覚めた後の世界では男性がストリップを踊り、家事や補佐的な労働に従事。女性たちはトップレスでランニングをし、路上で男性に声をかけ、花をプレゼントする。いざチェンジ!すると見えてくる、女性が受ける不当な扱い、そして男性であることの不自由さ。ダミアンが”男らしく”モテルためにケアしたツルツルの手足、整えられら四角い胸毛のなんとも可笑しいこと。これをほんの一例で、女性が当たり前に受け入れていたことが逆転するだけでこんなにも違和感!とあらためて単純に思わされる破壊力がある。

入れ子状になった秀逸な設定に、思い当たることが多すぎて戸惑いうろたえる98分。なのにライトに観れるのは、ラブコメとしてもストーリーが成立しているから。好きな人と過ごす時間は誰にでも楽しいもの。デートで訪れたクラブはでは女性の格好の女性や男性の格好の男性(逆転世界ではLGBTQとされる)が踊る。

社会によっては内面化された性別という窮屈な型にはまらないジェンダーフリーな世界が美しく描写されている。

予告編はこちら

川島あぐり Aguri Kawashima

エディター。「劇中の女たちのマスキュリンな衣装も素敵!」

Illustration: Naoki Shoji Text: Aguri Kawashima

GINZA2018年7月号掲載