体の調子が悪いと、表情どんより&仕事や勉強の効率が落ちて、心までダウナーに…そうならないために、日々何ができるの?そんなあなたに向けて、京都・左京区で鍼灸院を営む安東由仁さん、通称ゆにさんが東洋医学的見地から、季節ごとに元気を高める暮らし方のコツを教えます。「休む・食べる・動く」のシンプルな3ステップで、1年中ステイ・ヘルシー!
鍼灸師ゆにが教える、季節の養生3原則。梅雨の「休む・食べる・動く」
東洋医学では、じめじめとした湿気を「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。湿邪が体にたまると、むくみで体が重だるくなります。
胃腸にあたる臓腑「脾(ひ)」の働きは湿邪に弱く、梅雨どきは食欲がなくなったり、お通じが悪くなったり、それにともなって湿疹などの肌トラブルが出やすくもなります。また脾は思考も担っているので、気持ちもくよくよしがちに。お天気は変えられませんが、生活の工夫によりできるだけ湿気を減らすことで、この時期を快適に過ごしましょう。
就寝前は湯船に浸かり
寝室をあらかじめ除湿
たとえ蒸し暑くても、寝る前にはぜひ湯船に浸かって体を温めましょう。昼間にエアコンで冷えていたりしますし、夏への準備として、汗をしっかりかいておくことも大切です。少し長めに入浴して汗をかき、お風呂上がりはしっかり体を拭いてから着替えてくださいね。
梅雨どきの快適な睡眠には、部屋の除湿がおすすめ。ただエアコンの除湿機能は、機種によっては湿度と一緒に気温も下がり、冷えすぎてしまうことがあります。湿度だけを下げるにはやはり、除湿機が便利です。部屋干しで洗濯ものをカラッと乾かすのにも役立ちます。
布団やシーツには布団乾燥機を使えば、寝るときの肌ざわりがさっぱりします。コインランドリーでしっかり乾燥させるのもいいかもしれませんね。とにかくできるだけ身の回りを乾いた状態に保てば、体調がすっきり整うはずです。
食欲がないときは香味野菜の
パスタやサンドがおすすめ
湿邪による不調を出さないためには、「余分な水を体に入れない」、そして「余分な水を体の外へ出す」食べ方をしたいところ。
東洋医学では、胃腸の働きは湿気が多いときに弱ると考えます。甘いものや炭水化物、味の濃いものを食べ過ぎると、余分な水が「湿(しつ)」となって体の中にたまります。するとおなかが弱ってむくみが出て、むくみがまたおなかを弱らせるという悪循環に。たんぱく質やビタミン、鉄分なども不足して、ますますだるくなっていきます。体の余分な水を外へ出してくれるのは豆類や、海藻類。豆類はたんぱく質も豊富ですから、梅雨どきに積極的に摂りたい食べものです。
食欲がわかないときは、一皿でいろいろな食材を摂るのはどうでしょうか。食欲を誘う香味野菜と、たんぱく質と炭水化物の組み合わせを意識して、たとえば、ツナやしらすを旬のシソやバジルと和えたパスタ。また、卵サンドやトルコ発祥のサバサンドに、ピクルスを挟むのもおすすめです。ただし麺やパンの量は軽めに調節しましょう。
雨の日の家トレには
ダンスやヨガをじっくりと
汗をかく運動は、体を軽くしてくれます。それほどきつくなくていいので、ある程度長い時間続けられるものを。
本当は外で、少し早足での散歩や、軽いジョギングなどをするのがぴったりなのですが、雨が多くてそうもいかないのがこの時期。家トレをするなら、ダンスエクササイズや運動量が多めなタイプのヨガなど、いかがでしょう。あるいは、部屋の模様替えや拭き掃除などを思いっきりやるのもいいですよ。何をするにしても体も気持ちも重くてめんどくさい、その感覚こそが梅雨の湿気の仕業です。「やり始めれば気持ちいいから!」と、自分を説得して運動しましょう。
汗をかいたら、乾いた服に着替えるのを忘れずに。湿った服を着たままでいることも、体に湿気が入る原因になります。
以下は梅雨の養生をもっと詳しく知りたい方向けの、
体質にフォーカスしたアドバイスです。
ご自身の、現在の体質はチェックシートで調べてみて!
2021年は平年よりもかなり早い梅雨入りで、湿気の多い期間が長くなりそう。梅雨の不調は夏バテにもつながりやすいので、念入りな養生を心がけましょう。
「気虚」の人は特におなかの元気がなくなり、便秘をしたり、反対におなかがゆるくなったりして、食事が負担に感じられます。食欲がないからといって口当たりのいいものばかり食べていると、「血虚」の人とともに、全身に栄養を与える「血(けつ)」が足りなくなってしまいます。豆腐や納豆といった豆製品、卵、白身魚など、食べやすいものでたんぱく質を摂り、血を補いましょう。
「痰湿」「血瘀」の人は体が重だるく、気持ちもくよくよとして沈みがちに。でもそこでじっとし続けていると、ますます動けなくなってしまいます。「動き始めががんばりどころ!」と、どこかで踏ん切りをつけ、あまり長くは休みすぎないようにしましょう。
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安東由仁
鍼灸師。京都生まれ。20年間アスレティックトレーナーとして勤めたのち、京都に戻り、左京区・鹿ヶ谷にある町家で「ゆに鍼灸院」(完全予約制)をオープン。治療だけでなく、暮らしの中でできる養生術も伝えるなど、“自分をバージョンアップ”するためのお手伝いをしている。
@humanitekyoto
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