ドレスアップしたお出かけ先でふとした瞬間の仕草がエレガントに!トータルフードプロデューサー・小倉朋子さんによるマナー講座、スタートです。
サンドウィッチ、寿司、パスタetc. 料理別テーブルマナー【GINZAお作法教室】
サンドウィッチは両手で食べる
サンドウィッチはもともと片手で手軽に食べるためにつくられたもの。ナイフやフォークを使わずに直接かじってもよいが、エレガントに食べるには、片手で持つのはNG。厚みがあったり汁気が出やすいものも多いので、しっかり両手で持ち、「指先ふんわり」も意識する。
具材や汁気をこぼさないためには、パンを唇にしっかりつけてかじるのがポイント。そして、かじった断面の歯形が同席者に見えないように配慮して。サンドウィッチをテーブルと平行ではなく、少し斜めに傾けて口に入れると、歯形が見えにくくなる。皿にいったん置くときは、必ず断面を自分側に向けること。こうした食べ方や作法は、ハンバーガーにも共通する。
ニットトップ ¥11,000(アモーメント | ショールーム ロイト)/ジャケット ¥93,500(ハイク | ボウルズ)/皿 ¥1,650(ポルバサル | ザッカワークス)
スープはすすらず流し込む
器を持ち上げられないスープは、一度にすくう量をスプーンやれんげの2/3程度に抑えることが、こぼさないコツ。スプーンを水平にして口に運んで下唇に軽くのせ、少し傾けて流し入れるように飲む。
スープをすくう方向は「手前から奥」が英国式、「奥から手前」がフランス式で、どちらでもOK。量が少なくなったら、器の手前をつまんで奥へ傾けるとすくいやすくなる。飲み終えたら、スプーンは受け皿の奥に置くか、受け皿がない場合は器の中へ入れる。これが「皿を下げてください」という意思表示になる。
皿 ¥1,650(サタルニア)、スプーン ¥1,430(ピカード&ヴィールプッツ | 共にザッカワークス)
ラーメン・うどんは箸でコントロール
スープに浸かった麺類を食べるときに大切なのは、途中で嚙み切らないこと、汁をはねさせないこと。まず箸で麺を軽くほぐし、少量を持ち上げて口に入れ、麺をすすりながら3回くらいで口に送っていく。このとき、麺のしっぽの方を箸で持つと、汁を飛ばさずに食べられる。ラーメンは、れんげを左手に持って麺をのせて食べると、より上品な印象になる。ただしスープを飲むときは、箸を置いてれんげを右手に持ち替えるのが◎
ごはんは一方向に箸を進める
茶碗は4本の指をそろえて底を支え、親指をふちに添えて持つ。茶碗の中のごはんを上下の2層で考え、上段の左手前から右奥、次に下段の左手前から右奥という順番に食べていくと粒を残さず完食できる。ごはんはすくうのではなく箸先で一口大の量をはさんで取ること。味噌汁は、まず椀のふたを開け、ふたの内側を上にして椀の右側に置く。次に右手を椀の横に添えて、その後左手で椀の高台を支え持つ。そして香りを楽しんでから、椀に口をつけて音を立てないように、具を箸でつまんで口に運び、汁と交互にいただく。
寿司は寝かせて醤油をつける
握り寿司は手で食べても問題ないが、エレガントに見せるなら箸を使おう。まず握り寿司を箸先で左側に倒し、寿司の上下をはさむようにして平行に持つ。次にシャリが崩れないようにネタの端に醬油をつけ、ネタを上に向けて口に運ぶ。醬油が垂れるのが心配なら、醬油皿を持って食べる。手を受け皿のようにする「手皿」は、丁寧に見えて実はマナー違反なので注意して。ひと口で食べるのが望ましいが、食べきれない場合は皿に戻さず、2〜3口で食べる。軍艦巻きは、ガリに醬油をつけてネタに塗るとスマート。
パスタはスプーンを使わずに!
