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スタイリスト・木村舞子さんと一緒に、サステイナブルライフへの道!vol.12 パワーシフト

スタイリスト・木村舞子さんと一緒に、サステイナブルライフへの道!vol.12 パワーシフト

日本でも話題に上がることも多くなってきたサステイナブル(※持続可能なという意味)。私たちも傍観しているわけにはいきません。
大好きなファッションをいきなり全部サステイナブルなものに切り替えるのは中々難しいですが、日々の生活で出来ることから始めようと決心しました。不要なものを削ぎ落としていくことでミニマルなライフスタイルにもなるし、一石二鳥です。まだまだ勉強中ですが、私が取り組んでいることを皆さんにシェアしたいと思います。前回の記事:vol.11 コンポスト


スタイリスト木村舞子 安藤晶子スタイリスト・木村舞子さん

木村舞子的、サステイナブルライフへの4か条
・不要な包装を断る
・プラスチック製品を極力避ける(プラスチック製品の中には健康に害があるものも!)
・より環境や身体に優しいものを選ぶ (切り替える)
・菜食を心がける

 

Vol. 12 パワーシフト

現代の生活には欠かせない電気。2016年から電力自由化が始まり、自宅や会社で使う電気を選べるようになりました。パワーシフトとは主に従来の電力会社から自然エネルギーの電力を使用する会社に切り替えることを言います。「脱炭素」や「再生エネルギー」など様々なワードが飛び交うようになり、気になっている方も多いのではないでしょうか?

電気を切り替えるというと、めんどくさそうだなというイメージがあると思いますが、実は切り替え自体はとても簡単で、よりクリーンな発電方法や応援したいと思える会社を選ぶことができます。ただ、数多くの会社の中から、どうやって選んでいいかわからない方も多いのではないかと思います。

私自身はもう数年前から自然エネルギーの会社と契約していますが、切り替えた当時はなんとなく環境にいいことなんだろうなという程度。あまりきちんと調べずに契約したので、実際どういった方法で電源を確保しているか、料金システムの内容などよくわかっていませんでした。最近自然エネルギーの会社が増えてきたこともあり、各会社の取り組みの違いを調べることも大事だなと思うようになりました。

そこで今回はパワーシフト・キャンペーンというサイトの事務局をしているNPO 法人FoE Japanの吉田さんにお話をうかがってきたので、その内容を皆さんにシェアしたいと思います!

 

 

木村 まず、電気の流れについて。私もよくパワーシフトを検討している知人から「自然エネルギーに変えることによって電気が枯渇しないか」、「停電時の復旧が遅くならないか」など質問を受けます。私の理解では、電気そのものの供給システムは従来と同じで、お金をどこに支払うかが変わるだけだと思っているのですが、そのような懸念はあるのでしょうか?

吉田 そうですね。電力自由化になっても電気の物理的な流れは変わりません。電気の送電を担うのは今までと全く変わらず(関東圏であれば)東京電力など大手の電力会社の送配電部門。では何が自由なのかというと、その電気を売り買いする窓口の「小売事業」に様々な会社が参入できるようになったのです。小売事業者が発電所と消費者をお金でバーチャルに結びつける役割をしていて、各家庭で使った電力量に合わせて電気代を徴収し、そのデータを元に各発電所からどのくらいの電気を買うかということを決めています。自然エネルギーだけで賄えない場合は電気市場から買ったり、他の電力会社から買ったりして消費量に合わせています。

なので、自然エネルギー会社に契約を変えても電気が突然止まることはないし、停電のときの復旧速度も変わりません。(もっと極端に言うと)仮に契約している会社が突然倒産したとしても電気自体は止まらず、改めて電気代を支払う会社を選ぶだけでいいんです。

木村 最近よく「自然エネルギー」や「再生エネルギー」などのワードを目にしますが、それぞれどう違うのでしょうか?

吉田 実はほとんど同じです。両方とも風力、太陽光、地熱、バイオマス、小水力など、原子力も化石燃料も使わない発電方法を指します。法律などでは「再生可能エネルギー」の方が使われています。

木村 自然エネルギーの電力に切り替えると電気代は今までと同じか、むしろ安くなるという話をよく聞くのですが、従来の発電方式と自然電力の電気の価格自体に違いはありますか?

