6月30日、〈ザ・リラクス〉が待望の路面店第一号を原宿・明治通り沿いにオープン。
インラインの商品はもちろん、他ショップとのコラボアイテムもすべて揃うという「THE RERACS FITTING HOUSE」。
場所は、明治通り沿い、原宿と北参道の間にあるヴィンテージマンション「ビラ・ビアンカ」の2階。道路沿いに大きなショーウィンドウが並び、心地よい風が通る建物だ。
ブランドのショールームのようにシーズンサンプルが勢揃いする店内。
買う側にとって、コレクションの全ラインナップが見られたり、実際に試着できるスペースというのはかなり珍しいのでは? とエディターYも興味津々!
というのも、秋冬シーズンの洋服の立ち上がり時期といえば7月末〜8月上旬だが、
この「THE RERACS FITTING HOUSE」では、その約一ヶ月前からすべての商品を見ることができ、事前オーダーが可能。それぞれの納期に合わせて商品が自宅に配送されるという仕組みになっている。
もちろん、来店時にすでに在庫があるものはオーダーの翌日、または翌々日には配送してくれるというのだから、とても合理的なショッピングであることが分かる。
洋服の立ち上がり時期により、店頭に並ぶ商品が異なっていた今までのシステムとは大きく異なるけれど、よく考えるとメリットだらけの新たな試みに大きく納得!
さらに店づくりのこだわりをデザイナーの倉橋直実さん、ディレクター倉橋直行さんに伺った。
「お客さまが見やすいように陳列の間隔は広くとり、さらにラグジュアリーな空間づくりを心がけています。店内はホワイトとグレーを基調に、ゴールドやシルバーの什器を用いてブランドイメージとの統一感を考えました。手前からウィメンズ、奥にメンズと並んでいる構成になっていて、コーディネイト提案がしやすいように、ラックに並べる洋服の順番も工夫しています」(倉橋直実さん)
(デザイナー倉橋直実さん。秋冬シーズンより、オールブラックの装い。)
ブランドのスタートは2010年。そのさらに前から、自分たちの店の構想ができていたという。
「実は、ディレクターの倉橋が前職のメーカーに在職していた頃から、商品を綺麗な状態でお客さまに届ける新しい販売モデルの構想はありました。遡ると13年位前でしょうか。その後、〈ザ・リラクス〉が立ち上がり、さらにブランドが成長していくなかで、店づくりへの夢が具体的になってきたんです。この建物は1964年の東京オリンピックの頃に建てられたビラシリーズのひとつ。今回改装をお願いした南貴之さんには前々から、お店の構想について相談していたのですが、昨年末、ここのスペースが空き物件になったことをきっかけに、いよいよ店舗計画が本格化。もともとヴィンテージマンションにこだわっていたわけでないのですが、旧き良きものを編集して、現代に再生させる「スクラップ&リビルド」というブランドの考えにも共通すると思っています」(倉橋直実さん)
(店内中央、シューズのディスプレイ。奥には店頭ストックが並ぶ)
「フィッティングハウスはPRの役割も担っています。“売る”ための場所ではなく、ブランドのことをまずは“知って”もらい、“体験”してもらうためのスペース。店頭では商品が納品される時期を気にすることなく、いつでも自分の都合の良い時にフィッティングすることできます。大げさに言えば、ここでは試着だけで、買わなくてもいいんです。帰宅後、やっぱりあの服良かったなって思ってもらえたら、後日ECサイトから購入することもできる。究極的に合理的な買い物を提供したい、その想いからこの「THE RERACS FITTING HOUSE」をつくりました」(倉橋直行さん)
店舗スペースを選ぶにあたり、譲れなかった条件は?
「ブランドのイメージを表現できる一定の広さと、立地です。実は今まで、商業ビルのテナントの話をいただいたこともあったんです。ただ、最初はやはりインショップではなく、他のブランドとの距離を置きたかった。ここは意外と静かで、人通りの多さも程良いんです。いわゆる商業地域ではないですが、そういったエリアに拠点を置くことは、自分たちの働きやすさもに繋がっているんです(倉橋直行さん)」
ファッションの生産背景が整っているブランドだからこそできる、新しい店の在り方。
体験してこそ分かる服の魅力を、ぜひ「THE RERACS FITTING HOUSE」で。
場所:東京都渋谷区神宮前2-33-12 VILLA BIANCA 2階
時間:11時〜20時
休み:不定休
◯問い合わせ ザ・リラクス ☎03-6432-9710 thereracs.net
Text:Kaori Yamamoto