しっかりと目線を合わせながら、一つひとつの質問にまっすぐ向き合う北村匠海さん。その静かで落ち着いた物腰からは、今回『とんかつDJアゲ太郎』の主人公・アゲ太郎役で見せたお調子者ぶりは、まったくうかがえません。自分とは正反対ともいえるキャラクターを演じた感想や、撮影中の思い出とは?話題作への主演が続き、忙しく過ごしている日々の中で考えたことや同世代の仲間たち、将来について。たくさん話していただきました。
北村匠海を知るための10のこと。
「今は感性をためるとき。いつかめちゃくちゃ自由に生きたい」
Q1.クラブミュージックをテーマにした映画『とんかつDJアゲ太郎』。北村さんが撮影中、劇中の音楽同様にアガッた瞬間はありましたか?
音楽好きの僕としては、撮影場所のクラブにいるだけでアガりました!普段は入れない昼間のクラブや控室を見渡すと、なんだかすごく不思議な感覚で、ちょっと得した気持ちになりましたね(笑)。個人的に自宅でもDJに触れているけれど、今回みたいに大きなステージで音楽をかけて、フロアにいるみんながノッているのを見るのは、本当に楽しかったです。普段しているバンド活動(DISH//)とはまた違う快感がありました。
Q2.個人的にも音楽がお好きとのこと。その趣味は、アゲ太郎を演じるうえで活かされましたか?
逆に使命感を感じすぎちゃって……。友達から「匠海がアゲ太郎やるの、やばいね!」って期待されたりすると、プレッシャーを感じる部分もあったり(笑)。でも、自分が音楽と芝居の両方をやっているからこそ、たどりつけたかもしれない作品だなと思います。頑張ってきたそのふたつを一度に背負えることも、うれしいです。
とはいえ、僕とアゲ太郎は全然キャラが違いますね。いつもはもう少し共通点のある役が多いんですが、僕が青ならアゲ太郎は真っ黄色、みたいに正反対。なかなかチャレンジングな役でした。
Q3.アゲ太郎はやや妄想が過ぎるというか、良くも悪くも思い込みが激しいキャラクターですよね。正反対だという北村さんご自身はどうでしょう?
思い込みは激しくないかなぁ……アゲ太郎とはベクトルが違うけど、すごく考えるタイプではありますね。周りの人の言動を見て「この人こう思ってるかも」とか「あれ、この間(ま)はなんだ……?」とか、たまに「僕、なんかしちゃったっけ?」とか。でも、アゲ太郎の思い込みの激しさからくる“瞬発力”はすごいですよね。すぐ結論から入って、あとはどうにでもなれ、みたいな(笑)。僕はゴールを決めて突っ走ることはなくて、いまを大事に楽しく生きていった先に何かがあるだろう、というタイプ。だから、アゲ太郎みたいに「俺はDJになる!」「頑張る!」っていうふうには生きられません(笑)。
Photo: Ahlum Kim Movie: Norberto Ruben Text: Sakura Sugawara Edit: Milli Kawaguchi