吉田 実はもともと大手の電力会社の電気代がそんなに安くはないんです。そのため自然エネルギーの電力会社に切り替えても、電気代はほぼ同じか少し安くなることが多いです。ただ、ものすごく節電していて電気の使用量が極端に少ない場合は大手の料金プランの方が安い場合もあります。逆に使用量が多い家庭ではほとんどの場合安くなります。

 木村 なるほど、各小売会社の料金プランはそうなのですね。電気自体の価格には違いはありますか?

吉田 小売会社にとって、今はまだ自然エネルギーを仕入れる方が、他の石炭など化石燃料の電気よりは少し高い場合が多いです。でも、今世界的に化石燃料の価格が高騰していますし、自然エネルギーの価格はもっと下がってくると予想されています。将来的には自然エネルギーのほうが安くなっていくでしょう。

木村 そうなんですね。以前、私が契約している電力会社では一時電気代が急に高騰したことがありました。

吉田  2021年の1月頃ですね。前年12月後半から1月にかけて電気の市場価格が急激に上がってしまったんです。大手電力会社は大規模な発電所のほとんどを持っていて、むしろ自社の余った電力を市場に売っている側なのでさほど影響がありませんでした。しかし自然エネルギーの電力会社は、電力市場から買う割合が比較的高く、大きな影響が出てしまったということです。ただ、大多数の電力会社のユーザーにとって電気代は上がりませんでした。1kwhあたりいくらと金額単価を固定している場合、消費者が支払う電気代への影響はなかったのです。その代わり、電力会社は、電気の仕入れ価格が急騰した分の赤字を自社で抱えることになってしまいました。

一方、木村さんの契約している会社もそうですが、電気代単価が市場価格に連動する料金プランにしている小売会社もいくつかあります。市場価格が安いときは電気代も安く、高い時は高くなるというプランなんです。なので、逆に2019年から2020年にかけて、市場価格が安かった時期は電気代も安かったはずです。

木村 私の場合、その価格が高騰した時期は電力会社が丁寧に説明してくださって。電気代もかなり会社の方で負担してくれたり、他の電力会社に変えたい場合はサポートします、など真摯に対応していただいたので、確かに電気代は一時的に高かったですが私は引き続き契約しています。これから電力会社を選ぶ方はそういった料金プランもきちんと調べてから契約した方が良さそうですね。

木村 現状、日本国内で自然エネルギーのシェアってどのくらいなんでしょうか?

吉田 今は日本全体で20%くらいですね。その中でも大規模な水力(ダムなど)が半分を占めています。

木村 太陽光はいかがでしょう?各家庭の屋根につけているソーラー以外に大規模な発電所もあるのでしょうか?

吉田:たくさんありますよ。2012年に自然エネルギーを支援する制度が始まってから、特に太陽光発電が大きく増えてきています。太陽光は場所さえ見つければ比較的建てるのが容易なのです。ただその点で、山林を切り拓くなどの大規模な開発が今問題になっています。自然破壊になってしまうし、土砂災害のリスクも高まるということで、各地で反対運動が起こったりしているんです。各自治体で規制する動きが広がり、国レベルでも対策が取られようとしているので、今後は山林開発を伴う大規模太陽光発電は難しいと思います。

木村 すると今後期待できる自然エネルギーの発電は何になるんでしょうか?

吉田 そうですね、やはり太陽光でも建物の屋根であったり、できるだけすでに開発された土地を利用することが第一じゃないでしょうか。また、風力発電についても、過疎地の沿岸部などに建てることが多いので、自然環境との共生や、地域の同意を得ることが大事になってきます。

木村 なかなか難しいんですね。

吉田 まずは、エネルギー需要自体の削減とエネルギー効率の改善が最優先です。その上で、やはり一つの方法でということではなく、太陽光を最大限活かし、ほかにもその地域に合った方法を地域ぐるみで模索していくことが大切だと思います。

木村 なるほど。では自然エネルギーの需要が今後もっと増えてくれば、そういった環境も整えやすくなるんですかね?

