黒の安心感にあぐらをかいて考えなしに身につけていると、単なる“無難な人”に…。そこで「モードなブラック」をものにするポイントを、3人のプロに教えてもらいました。
無難な黒じゃなく「モードなブラック」に!素材、肌見せ、シルエットのポイント
素材、肌見せ、シルエット
モードと無難の境界線
オールブラックをモードに導くポイントを、3つのテーマから考察します。
素材の組み合わせ
× NG POINT
フラットな素材で重たい印象
GOOD!
メリハリ素材で奥行きを
素材合わせに抑揚がないと、のっぺりした残念オールブラックに…
「軽い&重い、ツヤ&マットなど、素材感で強弱をつけることで、オールブラックののっぺり見えを回避。レザー、サテン、レースなど、トレンドのものを取り入れるとモード感がアップします」(吉田さん)。「染色の技術が発達して生まれたツヤのある黒は、高級で価値がある印象に。黒のネガティブなイメージを払拭しつつ、パワフルにまとまります」(山脇さん)
素材が見せるファッションの印象
・コットン…表情のある風合いで、カジュアルなイメージ。
・ウール…黒の発色に深みがあり、落ち着いた雰囲気。
・リネン…ラフで涼しげ。黒の発色も軽やか。
・シルク…美しい光沢と奥行きのある黒がリッチ。
・トリアセテート…とても凛とした黒で、高級感が漂う。
肌見せ
× NG POINT
肌が見えず抜け感なし
GOOD!
シャープな肌見せで小粋に
骨っぽい部分をグラフィカルに見せればスタイリッシュな黒スタイルが完成
トライしやすい黒ワンピースで比べてみると…。「今季らしいくるぶしまであるロング丈や全身を覆うようなシルエットで、胸元だけシャープに開いているとか…。“グラフィカルな肌見せ”を意識するとモードな雰囲気で着られます。逆に、あまりに肌見せ要素や装飾がないプレーンな黒ワンピースは、ブラックフォーマル感が漂いがち。華やかさや女っぽさに欠け、“黒衣感”が増してしまう恐れがあります」(吉田さん)
シルエット
× NG POINT
全身タイトで存在感が希薄
GOOD!
シルエットで華やかさアップ
ウエストマークで緩急をつければ、オールブラックでも華やかに!
シルエットでメリハリをつけるのも、モード派オールブラックには有効。「全身タイトな見た目は今の気分じゃないし、黒がますますフラットに見えてつまらない着こなしに。上がボリューミーなら下はタイトにするとか、ウエストマークできゅっと締めるとか、ドラマティックなシルエットを目指して。特にパリシックがトレンドの今シーズンは、ウエストマークなスタイルがIN。脚も長く見えて一石二鳥です」(吉田さん)
話を訊いた方々
山脇惠子さん
(心理カウンセラー、芸術療法士)
心理療法の中で色彩と心の研究を深め、長く医療少年院において芸術療法を実施。色彩と生活を結びつける活動を幅広く行う。
菅野めぐみさん
(文化服装学院専任講師)
文化服装学院にてアパレルデザインを専攻。卒業後、助手を経て専任講師となり、アパレル素材・染色に関する授業を受け持つ。
吉田 恵さん
(スタイリスト)
モード誌をはじめ、ショーやルックブックなどで活躍中。最新モードの知識とリサーチ力は、編集部からも一目置かれている。
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Illustration: Kahoko Sodeyama Text&Edit: Sayoko Imamura