今、世界に意義のある変化と進化を起こそうと、熱くメッセージを発信しているのはインディペンデント誌の編集長だ。多趣味でマルチ、自由でおおらかなエネルギーを持った女性編集長たちをフィーチャー。
インディペンデントマガジンとその女性編集長たち『Recens Paper』 エリス・バイ・オルセン(16)
エリス・バイ・オルセン(16)
Oslo – Norway
『Recens Paper』
Photo: Maria Pasenau
今、世界は、男女が分断されていた歴史から、ノージェンダーの時代への過渡期にある。2000年生まれのエリスは、性差のないことが当たり前という考えをもった新世代のティーンエイジャー。若者の疎外感や孤独、社会への反抗心、そんな精神性を表した表現者と作品を発表する場として3年前、『Recens Paper』を立ちあげ、新しいジェネレーションの帝国を築こうとしている。
どのように特集のテーマを考えているの?
「13歳のときに『Recens Paper』をスタートして、これまで〝識別〟〝探求〟〝観察〟〝考案〟と4つのテーマで作ってきたわ。通過していく思春期、人生のサイクルなど、どれも若者が思いを巡らしているもの。9月にリリースする次号は〝共有〟がテーマなの」。
新しい若い才能にスポットを当てたくて『Recens Paper』を立ち上げたエリス。その思いは創刊の頃から変わらないという。
「若者の発言や考えこそが、すべての世代の価値観を良い方向に変えていく。『Recens Paper』はソーシャルメディアを使って才能あふれる若い子を見つけて、プッシュして、彼らと志を同じくする人たちを結びつける手段なの」。
こんなにも同世代同士が行き交うメディアがこれまであっただろうか。やっぱりインターネットってすごい。
「もちろん、紙媒体が死んでいるとは思ってないわ。実体のある雑誌のほうが感情と結びつくし、私たち世代が求めているコミュニケーションでもあるの。一方で才能の発掘はインスタやフェイスブックが中心。プリントとデジタル形式は競合してるけど、お互いをサポートし合ってるともいえるんじゃないかな」。
うん、ごもっともです!!
ところで東京には『Recens Paper』を愛読している女子中学生もいましてね。
「次号はアジア圏まで流通を拡大させたいなと思っていて、東京でローンチしようかと考えてたところ。日本のファンのエピソードが聞けて、心が温まったわ。実は最近、14歳の韓国人のライターを雇ったばかりで、なかなかいいスタートが切れてるんだ」。
(じ、じゅ、じゅうよんさい〜!?)。最後に、同世代の女の子たちに向けて『Recens Paper』はどのような存在でありたい?
「性別、年齢、国籍、そういったものと無関係な新しい世界に私たちは生きてるの。それがそのままであってほしい。女性が女性であるということ自体に捉われすぎないことが大事だと思うし、やっぱり結論として、性別の影響を受けないっていうことが私たちが強調したいことかな」。
エリスのプロジェクトを支持して、楽しみに読んでくれてる若い人たち!! ぜひ、recenspaper.com/submitまで作品を送ってみて。エリスは、あなたの声を待っている。
若い写真家の作品は、年齢、住んでいるところ、表現についてのエリスのインタビューが必ずセットになっている。
人種、外見、性別、国籍への固定観念を取っ払ったファッションページ。若い読者は、何を思うのか。
2cm幅の“広告警報”でわざと広告を強調。「若い人たちは広告の操作性とかにうんざりしてると思うから」とエリス。
これまで紹介されてきたブランドは、ゴーシャ・ラブチンスキー、アールト、アクネ、Y-3、ジャックムスなど。
グラフィックやイラストレーション作品も多数収録。写真はイギリスのリバプール出身、17歳の力強い作品。
スペイン在住の17歳が写真とスタイリングをした作品。20代前半までの表現者が、1号につき20人以上も紹介される。
オスロにあるシェアオフィスのメインチームは私を含め若い5人。専属写真家のマリアはプライベートでも大親友。
ラフ・シモンズの作品集(TASCHEN Books)のINDEXページをよく見返す。彼のヴィジョンに影響を受けている。
イベントでDJをしているところ。最近はセネガル生まれの女性アーティストFatima Al Qadiriの音楽にハマってるわ。
撮影用に自分の私服を引っ張り出しているところ。オレンジのサングラスは最近お気に入りなんだ。
ユニセックスな私服をスナップ。エリスのスタイルは
インスタ(@elisebyolsen)をチェックして。
私がファッションに興味をもったのは10歳のとき。それからすぐ毎日のスナップを紹介するブログをAめたわ。最近は安い古着屋で買い物してる。あと化粧はしないんだけど髪の毛の色を変えるのは好き。今はブロンドだけど、次はオレンジ色にしたいんだ。ショーをチェックしているのはJ.W.アンダーソンがデザインするロエベ。ロエベの巨大なバックパックが今、一番ほしい。
Photo: Toru Oshima
Text&Edit: Karin Ohira