吉田 そうですね。私たちもそこを目指してニーズを増やすべく活動しています。

木村 私が自然エネルギーの電力会社に切り替えた当時は今ほどたくさんの会社がなかったので特に迷うことはなかったのですが、ここ最近でたくさんの新電力会社が出てきましたよね?これから切り替えを検討するとなると、どれを選んだらいいかわからない方もいるのではないかと思います。パワーシフトのサイトでもおすすめの電力会社など色々紹介されていますが、紹介する会社を選ぶときの基準はなんでしょう?

吉田 私たちが紹介している電力会社は生協系の会社もあれば、自治体が関わっている会社、民間でも地域に根ざした会社、全国広域でやっている会社など幅広いです。それぞれ戦略も違うし、どこから電気を調達しているかも異なります。また、会社のカラーやビジョンも様々です。パワーシフト・キャンペーンでは、「応援したいと思う会社を見つけてください」と言っています。もちろん自然エネルギーの割合が高いかどうかは一つの判断基準になると思います。生協系などすでに自然エネルギーの割合が高いところもありますし、現時点では割合が高くなくても、地域に根ざして今後地元で電源を確保できるよう、開発や調達の工夫をしている会社もあります。パワーシフトのページの紹介文なども見ていただいて「応援したい」「共感できる」会社を見つけてください。また、地元や関りのある地域の電力会社を応援するというのも選び方の一つですね。

木村 ふるさと納税みたいですね(笑)。 確かにそういう繋がりがあると選びやすいかもしれません。

吉田 どうせ電気代を支払うなら、自然エネルギーの会社に支払うことで巡り巡って地域や自然エネルギーの事業にお金が回っていく、そういう循環をもっともっと作っていきたいですね。

木村 よく買い物は投票と言いますが、きっとパワーシフトも同じで、お金をどこに支払うかで会社や地域を応援することにつながるんですね。

木村 モデルでアクティヴィストの小野りりあんさんのインスタグラムを私はフォローしているのですが、先日、良い自然エネルギーとそうでないものの話をしているポストを見かけました。それはどういった違いがあるのでしょうか?

吉田 そうですね。先ほど話したように、大規模な開発が自然環境を変えたり、地域に受け入れられない場合もあります。また、海外で森林を伐採してつくった木質チップなど、持続可能ではない輸入燃料を燃やすバイオマス発電などもあります。現状では一部このような懸念のある「自然エネルギー」もあります。そのため私たちは自然エネルギーが持続可能なものであるかどうかも確認するようにしています。

木村 なるほど、自然エネルギーだからといって全てがクリーンなわけではないんですね。きちんとチェックしないといけないポイントですね。

電力の切り替えは個々の家庭で使う電力はもちろん、お店や会社でも切り替えられています。パワーシフトのサイトでもパワーシフトマップというページがあり、自然電力に切り替えた施設が紹介されています。

最近ではスペシャリティストアの「ロンハーマン」も自社で自然電力の発電を始めたと聞きました。千葉県匝瑳市の耕作放棄地を利用して地上は有機栽培の農地、2階部分にリユースのソーラーパネルを設置し、みんな電力の送電システムを使ってロンハーマン福岡店に供給されているそうです。

 

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全国的に自然エネルギーを扱う会社は増えてきたものの、現状の日本での自然エネルギーの割合は全体の約20%。将来的に考えると、やはり気候危機を加速させてしまう石炭や石油に頼るわけにはいかないし、原子力の危うさは多くの人が身近に感じているはずです。そういった中で自然エネルギーをできるだけ持続可能な形で増やしていくことは今後必要不可欠じゃないでしょうか。

会社によってやり方は様々ですが、切り替え自体はオンラインや電話で簡単にできるケースがほとんどです。パワーシフトのサイトでは詳しい電気の切り替え方やよくある質問、パワーシフトアンバサダーによるトークなど、様々なコンテンツで切り替えを支援しています。皆さんもぜひチェックしてみてください!

木村 舞子 Maiko Kimura

百々千晴氏に師事し、独立後は雑誌や女優のスタイリングを手がける。ベーシックアイテムを主軸としたスマートなスタイリングが得意。
Instagram: @maiko.mu

Illustration: Akiko Ando Text: Maiko Kimura 

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