扉を越えて新しい暮らしも広がる
大脇千加子
デザイナー、ディレクター
日本各地の、武骨なほどのもの作りの担い手の仕事を、ファッションやプロダクト、アートなど、世に送り出す形に紡いでいく「ワンダーフルライフ」。主宰する大脇千加子さんの自宅は、アトリエの奥にある。
「ここに家を持ち住み始めて丸10年。子どもが小さいときは、アトリエとの境の扉を閉ざして自宅と明確に区切っていました。それが『ワンダーフルライフ』を始めた3年ほど前から開け放つことが多くなって。一緒にクリエイションをしている仲間とは、扉を越えて、こちら側で一緒にごはんを食べながら関係を積み重ねるように」
大きなテーブルやソファなどのしつらえは同じでも、過ごし方が変わることで、家は違う顔を見せる。ここは今、東京に出てきた作り手の友人の拠点にもなっている。大脇さんが、奄美や岡山で、訪問先に逗留し時を忘れて語り合ったことが実を結ぶように、何かがここから動き始める予感がうれしいという。
「自分の家だけど、今は容れ物という意識。どんな化学反応が起こるかワクワクします」