最近、環境問題が深刻になる中で、スウェーデンのGreta Thunberg(グレタ・トゥーンベリ)をはじめとしたアクティビストや様々なセレブリティ、ファッションブランドがアクションを起こすようになってきました。日本でも話題に上がることも多くなってきたサステナブル(※持続可能なという意味)。私たちも傍観しているわけにはいきません。
大好きなファッションをいきなり全部サステナブルなものに切り替えるのは、なかなか難しいですが、日々の生活で出来ることから始めようと決心しました。不要なものを削ぎ落としていくことでミニマルなライフスタイルにもなるし、一石二鳥です。まだまだ勉強中ですが、私が取り組んでいることを皆さんにシェアしたいと思います。前回の記事:vol.6 ゴミを減らすため自作「キエーロ」を作ってみた。
スタイリスト・木村舞子さんと一緒に、サステイナブルライフへの道!vol.7 ドキュメンタリー作品で環境問題について学ぶ
スタイリスト・木村舞子さん
木村舞子的、サステナブルライフへの3か条・不要な包装を断る
・プラスチック製品を極力避ける(プラスチック製品の中には健康に害があるものも!)
・より環境や身体に優しいものを選ぶ (切り替える)
Vol.7ドキュメンタリー作品で環境問題について学ぶ
以前、環境問題について知るための本をいくつか紹介しましたが、最近は家にいる時間が長いのでNetflixやAmazon Primeでチェックできるドキュメンタリーもよく鑑賞しています。映像作品だと実際に起きている問題が目の当たりできるのでとても興味深く、わかりやすい内容になっているものが多いですね。日本でも年々豪雨などの災害も多くなってきて環境問題がますます深刻になる中で、現状を知ることは一番大事だと思います。今回は私が感情を揺すぶられたドキュメンタリーの中から、映画館に行かずとも自宅で視聴できるものを紹介したいと思います。
「プラスチックオーシャン」
2016年公開(Netflixで視聴可)
この作品は、海がいかにプラスチックで汚染されているか、紛れもない事実を映像に収めています。始まりはこの作品のグレイグ・リーソン監督が大好きなクジラを記録するところから始まります。ダイナミックなクジラを目の前にしながら、同時に大量のプラスチックゴミが海に浮いていることに気づきま す。その後プラスチックについて調べていく中で、なぜ海にこんなにもプラスチックがあるのか、プラスチックがいかに人体に有害かを突き詰めていくことに、マイクロプラスチックのことなど今知るべきことがギュッとまとまっています。中には海岸に生息する鳥のお腹から大量のプラスチックが出てくるなど、ショッキングな映像もありますが、それが私たちが道端に捨てたプラスチックの行先であると思うと見て見ぬ振りはできません。
日本は最近やっとレジ袋が有料になりましたが、それでもプラスチック袋を使う人はさほど減っているようには思えません。この作品を通じてプラスチックがいかに有害で、処分することが難しい素材であることがわかれば日々手にするプラスチック製品への見方も変わると思います。
「地球が壊れる前に」
2016年公開 (Amazon Primeで購入/レンタル可)
俳優で環境活動家としても精力的に活動しているレオナルド・ディカプリオ がプロデュースした映画です。温暖化で氷がものすごい勢いで溶けている北極、水没しそうな島国、深刻な大気汚染によって健康被害が問題の中国など様々な場所を訪れながら、各国の現状を語ります。アメリカ国内では環境破壊に関して、いろんな視点から論争がなされています。政治や経済を重視する科学的根拠を無視して、温暖化は起こっていないと持論を展開する人たち。でも現実には紛れもなく温暖化が進んでいます。
化石燃料に頼っている現代のエネルギー事情に対しては太陽光といった観点からクリーンエネルギーを推進する企業や、畜産業やパーム油の問題点など様々な角度から気候変動について取材しています。さらに興味深いのは、冒頭に彼が幼少期に見て育った絵画についての説明があるのですが、1500年頃に描かれたその作品には平和な世の中が次第に人口の増加や度を越した快楽の追求などの人が犯した”罪”によって世界が地獄へと化す姿が写し出されていて、まさに現在の地球そのもの。作品の後半では科学者へ取材する中で語られる希望的な側面やパリ協定についても知ることができます。
「サステイナビリティの秘密」
2014年公開 (Netflixで視聴可)
この作品は特に家畜が環境に及ぼす影響に目を向けた作品となっています。環境問題で焦点が当たるのは化石燃料を燃やすことで発生する二酸化炭素ですが、実は家畜が原因となって発生するメタンガスは温室効果が二酸化炭素よりも遥かに高いのです。さらに家畜を飼育するには大量の水、飼料、土地が必要でブラジルの熱帯雨林の減少も家畜の影響を多大に受けています。最近ではサステナビリティにおいてプラントベースの食生活に切り替える必要があることは比較的認知されていますが、2014年に公開されたこの映画では、当時は多くの環境保全団体に取材をする中で誰も語りたがらない家畜や農業の問題点について掘り下げていきます。
慣れ親しんだ食生活を一気に変えるのはとても難しいことのように感じますが、実は菜食主義になることは個々で取り組める最も効果的な環境問題へのアプローチです。健康面での影響や今後の農業のあり方にも触れられています。私も少しずつではありますが、日々できるだけ菜食の食事を心がけています。特に外食する時は選択肢がなくて困ることもありますが、あまり難しく考えずに自分なりのルールで取り組めたらいいかなと思っています。
「ザック・エフロンが旅する明日の地球」
2020年公開(Netflixで視聴可)
こちらは最近配信がスタートしたばかりのドキュメンタリーシリーズで、俳優ザック・エフロンと ダリン・オリエンが世界を旅しながら水、食糧、エネルギー、など私たちの生活に必要な要素について今後持続可能な方法で得ていくために探究する内容になっています。環境問題についてのドキュメンタリーは悲観的に描くものもありますが、これは世界中の様々な場所で取り組まれている持続可能かつ健康でいるための方法をポジティブに紹介していく内容でとても面白かったです。
アイスランドで行われている地熱を利用した再生可能なエネルギーやパリで取り組まれている水道事業、都市部で行われている大気汚染の対策など、知らなかったこともたくさんあり、まだまだできることはたくさんあると考えさせられました。特に環境問題だけでなく、私たちの身体をつくる食べものの原料がどこからきているのか、どういった農家が育てているのかなど食全体のプロセスを知ることや、ハリケーンの被害にあった人たちから学ぶ地域や人との繋がりの大切さなど、生きていく上で必要な様々なトピックが各エピソードで紹介されています。
本で読むのとはまた違い、汚染された海や人間が汚染した環境のせいで死んでしまう野生動物の映像を目の当たりにすれば、より現実味を持って考えることができるのではないかと思います。地球上で何が起こっているかをきちんと知れば、今後メディアで見聞きする情報や、世の中のトレンドなどもきっと見方が変わってくると思います。
これらの映画では深刻な環境問題をそれぞれの視点で紹介していますが、問題は一つではなく、私たちは様々な分野で変えていかなければいけないことがたくさんあります。すべてを短期間で実践するのは難しいかもしれませんが、まずは自分にできそうなことから考えて、普段の生活を見直してみてはいかがでしょうか?
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木村 舞子
百々千晴氏に師事し、独立後は雑誌や女優のスタイリングを手がける。ベーシックアイテムを主軸としたスマートなスタイリングが得意。
Instagram: @maiko.mu