ロンドンでもパンクファッションを纏う人なんてもう希少価値の高い存在になってしまった。纏っていたとしても、多くの若者は80年代当時のマインドと異なりファッションとして楽しんでいる。
そのように時代が変わる中、永遠にパンクの女王として愛されているブランド、〈Vivienne Westwood〉。日本の著名デザイナーのようなミステリアスさは感じさせず、デザイナー本人はロンドンで自転車をこぐ姿が目撃される程にストリートといつまでも近い距離にいる。そして今でも「パンク精神」はミュージック、ファッション、アートなど垣根を越えてムーブメントを巻き起こした80年代当時と同様に様々なジャンルのアーティストやデザイナーに影響を与え続けてきた。そんな歴史的なブランドを20年間にわたり撮り続けてきたフォトグラファー・Juergen Tellerによる写真集『VIVIENNE WESTWOOD, ANDREAS KRONTHALER, JUERGEN TELLER by Juergen Teller』が刊行された。
〈Vivienne Westwood〉のキャンペーンやエディトリアル、ポートレイトなどを収録。既に70歳を超えた彼女のヌードが表紙を飾り、誌面でも所々に彼女のポートレイト、ヌードが写る。チャーミングな彼女だからこそ絵になる写真が多く、時にはシリアスな顔で女性的な美しさも感じさせる。20年間の膨大な写真を「Juergenとは数日間に渡って一緒に本を編集したので、とても良いコラボレーションができたと思います。まずウエストロンドンにある彼のスタジオの長い机の上に500枚のプリントを並べ、そこから年表みたいな本ではなく、見開きページに載せた時のインパクトを重視した誌面作りを目指してセレクトしていきました。」
Kate MossやHelmut Langのモデルを務めたUniaなども出演。膨大な量の写真は意外にも軽い紙質に収まり、見たいときにめくれる軽さも本書の特徴。「JuergenとVivienneは20年間以上に渡ってコラボレーションを行ってきたので、一般的にはもっと重厚感のあるハードカバーの書籍になると思うのですが、意図的にその時の長さを感じさせないクオリティに仕上げました。なので、ツヤ感のある一般的な雑誌のフォーマットからアイディアを借りてきたんです。」
76歳とは思えないほどのパワフルな彼女が写る一方で、最後のページはベッドに腰掛けて老眼鏡で手紙を読む彼女のプライベートな部分も垣間見える。
Juergen Tellerから見た様々な〈Vivienne Westwood〉の20年間の軌跡を一気に感じられるはず。
『Vivienne Westwood, Andreas Kronthaler, Juergen Teller』
ヨーガン・テラー(Juergen Teller)
仕様: ソフトカバー
ページ数: 256ページ サイズ: 207 x 280 mm
デザイン・アートディレクション: OK-RM
出版社: InOtherWords
部数: 5,000 部
価格: ¥5,400 (税別)
ヨーガン・テラー(Juergen Teller)
1964年ドイツ・エアランゲン生まれ。1986年よりロンドンを拠点に活動。The Face、Vogue、W Magazine、Self Serviceなど多数のファッション誌で作品を発表し続ける。広告キャンペーンも多く手掛け、これまでにマーク・ジェイコブスやヴィヴィアン・ウエストウッド、セリーヌ、ヘルムート・ラングをはじめとする世界的に有名なデザイナーと長期的なコラボレーションを行う。これまでに41冊のアーティストブックを出版、個展も開催。その作品は数々の名だたる美術館に所蔵され、2017年には東京「Blum & Poe Gallery」でも個展が開催された。現在、ドイツのニュルンベルク造形芸術大学の客員教授にも着任。