07 Aug 2020
刺激の学校“渋谷”:編集者・野村訓市さんの超私的スポット

東京で好きな場所はどんなところ?カルチャー界で注目の人たちにそんな質問を投げかけたらトレンドやニューオープンなどの情報とはひと味違う持ち味が見えてきた。
編集者
野村訓市
渋谷
道玄坂や宮益坂など周囲を坂で囲まれており、駅を中心にその名の通り谷状になっている。
何歳になっても刺激をくれる大切な学校
「10歳の頃、僕は小学校に電車で通ってたんだけど、よく遠回りして渋谷に寄り道してから帰ってた。友達とゲームセンターで遊ぶためにね(笑)」
編集者・野村訓市さんは、渋谷でのエピソードを笑いながら振り返る。
「高校生ぐらいの時にディスコではない、クラブが初めてできたかな。そこには誰も本名を知らない、あだ名で呼ばれるおじさんとかいろんな大人がいて、可愛がってもらった。放課後の学校みたいな」
2018年末、マーク・ロンソンと。
野村さんは、大人になった今でも変わらずこの場所にいる。そこまで惹かれる理由は一体何なのだろうか。
「渋谷って、昔ながらのお店が意外とたくさんある。一方で、把握しきれないぐらい新しいショップが次々とオープンしているでしょ?この混ざり合いが良いんだよね。あと、どんな人でも楽しめる街だと思う。美味しいごはん屋も古着屋も、安い居酒屋だってあるし。地方から出てきた人でもそんなに敷居が高くないから、絶対一度は渋谷で遊ぶよね。それから他の街へ移ったり。ある意味、〝新陳代謝〟が良い街というか、こんなに多くの人が出入りする場所って他にない」
この特色を生かして、次は自分が“学校”を作る番だと野村さんは考える。 「よくイベントを主催しているけれど、それはなるたけ多くの若者に僕と同じような体験をしてほしいから。いろんな人と交流したりしてね。とは言いつつ、逆に刺激をもらうことが多いかな」
野村訓市 のむら・くんいち
1973年、東京都生まれ。「TRAVELLING WITHOUT MOVING」(J-WAVE)ではナビゲーターを務める。設計事務所「TRIPSTER」の一員で、さまざまな店舗デザインも。
Text: GINZA
GINZA2020年6月号掲載