パスタを食べるときにスプーンを使うのは日本流で、正式ではない。注文してフォークとスプーンが用意されたら問題ないが、ここはスプーンなしで食べる術を身につけたい。フォークの歯のすき間に麺を3〜4本取り、皿の余白にフォークを垂直に立てて巻くと、ちょうど一口サイズの量にまとまる。フォークの先を皿につけたまま巻きつけるのがポイント。また、ボンゴレのアサリを食べるときは、ひとつ食べるたびにナイフで殻を押さえてフォークで身を外すのが正解。手長エビなど、殻付きの食材はこの方法が応用できる。
皿 ¥1,980(サタルニア)、フォーク ¥1,430(ピカード&ヴィールプッツ | 共にザッカワークス)
ショートパスタは刺さないで
ペンネやフジッリなどのショートパスタは、フォークを突き刺してしまうと品がなく見える。フォークの腹にのせて落とさないようにして口に運ぼう。グラタンのマカロニにはフォークを使うのが正式とされているが、グラタンはたっぷりのソースと食べるのがおいしい料理。こちらはスプーンを併用して食べても問題ない。
皿 ¥1,430(ポルバサル | ザッカワークス)
蕎麦はまず風味を楽しむ
まず箸で2〜3本取り、つゆをつけずに、蕎麦の香りや食感を味わうのが粋。続いて、つゆにサッとくぐらせ、すすって食べる。このとき蕎麦ちょこを持てば、汁が垂れるのを防げるうえに、よい姿勢もキープできる。蕎麦は箸だけで吸い上げるのが正式なので、音を立てて問題ない。ざる蕎麦は、山盛りの場合は頂きから、平盛りの場合はすそ野から、三列に並んだ平盛りなら手前からいただく。それぞれ少量ずつつまんで食べていくと、蕎麦がからまず最後まで盛り付けが崩れにくい。
日本酒は両手で持ち上げて
両手で持ち上げて受けるのが、日本酒のお酌のマナー。升の中のグラスになみなみと注がれて提供された場合は、グラスから飲み、次に升にこぼれた日本酒を移して飲むか、升のまま飲んで木の香りを堪能しても。
ワインはグラスを置いて注いでもらう
ソムリエか給仕の人が注ぐのが基本。とくにフォーマルな店ではお客同士で注ぎあうのは避けて。グラスは持ち上げず、手はテーブルの上に置くのが正式。もし無作法に感じる場面があればグラスの台に手を添える程度に。
ワイングラス ¥3,300(リーデル | ロスト アンド ファウンド トウキョウ ストア)
焼き魚はひっくり返さずに
頭から尾へ一方向に食べ進めるのが焼き魚の基本。上の身を終えて中骨が見えたら、左手で頭を押さえ、箸で尾をつまんで頭のほうへと中骨をはがしていく。骨と頭は皿の奥に置き、下の身をいただく。その後、取り除いた小骨(口に入った場合は箸で取り出す)や皮、付け合わせのすだちなども皿の奥へまとめる。下の身を食べるときは、間違っても裏返したり、中骨の間から身をほじり出さないこと。
骨付き肉、最後は手でOK
まず骨と肉を分けることから始める。肉をフォークで押さえ、骨に沿うようにナイフを入れるとうまく切り離せる。外した肉は皿の手前に置き、左側から一口ずつ切っていただく。このとき、縦横のラインで肉を切ると肘が上がり腕の構えが崩れてしまうので、斜めに切っていくとよい。切り離せなかった肉は、ナプキンを添えて骨を持って食べるが、ソースがかかっている場合は控えておく。肉の斜め切りは、ステーキやカツレツなど別の肉料理にも使えるテクニック。
時にはピザをナイフ&フォークで
国や地域によって生地の厚さに特徴があるピザ。基本的にはどのタイプも、カジュアルな場面では手を使っても大丈夫。ただし、フォーマルなお店や食具が用意される場所では、ナイフとフォークを使おう。1ピースの尖った部分を左側に向けて、縦に切って食べ進め、3分の2に到達したら、ナイフの向きを変えて横に3〜4分割。そうして手前から奥にいただいていくと、耳の部分も具材やソースと一緒においしくいただける。チーズやソース、トッピングがこぼれそうなときは、表を内側にしてナイフで折りたたんでからフォークで刺す。この時「一口サイズを大きくしない」を忘れずに。
