THIS ISSUE:GINZA4月号 『FASHION PHOTO BOOK  流行ファッション写真集』特集

2018 SPRING/SUMMER
FASHION PHOTO BOOK

ネットにsnsもはや我々の処理能力をはるかに凌駕する情報の洪水の中で、ファッション誌にできることって何だろう?そんな自問自答の果てに今回、編集長がたどり着いたのは、夢やファンタジー、驚きや高揚をくれる「最高のファッション写真がたくさん載っている雑誌がやっぱり最高!」という答えでした。
ということで、年に2回の恒例のファッション特大号、2018年春夏シーズン特集号は、流行をPVCトランスペアレント、チェック、スポーツなどなど8つのテーマにしぼり、それぞれを27歳から82歳までの8人の写真家に撮りおろしてもらいました。日本が誇る才能が、日本で撮った写真。ページをめくるたびに手が止まる。すべてが流されていく毎日の中で、あなたの心と体に残るものとなってほしい。そんな願いを込めて、満を持してのファッション写真の特集をお届けします(編集K)

GINZA 最新号(4月号)は、2018年3月12日(月)発売!

 

PVC

安村崇 PVC ヴァレンティノ
Photograph by TAKASHI YASUMURA

その日、グラン・パレの会場では巨大な岩壁から流れ落ちる滝によるヒーリング効果に人々は酔いしれた。CHANELというビッグメゾンによって作られた人工的な超自然。フェイクファーがエコファーと呼ばれ、「フェイク」ではなく、生活に「リアル」な素材になった今、洋服の素材における「自然」と「人工」の境目は複雑で繊細だ。しかし、東京に住む我々にとって80年代から、夜中のコンビニに煌煌と光る蛍光灯はエドワード・ホッパーの「Nighthawks」であり、エアコンの室外機が並ぶ様はベルント&ヒラ・ベッヒャーの「給水塔」の風景だったわけで、ようやく来たかという気がする。ポリ塩化ビニルという合成樹脂による洋服が最先端である時代に、我々は生きている。

本誌では荒井俊哉さん撮影のファッションストーリー「肉体の反逆」を掲載。

 

TRENCH COAT

安村崇 トレンチコート バーバリー
Photograph by TAKASHI YASUMURA

なぜ、2018SSのコレクションにこれだけトレンチコートが多かったのだろうか。第1次世界大戦中にイギリス陸軍が採用した“防雨外套”が、100年以上の時を経てもこれほど新鮮に映り、さまざまなバリエーションで人々に愛されている。特に昨今のレディースのトレンチコートは現代のジェンダー観の表現でもあるだろう。男らしさの果てに垣間見える女らしさの尖端。また、トレンチコートという歴史あるひとつの型を「脱構築」する行為により、男性と女性という二項対立からの脱却への意思も読みとれる。眼前の社会の複雑な壮絶さに、未知なるものへ人々の想像力を誘なう陽気さよりも、既知なるもの(現実)に向き合うデザイナーたちのリアルな覚悟なのかもしれない。

本誌では岡本充男さん撮影のファッションストーリー「男と女、 永遠なる造花が朽ちる前に」を掲載。

 

 

TRANSPARENCY

安村崇 ミュウミュウ TRANSPARENCY
Photograph by TAKASHI YASUMURA

現代美術家であるミヤギフトシが自らの作品とソフィア・コッポラの接点を紐解くという機会があり、彼は窓枠やレースのカーテンという何か“越し”に世界を見つめる視線について語っていた(*)。カーテンやフェンスという隔たりを写すことにより、内と外の関係のドラマが浮き上がり、その心理的障壁を共感することで、見る人の脳裏にも絶望と希望の物語が去来する。透明な素材や向こう側が透けて見える素材や縫製の洋服を語る時も、どうしても洋服の内側にある肉体性に真実を求めてしまう。レースのドレスが主役なのに、その向こう側の身体に心奪われてしまう。トランスペアレントなファッションの流行の裏に、肉体性の消失への静かなメランコリーが存在するのだ。
*2月18日ユトレヒトにて行われた林央子主催による「Sofia’s Circle」アーティストトークより

本誌では水谷太郎さん撮影のファッションストーリー「透明ラプソディー」を掲載。

 

STREET

安村崇 ストリート バレンシアガ
Photograph by TAKASHI YASUMURA

90’sという風潮がずっと続くので、そろそろ一過性の流行ではなく普遍的な類型として殿堂入りしそうな昨今である。ラグジュアリーブランドの知的な解としてストリートテイストが饗されるのは、アイロニカルな花束を受け取るような気分だ。「路上」とはもちろん、ビートニクを体現したジャック・ケルアックの代表作だが、90年代より遥か前の1950年代の若者たちは反体制的な文学運動に熱狂し、自由を希求した。しかし「路上」の主人公と同名の青山のバー 「サル・パラダイス」は空前の90’sブームを知らずに閉店している。サル・パラダイスの由来はA.ギンズバーグのsad paradise、つまり悲しき楽園だ。ストリートの真実を大人が理解することは、決してない。

