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TAIGA NAKANO

20 November 2020

仲野太賀を知るための10のこと。
「今喜びを感じる瞬間は、自分の行動が“誰かのため”になったとき」

インディーズからメジャーまで、幅広いジャンルの映画に挑戦してきた仲野太賀さん。秋田県男鹿半島の伝統行事「ナマハゲ」を題材にした新作『泣く子はいねぇが』では、娘が生まれるもなかなか父親としての自覚を持てない不器用な主人公を熱演しています。今作で描かれているテーマについて思うことや、撮影直後に放心状態になったほど思いを込めたラストシーン、また最近読んでおもしろかった本などについてお話を伺いました。

Q1.『泣く子はいねぇが』の佐藤快磨監督とは、短編映画『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』(2015)以来、2度目のタッグだそうですね。是枝裕和監督が企画から関わるなどで注目を集めている今作ですが、オファーを受けたときはどのように思いましたか?
佐藤監督と前回ご一緒したときに、次はどんな作品を考えているのか聞いたら「ナマハゲを題材に撮りたい」とおっしゃっていたんです。ナマハゲの映画なんて観たことがなかったので、すごく楽しみでした。その数年後に、あらためて監督から「(主演を)太賀くんにお願いしたい」と言ってもらえて、素直に嬉しかったですね。紆余曲折あって、やっと撮れる体制になったとおっしゃっていたので、僕も監督の覚悟に応えたいと思いました。
Q2.太賀さん演じる主人公・たすくは、娘が生まれても父親になる覚悟が見えないと、妻・ことね(吉岡里帆)から別れを切り出されます。さらにナマハゲ参加中に酔った勢いでトラブルを起こしてしまい、地元の秋田を逃げるように去る。そんなたすくの人物像をどう捉えていましたか?
無意識的に大きな問題から逃げてしまう未熟さは感じました。きっと、観客の方にも甘ったれた人物にみえると思います。でも本当は、たすくにはことねや娘への愛情がたしかにあるし、自分の過ちもわかっている。だからこそ離婚後には東京にひとりで暮らし、妻子に自分の思いを押し付けたりしなかったんです。その、愛情をうまく表現できない不器用さと切実さを両方大事にしながら演じたいと思っていました。
Q3.佐藤監督が5年の歳月をかけたという、脚本を読んだときの感想は?
たすく自身の亡き父親や元妻子に対する思いはもちろん、佐藤監督の映画に対する熱量も感じられて、お世辞なしに素晴らしい作品だと思いました。何よりラストシーンを読んだときに、「ここを演じたい」という衝動に駆られて、撮影を一番楽しみにしていましたね。
Q4.ナマハゲ姿のたすくが感情を爆発させる、圧巻のラストシーンでした。演じてみていかがでしたか?
撮影直後はもう、放心状態でした……。お面を被るとなると、演じる上で最も情報量が多い「顔」を取られてしまうことになります。それでも、観る方の心に残るように演じられるかが課題であり、挑戦したい理由でもありました。ハードルは高かったですが、自分なりに、たすくのこれまでをものすごく膨らませた上で臨みました。たぶん……彼は、ずっと見返りを求める人生を送ってきた。でもこのシーンで初めて無償の愛のような感情をぶつけることができて、大人になったのかもしれないです。
Q5.ご自身も「大人になった」と感じることはありますか?
そう感じる機会は増えてきたかなと思います。たとえば、自分の行動が「誰かのため」になった瞬間に感じる喜びをわかるようになってきました。特に映画の現場など、ものづくりの場面で感じることが多い気がします。映画はひとりで作っているものではないから、みんなが納得する形を探してしたことが感謝されると嬉しくて。「あなたにやってもらえてよかった」なんて言ってもらえたら、最高ですね。
Q6.今作では大人や親になることの責任、世代間の考え方の違い、家庭の不和など現代的なテーマがいくつも描かれています。太賀さんの心に刺さったテーマはありましたか?
そうですね……(しばらく考える)。この映画は過ちととれる行為で始まり、また終わります。大人になるって器用に積み上げていくことのように感じられるけど、たすくの姿を通して、散々壁にぶち当たって傷だらけになりながら成長していくこともあるんだと思えました。
Q7.映画がお好きとのことでぜひお聞きしたいのですが、今作にちなみ、家族を描いた作品でおすすめの1本はありますか?
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は何度も観ている大好きな作品です。実は『泣く子はいねぇが』の撮影前にも観返しました。家族の再生を試みるところや、過去に過ちを犯してしまった人間がどう生きるのかという部分がヒントになるんじゃないかと思って。
Q8.近作に『生きちゃった』、待機作に『すばらしき世界』、『あの頃。』など話題作への出演が続々と発表されています。そんなお忙しい中でのリフレッシュ方法を教えてください。
友だちとお酒を飲むことですね。仕事の相談をしたり他愛もない話をしたりするのが、リフレッシュになります。自粛期間中はZOOM飲みもかなりしました。少しずつ対面で遊びに行けるようになってきて嬉しいです。
仲野太賀を知るための10のこと。<br>「今喜びを感じる瞬間は、自分の行動が“誰かのため”になったとき」 仲野太賀を知るための10のこと。<br>「今喜びを感じる瞬間は、自分の行動が“誰かのため”になったとき」
Q9.映画でも本や音楽でもいいのですが、最近感銘を受けた作品があれば教えてください。
ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』という本が、めちゃくちゃおもしろかったです。僕は作家の西加奈子さんのファンなのですが、西さんがブレイディさんと対談された記事で、この本を絶賛されていたのをきっかけに、手にとりました。日本に住んでいるとなかなかわからない「多様性」について、ブレイディさんと息子さんの関係を通して知ることができ、勉強になるんです。
Q10.西加奈子さんの小説にも、常識に縛られない個性豊かな面々が登場する印象があります。多様性というテーマに興味がおありなんでしょうか?
興味、というよりも焦りに近いですね。多くの国では当たり前に考えられていることだろうし、少しでもインプットしないと世界からどんどん遅れてしまいそうで。僕がいる映画界で言うなら、海外の作品は当然のように多様性の向こう側を描いていますが、日本の作品はまだそこまで辿り着いていないように思います。日本映画を更新するような作品に携われるように、僕自身も常に感度を高くして、知らないことをどんどん学んでいきたいです。

