ロマンスに花は欠かせない。でも真冬なんだけどなぁ……とインスタグラムを覗いたら、素敵な花の写真が次々と見つかった。中でも心惹かれるのは、摘み草をキュッとつかんだ小さな花束。 春の訪れを前に 、ウォーミングアップしてみては?
キュッとつかんだ小さな花束♡世界の摘み草インスタグラマー#01 鎌倉在住 レイナル麻里子さんの花「摘み草の花束を君に」
南伊豆の秘密の花園にて。黄色い花はニガナ。
スミレ、ムスカリ。桜が散る季節に束ねた紫色のブーケ。
南伊豆で摘んだ花を鎌倉での 展示に使うときは、花行商人のごとくカゴを背負って電車に。
ホタルブクロ、ドクダミ、ユキノシタ。夏至の頃の鎌倉に咲く花々。
花束は摘みながら思いつくままに束ねていく場合と、家に戻って種類別に分け、そこから組み立てていく場合もある。
可憐だけど強い。そんな野の花のような女性になりたいというレイナル麻里子さんは、仕事場である鎌倉のギャラリーと、フランス人の夫と愛犬と暮らす南伊豆の家を行き来する日々。
鎌倉はホームタウンでもあるが、麻里子さんの少女時代は森と野原が広がるばかりの田舎で、虫を捕ったり木に登ってターザンごっこをしたり、「まさに猿」のように野を駆けて遊んでいたのだ とか。学校の帰り道は花摘みの時間。インテリアのことを考えるのが大好きだったという早熟な少女は、摘んだ花をお気に入りのガラス瓶に生け、 部屋の出窓に並べては悦に入っていたという。
「お花は形、色、香り、ほんとにいろいろで、触っているだけで、すごく癒される。ブーケを作るときも、自分がどんなふうにしたいとかはあまり考えなくて、束ねながら、お花がどうありたいかを見つけていく感じかな。どうすればいいかは、 お花がおしえてくれるんです。『そっち向きじゃ ないの、こっちなの』とか(笑)」
南伊豆の山中に建つ古民家を購入したのは2年ほど前。手つかずの自然に包まれる暮らしを得て、 カゴを抱えての花摘み散歩がまた楽しくなった。 鎌倉行きで家を空け、20日もして戻ってくると新しい花が咲いている。季節が、さらにこまやかに感じられるようになったのがうれしい。
「名前も知らないちっちゃな花が季節ごとにたくさん咲く可愛い道があるんだけど、車しか通らないから誰も見向きもしない。だからそこは『私だけの花摘み道』。そう勝手に思ってるの」
春になったら、ラッパ水仙を主役にしたり、黄色いハハコグサだけを束ねたブーケを。ハハコグサは毛羽立った冠毛のせいで、温かみのあるスモ ーキーな色合いになるのが気に入っている。
レイナル麻里子≫ 鎌倉宮前のカフェギャラリー〈アトリエ・キカ〉 主宰。昨年秋には南伊豆の自宅もライブラリー+アートスペース〈メランジュ〉としてオープン。
melanges-izu.net
Text:Rumiko Suzuki