GINZA編集部が、新刊3冊をレビュー!今月何を読もうか迷ったら、こんな本はいかがでしょう?
7月に読みたい3冊
今月のGINZA編集部レコメンド
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『グリフィスの傷』
千早 茜

自他の身体と心に残る「傷」を主題に紡がれた10の短編を収録。全身に彫物のある男に護られた美少女、切断された指を拾ってくれた恩人に複雑な思いを抱き続ける男、傷痕を題材にする画家に忘れられない経験を打ち明ける女性、先天性の症状を治してくれた主治医を慕う高校生。生きるよすがになる傷もあれば、記憶の中に閉じ込めておきたい傷もある。タイトルの意味がわかる表題作にはひりつくような痛みが宿っている。
『29歳、今日から私が家長です。』
イ・スラ

物書きのスラは、一軒家を購入して自宅兼オフィスとし「昼寝出版社」を立ち上げる。社員は父ウンイと母ボキ。ウンイはハウスキーピング、ボキは食事担当。両親に給料を払い福利厚生もそれなりに整え、スラは締め切りのある毎日を突っ走る。執筆に専念する娘と、娘の下で生き生きと働く親、彼らを取り巻く人々。それぞれの視点から新しい家族像を描いた半自伝的小説。読後は深々と幸せな気持ちになれる。