技術が凝縮したビューティの世界を 佐和子調査員が紐解いていくこの連載。 今回は「塗る」とは違うスキンケアのお話。
AI化するスキンケア。肌上に極薄膜を作る、最先端のお手入れセット:ビューティ調査員佐和子が行く!
今月のPICK UP
エスト
バイオミメシス ヴェール
夜のお手入れの最後にファインファイバーで湿潤環境を整えるセット。透明感やハリ・弾力まで翌朝の肌の変化に期待。バイオミメシス ヴェールエフェクター ¥12,000、同 ヴェールディフューザー ¥50,000、同 ヴェールポーション ¥8,000(エスト | 花王)
「いよいよスキンケアもAI化?」。そんな噂でもちきりなのが、ファインファイバーテクノロジーを応用、高性能小型ディフューザーを用いた花王estのバイオミメシス ヴェールだ。なんと、目に見えないほど極細の糸ファインファイバーを肌に直接吹きつけ、極薄膜をつくってお手入れする、前代未聞、新次元のスキンケア提案だ。
「おむつや生理用品など、不織布の基盤研究を続ける過程で、糸を細くするメリットと未知の可能性に気づいたのが10年ほど前。糸が細くなると、薄く、柔らかくなるだけでなく、透明性が増し、液体を引き込む毛管力もアップするんです。この優れた技術をなんとかスキンケアに応用できないだろうか、と5年ほど前にプロジェクトがスタートしました」(研究開発部門スキンケア研究所・内山雅普さん)。
そこで、極細の糸を吹きつけ、肌上に極薄膜を作る小型のデバイスと、膜と組み合わせることで肌を最適な湿潤環境へと導くラメラ製剤スキンケアとで行う革新的なアプローチが完成。「精密機器であるデバイスの小型化は、その道のエキスパート、パナソニックと技術提携を結び、実現。また、ラメラ製剤も極薄膜との相乗効果を狙って、独自に開発したものです。数年かかりましたが、有効成分に頼っていたスキンサイエンスや、肌に塗るだけのスキンケアとは一線を画す、まったく新しいケア提案を実現させることができました」。
まるで、スキンケアの再発明とも言える先進性は、すでに海外からも注目の的でその可能性は無限大。日本が誇るビューティカルチャーにまたひとつ、新潮流誕生の予感だ。
Photo: Kenichi Yoshida (No.2) Text: Sawako Abe