〈ヤエカ〉デザイナー井出恭子さんに聞いた「あなたが尊敬するワーキングウーマンを教えて!」働く女の流儀 #02
井出恭子
理想のモデルに向かって必要なものを集めていくというよりは、一番いい状態にするにはどうしたらいいかと日々考えているだけなんです。いい出会いがあったら自然に、やってみたらどうなるんだろうと想像して動きます。飲食を始めたのも、食べ物を専門に勉強してきた販売スタッフがいて、キッチンがあるし得意分野をやってみたらどうか、という流れからです。仕事で合うな、と思う人との関係だけが残っていき、全方向から依頼が来ることはある程度少なくなったからかもしれないですが、苦手な人の対応に悩んだり現状に不満を持ったりはしないですね。もっと関わりたいと思うことの方にすべての緊張とか喜びが詰まっているし、それが大きく会社を動かしていきます。
年に一度の展示会に向けて皆で集中して取り組み、サンプルの完成を喜び合う。そうしたことが薄まって効率的な分業制になるよりは、今のように20人くらいで自分たちのペースを保っていたいので、計画的に会社を大きくしていくのが必要な規模になる怖さはあります。でもごく一部の人だけにすてきだね、と言われることをやりたいと思っているわけでもなく、多くの人に〈ヤエカ〉を着てもらいたい。だから無理をしないといけない時、踏ん張る時ももちろんありますよ。
たった2人で始めたブランドなので、最初はあらゆることを自分でやっていました。今でもどこか全部自分の仕事だと思っているところがあって、スタッフは皆助けてくれる人。そう思うと感謝で仕事もやりやすくなる。
何事かのプロフェッショナルであることよりも、お願いできる力と許してもらえる力で働いています(笑)。うまく発注できることは出来栄えに大きく関わる、割と役に立つ能力ですから。
オフィスは住宅街の中にある一軒家。特定の席を設けておらず、パソコンを持ち歩いて好きな場所で仕事をする。
「荷物に頭を取られたくないので」いつも携帯とお金しか持ち歩かない。メモを書いたら写真に撮って保存しておく。
次のバトンは・・・
「ランドスケーププロダクツ」スタッフ
清水 彩さん
「2児の母とは思えないほどのアグレッシブな仕事ぶり。 任せておけば良きに計らってくれる安心感が頼もしい。」
by 井出恭子さん
いで・きょうこ≫ 2002年服部哲弘さんとともに〈ヤエカ〉を立ち上げる。14年にオープンした「ヤエカ ホーム ストア」にはフード部門の“プレーンベーカリー”がある。