INFORMATION

『泣く子はいねぇが』

監督・脚本・編集:佐藤快磨
主題歌:折坂悠太「春」(Less+ Project.)
企画:是枝裕和
エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
出演:仲野太賀、吉岡里帆、寛 一 郎、山中 崇、余 貴美子、柳葉敏郎
配給:バンダイナムコアーツ/スターサンズ
11月20日(金) より新宿ピカデリー他全国ロードショー
©2020「泣く子はいねぇが」製作委員会
nakukohainega.com

PROFILE

仲野太賀
Taiga Nakano

1993年生まれ、東京都出身。2006年に俳優デビュー。主な出演作は、『桐島、部活やめるってよ』(12)、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』、『アズミ・ハルコは行方不明』、『淵に立つ』(16)、『南瓜とマヨネーズ』(17)、『海を駆ける』、『母さんがどんなに僕を嫌いでも』、『来る』(18)、『静かな雨』、『今日から俺は!!劇場版』、『生きちゃった』(20)など。公開待機作に『すばらしき世界』、『あの頃。』(21)などがある。

CREDIT

Photo: Takuya Nagamine 
Movie: Norberto Ruben
Stylist: Masaki Takahashi 
Hair&Makeup: Dai Ishii
Text: Yoko Hasada 
Edit: Milli Kawaguchi

CLOTHING

シャツ¥54,000、パンツ¥39,000
(ジョン スメドレー/リーミルズ エージェンシー)
ベルト¥15,000
(レディッシュ ブラウン/レディッシュ ブラウン)

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