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NIJIRO MURAKAMI

27 August 2020

村上虹郎を知るための10のこと。
映画俳優として出たいのは「歴史を無視していない作品」

チャーミングな表情ながら、口を開けば成熟した印象を見せる村上虹郎さん。デビューから6年、映画界で愛され続けてきた23歳の彼は今回、豊原功補さん、小泉今日子さん、外山文治監督らで立ち上げた映画製作会社「新世界合同会社」の第1回プロデュース作品『ソワレ』で主演。ある事件をきっかけに、海辺の街の高齢者施設で働く若い女性とともに、先の見えない逃避行に出る青年役を演じました。村上さんに作品のことから、理想とする大人像、ハマっている海外ドラマまでお話をお聞きします。

Q1.『ソワレ』 に出演することになったきっかけを教えてください。
以前、外山文治監督の短編『春なれや』に出演したんですが、2018年にその作品のDVD化を記念して、渋谷のユーロスペースでアンコール上映とトークショーがあったんです。そこへ豊原功輔さんと小泉今日子さんがいらしていて。たしかその場で「(外山監督と)映画をつくるから」と言われた記憶があります。そういう経緯があって、脚本の第一稿が完成するより前から関わらせてもらっていました。
Q2.脚本を最初に読んだときはどう感じましたか?
最初の段階では、よく言えば淡く切ない青春ものだけれど、シニカルな見方をすると「なぜ今これを撮る必要があるの?」という感想でした。そこから推敲が重なって、脚本が徐々に社会的な視点を帯びていった印象です。これまであまり観たことがない、“社会的な切り口できちんと若者を描いた青春映画”が出来上がったと思います。外山監督が描く世界は素朴で繊細で、頑固な部分があるので、役者も作品と本気で向き合わなければならない。もちろんどんな役でもそうなんですが、特にこういう作品だと、編集では演技力が誤魔化せないというか。現場ではやっぱり気合が入りました。
Q3.ロケ地・和歌山で印象的だったことはありますか?
和歌山の街には、人を邪魔しない感じがあるんです。いい意味で放っといてくれるというか。大阪みたいに距離感が近いわけでもなく、東京みたいに資本主義的じゃない…って、どちらの街も自分と縁があるので言えますけど。『ソワレ』の撮影中は2日くらいしか休みがなかったので、行けたのは那智の滝くらい。でもその後にたまたま別作品で、また和歌山に1か月くらい滞在して。そのときは余裕があったので、熊野大社や南紀白浜に行ったり、日本最古といわれる温泉(湯の峰温泉 つぼ湯)にも入ったりして、満喫できました。
Q4.『ソワレ』でも描かれていたように、生まれた環境は子どもの未来を決定的に左右します。そういう不平等な社会で苦しんでいる人のために、私たち一人ひとりができることはなんだと思いますか?
「苦しんでいる人」というと幅が広すぎるので、『ソワレ』に登場するような行き場のない若者に対して語るとすれば、僕は俳優だから、自分が関わった作品を目にしてもらうことで、彼らと触れ合えるのかなと思います。逆に言うと、今の自分にはそれくらいしかできない…。もちろん自発的に何かしたければ行動するし、「助けに行け」と働きかけられたら行くだろうし、それを嫌だとは思ってはいません。ただ苦しんでいるからといって、その人自身が僕に声をかけてくるかというと、必ずしもそうではないと思うんですよね。この質問、論文にできるくらい難しいレベルの話ですね…。
Q5.俳優として今後、どんな作品に関わりたいですか? 指針があれば教えてください。
歴史を無視していない作品、ですかね。それを自分で判断するにはまだ勉強不足なので、旧作映画を毎日観ながら、知識をちょっとずつ身につけているところ。クラシックに依存したいわけではなくて、そこから先に進みたいからこそ歴史を知りたいんです。たとえば身近な両親についてだって、現場で共演者の方から「昔、親父さんと…」と話しかけていただいて、また一つ過去を知る。学ぶべきことが膨大すぎて正直、1回休んでインプットに集中したいくらいですが、なかなかそうもいかないですよね。
Q6.3月に23歳を迎えられましたが、理想とする大人像について教えてください。
以前は「笑い、笑われて死にたい」っていう哲学があったんですが、それに飽きてきちゃって、最近はあまり理想がどうかとかは考えませんでした。ピカソみたいに、スタイルを打ち立てては壊していくような生き方には憧れますが、ここ数年で自分が前より社会に順応してきた気もします。まぁ「大人だからわかってるよね」というようなことに対して、今はしっくりきているのかなと。とはいえワチャーって弾ける瞬間は変わらずあるんですけどね。
Q7.誰もがステイホームを余儀なくされた自粛期間中、何か考えたことはありますか?
個人的にインターネット上での、無料の発信に対して少し疑問があるんです。僕は元々SNSをほとんどやっていなかったけれど、自粛中に余計、執着もなくなった。もちろん他の人の投稿に励まされることもあったので、頭ごなしにSNSを否定しているわけではなくて。ただ、僕が仕事で携わっている世界は広く見えるかもしれないけれど、一人ひとりが生きている場所は実際もっと狭いわけで。だからこそ発信の場では、お互いの体験に価値をつけ合うべきなんじゃない?と思います。そういう考え方だからか、ある人から「合理的な神秘主義者だね」と言われたことがあって、妙に納得しました。
村上虹郎を知るための10のこと。<br>映画俳優として出たいのは「歴史を無視していない作品」 村上虹郎を知るための10のこと。<br>映画俳優として出たいのは「歴史を無視していない作品」
Q8.最近ハマっているものは?
自粛中、ずーっと海外ドラマを観ていました。映画も大好きだけど、そのレベルをドラマが超えてきちゃってるかもなと。僕の中でトップ入りをしている作品は、初めて全シリーズを完走した『ブレイキング・バッド』。そこに『ゲーム・オブ・スローンズ』が食い込み始めていて。『ウォーキング・デッド』も好きですし、あとは最近よくみんなに『POSE/ポーズ』を観るように言われていて。特に女性からおすすめされることが多くて、次に観てみようかなと思っています。
Q9.落ち込んだり弱ったりすることはありますか? そういうときのエネルギーのチャージ法を教えてほしいです。
基本的に弱ってます(笑)。つまりそれって、自分を見失っている状態ですよね。「自分は何が好きだったのかな」「何をやり遂げたかったのかな」ということがわからなくなってくる。そういうとき、僕の場合はそうなった原因を分析して、「自分は悪くなかった」と認識するか、「自分がダメだった」と反省するか、そのどちらかしかないですね。え、もし現実逃避したいと思ったら?そういうときはゲームをやります。よくやるのは、『フォートナイト』などバトルロイヤルゲームの元祖と言われる『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』です。
Q10.私服のこだわりがあれば教えてください。
眼鏡と靴さえちゃんとしてれば大丈夫というタイプ。超現実的な話をすると、服を自由に買えるほどお金が追いついてないんです。いろんなことに費やす必要があるから…。マジで最近、服買ってないです。衣装でいろいろ着せてもらえるから、というのもありますけどね。