本誌では守本勝英さん撮影のファッションストーリー「聖なる路上にて」を掲載。

 

CHECK

安村崇 チェック トーガ
Photograph by TAKASHI YASUMURA

女学生時代、タータンチェックはあまりに近しい友人だった。初めて親に反抗し、初めて恋を知り、初めて裏切りを経験し、初めてほろ苦い嘘をついた時。大人になってからチェック柄の洋服を見ると、ほんの少しだけ甘酸っぱい幸せな気持ちになるのは、おそらく世界共通ではないだろうか。女の子はいつの世も瞳を輝かせて大人になることを夢見ていてほしい。胸をはって堂々と、綺麗な大人になってほしい。大人になるのは辛いことばかりじゃない。素敵なことだってたくさんある。あの頃の儚い色彩の日々を大事に心の奥の部屋にしまっておこう。大人の女性のためのチェック柄が似合う日がきっと来るから。涙も笑顔も昔より深く色が交差して、未来へと輝く色になる。

本誌では松原博子さん撮影のファッションストーリー「女は女である」を掲載。

 

SPORT

安村崇 スポーツ ディオール
Photograph by TAKASHI YASUMURA

ファッションに限らず、恣意的な意匠をすべて省き、機能性のみで構成されたプロダクツの方が、純粋に装飾的なデザインよりもクールである、という気分が世の中に蔓延している。意味を重視するあまり、非効率という贅沢な文化が生き残る余地が減っている。いうまでもなく、ファッションにおける究極の機能的なデザインはアスリートのスポーツウェアだ。新素材、ドローコード、コンシールファスナー、スニーカー、スウェット、パーカ…。古臭い象牙の塔のプライドを捨てて、スポーツの軽やかな気分をファッションのディテールに落とし込むことは、アスリートが常に未来を目指して限界に挑戦するように、未来へと駆り立てられるモード界の希望を込めた祈りのようにも見える。

本誌では操上和美さん撮影のファッションストーリー「疾風の女神へ」を掲載。

 

SCARF

安村崇 スカーフ サカイ
Photograph by TAKASHI YASUMURA

スカーフのような薄い布、スカーフのような華やかな柄、スカーフのように自由に、スカーフのようなドレスを……。それは女性たちにとって、古典的でもありスタンダードでもあり、新しくもあり懐かしくもある。今季、ドリス・ヴァン・ノッテンをはじめとして多くのブランドが、軽やかなスカーフをモチーフにした構築的なドレスを発表している。男性の骨太な体躯には決して適さない、女性ならではの軽やかな自己表現。誇張された異次元のフォルムから解放されて、のびのびと春を楽しむかのような服たちの口笛が聞こえるだろうか。それは自家中毒に苦しむファッション界にあって、アスファルトの端に自ら種を蒔いた小さな野花によるまっすぐで繊細な歓びの歌なのである。

本誌では奥山由之さん撮影のファッションストーリーに「スカーフが人体に及ぼす 美の研究 [Evidence-based Practice]」を掲載。

 

LOGO

安村崇 ロゴ グッチ
Photograph by TAKASHI YASUMURA

ブランドのロゴが入ったバッグをこれ見よがしに持つ…というポーズが流行った時代があった。女子高生にまで蔓延したブランドロゴのブームを経て、ラグジュアリーブランドのロゴは封印され、商品の表舞台からは一度姿を消した。ところが昨今、再び空前のロゴブームが来襲している。大衆に消費されるロゴ表現ではなく、ブランド側がみずから仕掛け、時にわざとスペルを間違えたジョークのような諧謔(かいぎゃく)を見せる。ロゴを打ち出す時は必ず手綱はブランド側が握って采配しなければいけない。このクールで戦略的な遊びにミレニアル世代はグッときた。シンプルでキャッチーなイメージのリニューアル。新しい時代の新しい顧客に向けての挑戦は、まさに今の時代を象徴している。

本誌ではオザワキヨエさん撮影のファッションストーリー「東京慕情 ─はじまりの予感─」を掲載。

 

杉咲花 美容室
髪を切るって、自分をリニューアルすること。カラーでもパーマでもなく、はさみを入れるだけで、まったく違う一面がのぞくものだから。 新たな「自分らしさ」を見つけるカットに、4人の女性がチャレンジ。 女優の杉咲花さんは、3段階のヘアチェンジを見せてくれた。

 

メイク フェイスメイク ベースメイク
エフォートレスな気分がますます加速する、この春夏のベースメイク。 今私たちに必要なのは、素肌より美しく、でも素肌よりさらに軽い肌。 今すぐ手にして、どんな勝負も制するビューティ・アスリートに!

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