2023年に知っておきたい、映画にまつわるウワサ。映画・音楽まわりのMC・ライターの奥浜レイラと、ライター・編集者の小川知子がトーク!
ホラー・イット・ガールって?オタクジャンルを牽引するのは誰?
GINZA調査隊が行く!映画界の気になるウワサ 前編
奥浜レイラ(以下奥浜) 人気ジャンルのホラーから、観ているこちらが戦慄するほどの絶叫演技が評価される、新たなスクリーム・ヒロインが出てくるようになりましたよね。ミア・ゴスやジェナ・オルテガとか。
ウワサ01 👀
ホラー映画が生んだ
新スクリーム・ヒロイン
小川知子(以下小川) 「ホラー・イット・ガール」とも呼ばれてますね。
奥浜 『MaXXXine(原題)』へと続く、『X エックス』三部作は、2作目の『Pearl パール』からミア自身が脚本に加わったことで、ケアする役割を常に求められる女性の生きづらさがきちんと表現されるようになったなと。
小川 家父長制とか、エイジズムとかルッキズムの圧迫が狂気を生む構造批判がちゃんとある。マイノリティとされてきた人の物語を求める声とともに、ジャンルを横断して続々と出てきているというか。たとえば、クィア作品もバラエティに富んできているし。
ウワサ02 👀
バリエーションが広がる
クィア作品
奥浜 日本でも人気が高いドラマ『ハートストッパー』シーズン2の配信が始まったけれど、LGBTQをステレオタイプにはめこむような描き方はまったくしていないのが素晴らしくて。
小川 そうそう。英国王子とアメリカの大統領の息子が恋に落ちるベストセラー小説を映画化した『赤と白とロイヤルブルー』も気になる。現実的で自然な恋も、ファンタジーみたいな恋も、どちらも描かれるようになっていますよね。
奥浜 個人的には、オタク像も多様化していると感じています。「ジャンル映画はオタクの白人男性のもの」といった凝り固まったイメージは過去のものになっている。映画『M3GAN ミーガン』をヒットさせた女性で黒人の脚本家、アケラ・クーパーは、『死霊館のシスター 呪いの秘密』(10月公開)や、ミーガンの続編など、ホラー・スリラー業界で活躍してるんですよね。『トランスフォーマー/ビースト覚醒』でも、主演ドミニク・フィッシュバックは90年代のニューヨークを舞台に、女性研究者として同じく主演のアンソニー・ラモスを引っ張っていく役を担っているし、黒人女性がオタクジャンルを牽引しているなと。
Text&Edit_Tomoko Ogawa