チャーミングな表情ながら、口を開けば成熟した印象を見せる村上虹郎さん。デビューから6年、映画界で愛され続けてきた23歳の彼は今回、豊原功補さん、小泉今日子さん、外山文治監督らで立ち上げた映画製作会社「新世界合同会社」の第1回プロデュース作品『ソワレ』で主演。ある事件をきっかけに、海辺の街の高齢者施設で働く若い女性とともに、先の見えない逃避行に出る青年役を演じました。村上さんに作品のことから、理想とする大人像、ハマっている海外ドラマまでお話をお聞きします。


村上虹郎を知るための10のこと。
映画俳優として出たいのは「歴史を無視していない作品」
Q1.『ソワレ』 に出演することになったきっかけを教えてください。
以前、外山文治監督の短編『春なれや』に出演したんですが、2018年にその作品のDVD化を記念して、渋谷のユーロスペースでアンコール上映とトークショーがあったんです。そこへ豊原功輔さんと小泉今日子さんがいらしていて。たしかその場で「(外山監督と)映画をつくるから」と言われた記憶があります。そういう経緯があって、脚本の第一稿が完成するより前から関わらせてもらっていました。
Q2.脚本を最初に読んだときはどう感じましたか?
最初の段階では、よく言えば淡く切ない青春ものだけれど、シニカルな見方をすると「なぜ今これを撮る必要があるの?」という感想でした。そこから推敲が重なって、脚本が徐々に社会的な視点を帯びていった印象です。これまであまり観たことがない、“社会的な切り口できちんと若者を描いた青春映画”が出来上がったと思います。外山監督が描く世界は素朴で繊細で、頑固な部分があるので、役者も作品と本気で向き合わなければならない。もちろんどんな役でもそうなんですが、特にこういう作品だと、編集では演技力が誤魔化せないというか。現場ではやっぱり気合が入りました。
Q3.ロケ地・和歌山で印象的だったことはありますか?
和歌山の街には、人を邪魔しない感じがあるんです。いい意味で放っといてくれるというか。大阪みたいに距離感が近いわけでもなく、東京みたいに資本主義的じゃない…って、どちらの街も自分と縁があるので言えますけど。『ソワレ』の撮影中は2日くらいしか休みがなかったので、行けたのは那智の滝くらい。でもその後にたまたま別作品で、また和歌山に1か月くらい滞在して。そのときは余裕があったので、熊野大社や南紀白浜に行ったり、日本最古といわれる温泉(湯の峰温泉 つぼ湯)にも入ったりして、満喫できました。

CLOTHING
ジャケット¥36,000、Tシャツ ¥ 18,000(M A S U/TEL:03-6419-7028)、その他スタイリスト私物
Photo: Kentaro Oshio Movie: Norberto Ruben Stylist: Tadashi Mochizuki Hair&Makeup: TAKAI Text: Tomoko Ogawa Edit: Milli Kawaguchi