皿 ¥1,540(サタルニア)、ナイフ ¥1,760、フォーク ¥1,540(共にピカード&ヴィールプッツ | 以上ザッカワークス)
ミルフィーユはレイヤー別に
サクサクのパイ生地とたっぷりのクリームが魅力のミルフィーユは、きれいに完食するのが難しいスイーツのひとつ。崩さないポイントは、 上下の層を分けていただくこと。まず、フォークの歯を1本外に出して縦に刺し、二層目の生地の手前で止める。そのままフォークを外側に倒して切り分ける。この手順を繰り返して上の層から食べていくと、パイ生地が崩れにくいはず。ナイフがあれば、ぜひ活用を。上から押さえつけるとクリームがはみ出してしまうので、ナイフを前後に小刻みに動かすのがうまく切るコツ。
皿 ¥1,100(サタルニア)、フォーク ¥1,210(ピカード&ヴィールプッツ | 共にザッカワークス)
タルトは底までフォークで割る
三角形のケーキやタルトは尖った部分から一口ずつ切っていく。タルト生地は底がかたいので、ナイフがあればナイフを使い、フォークだけで食べる場合は、フォークを垂直に刺して底をしっかり割ってから、横にフォークを入れるときれいに切ることができる。上にフルーツがのったタルトなら、フルーツとフルーツの間をカットするとこぼれにくい。
皿 ¥1,100(ポルバサル | ザッカワークス)
ぶどうの種と皮は皿の隅に
食べ方に戸惑う、皮が付いた状態で出てくる果物。ぶどうは右手に持ち、左手で皮を2/3ほど剝いたら口に運び、指で押し出して食べる。種はフォークの上に出し、皮と一緒に皿の隅に置く。メロンは、まず果肉の中央にフォークを刺し、果肉と皮の間にナイフを入れて右から左へ半分ほどそぐ。次にメロンを180度回転させて向きを変え、左からナイフで切って食べていく。半分食べたら、右側の皮をそいで同様に食べる。
クロワッサンはかけらを集めながら
直接かじっても、手でちぎっても、外側の生地がポロポロと落ちやすいクロワッサン。パンくずが極力飛び散らないようにするには、クロワッサンの一部を皿につけてゆっくりちぎるとよい。このとき、指先をやわらかく優雅に使うことを意識する。皿に落ちてしまったパンくずは、中の生地部分を軽く押し付けて食べると、食べ終わりの皿もキレイに。もしパンくずがテーブルに飛び散ってしまったら、自分で片付けずに店の人におまかせするのがエチケット。
最後はナプキンで口のまわりを拭き、パンくずがついていないか確認する。皿につけてちぎる方法は、バゲットにも応用できる。
皿 ¥1,900(リマスタード | ロスト アンド ファウンド トウキョウ ストア)
サラダはひと口サイズで攻略
つい持ち上げたくなるサラダの皿は、置いたまま食べるのがマナー。フォークで刺しにくい野菜はナイフをサポート役に使うと、スマートにいただける。
ミニトマトのように球状の野菜は、ナイフを野菜の斜め右下に添えて支え、フォークを斜め横から刺すと転がりにくい。大きくて薄い葉物野菜は、ナイフで一口大に折りたたんでからフォークで刺すとよい。ベビーリーフなどの小さくて薄い野菜は、何枚か重ねて厚みをつくってフォークで刺し、玉ねぎのスライスや水菜などの細い棒状の野菜は、一口大に切ってまとめて束にすると刺しやすくなる。コーンの粒は、ナイフを使ってフォークの腹にのせて口に運ぶ。こうした食べ方は、野菜が前菜や付け合わせに出たときにも有効。
上段 ニットトップ ¥62,700(オーラリー)/スカーフ ¥11,000(マナー・マーケット | ショールーム ロイト)/皿 ¥1,650(ポルバサル)、ナイフ ¥1,650、フォーク ¥1,430(共にピカード&ヴィールプッツ | 以上ザッカワークス) 下段 皿 ¥1,430(ポルバサル | ザッカワークス)
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監修 小倉朋子さん
トータルフードプロデューサー。テーブルマナーや食を総合的に学ぶ「食輝塾」主宰。『世界一美しい食べ方のマナー』(高橋書店)など著書多数。totalfood.jp