別班を裏切って父、ノゴーン・ベキ(役所広司)の元にたどりついた乃木憂助(堺雅人)。本当の父子だとわかった二人は……。日曜劇場『VIVANT』(TBS日曜夜9時〜)8話を、ドラマを愛するライター釣木文恵と漫画家オカヤイヅミが振り返ります。7話のレビューはコチラ。
考察『VIVANT』8話。乃木に課せられる血の試練
これは「スター・ウォーズ」か、それとも歌舞伎か
考察『VIVANT』8話
スター・ウォーズ? 歌舞伎?
生き別れの父子
「父が敵対する勢力のリーダー」であることや衣装の雰囲気などから、インターネット上でにわかに活気づいている『VIVANT』≒『スター・ウォーズ』説。ドラム(富栄ドラム)にR2-D2を重ね合わせてみると、たしかにかわいらしさが共通しているなあ、とも思う。
私が8話を観た率直な感想は「歌舞伎みたいだな!」というものだった。『VIVANT』には、他の福澤克雄作品同様、歌舞伎俳優がたくさん出演している。歌舞伎よろしく、ケレン味のある演出も詰まっている。さらに8話では、家紋の入った守り刀というアイテム、それを見た途端に父が生き別れた子の存在を認めるさまや、跡目争いが引き起こす兄弟の確執、そういった要素が総じて歌舞伎的に見えたのだ。ただ歌舞伎だと、生き別れた父子は互いの存在を認めあったらそこで幕になることも多いが、『VIVANT』ではここからまだいくつも山がありそうだ。
8話は、乃木憂助(堺雅人)が父・ノゴーン・ベキ(役所広司)に息子と認められるための1時間だった。まずは仲間である黒須駿(松坂桃李)を殺すよう命じられ失敗。しかし引き金を引いたことでその場は解放され、続いてノコル(二宮和也)による厳しい取り調べを受ける。乃木から両親と生き別れたときの記憶を聞き、まさに“伝家の宝刀”乃木家の守り刀の存在を知ったノゴーン・ベキはDNA鑑定を受け、二人が親子であることが認められる。
「よく生きていた」と伝えはしたが、別班の仲間を裏切った乃木のことを、ノゴーン・ベキはすぐには信用しない。乃木は相変わらず牢屋に入れられたまま能力を試される。その中で、テントの収支、その仕組み、そして彼らの稼いだ金の使い道が養護施設の運営という意外なものであることも明らかになっていく。
Edit: Yukiko Arai