INFORMATION

『ソワレ』

監督・脚本:外山文治
出演:村上虹郎、芋生悠、岡部たかし、康すおん、塚原大助、花王おさむ、田川可奈美、江口のりこ、石橋けい、山本浩司
配給:東京テアトル
8月28日(金)よりテアトル新宿、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸他、全国公開
©️2020ソワレフィルムパートナーズ
soiree-movie.jp

PROFILE

村上虹郎
Nijiro Murakami

1997年生まれ。2014年、河瀨直美監督による、カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品『2つ目の窓』でデビュー。映画初主演を果たす。以降、映画、ドラマ、舞台で幅広く活躍。主な出演映画に『ディストラクション・ベイビーズ』、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17)、『武曲 MUKOKU』、『犬ヶ島』、『ハナレイ・ベイ』、『銃』(18)、『ある船頭の話』(19)など。公開待機作に『銃2020』、『燃えよ剣』、『佐々木、イン、マイマイン』がある。

CREDIT

Photo: Kentaro Oshio 
Movie: Norberto Ruben
Stylist: Tadashi Mochizuki 
Hair&Makeup: TAKAI
Text: Tomoko Ogawa 
Edit: Milli Kawaguchi

CLOTHING

ジャケット¥36,000、Tシャツ ¥ 18,000(M A S U/TEL:03-6419-7028)
その他スタイリスト私物

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