ファッションの来し方をたどると、そこには必ず、ユニークな魅力で人々を惹きつけてきたミューズたちがいる。流行の源となり装いの可能性を広げてきた輝く個性を年代ごとにピックアップ。今回は芸術家や作家のステートメント的スタイルをおさらい。#時代を作ったおしゃれアイコンの歴史
🎨CULTURE
時代を作ったおしゃれアイコンの歴史 vol.4【artist＆writer】
その時のトレンドのかたわら、芸術家や作家は思い思いの服装でパーソナリティを表現。ときに作品ともリンクする美意識は、時代を超えたインスピレーション源となる。
シモーヌ・ド・ボーヴォワール
Simone de Beauvoir
ウィメンズリブの草分け的著書『第二の性』（49）などで知られる哲学者は、年齢を重ねても特徴的なアップヘアをキープ。マスキュリンな空気もはらんだシャツやセットアップをまとって、パリシックの新たな方向性を開拓した。小ぶりすぎない実用的なサイズのハンドバッグも、自立した女性像を連想させる。
©Science Souroe/Aflo
バーバラ・ヘップワース
Barbara Hepworth
イギリスモダニズム彫刻の担い手であり、有機的なフォルムのピースを多数制作。1953年に作品とともに映った写真では、スーツに艶のあるショールをかける。インナーとの襟のレイヤードバランスや、チョーカーの見え具合など、控えめながらも細部にセンスが凝縮。ミニマルで気負わない佇まいが美しい。
©Mirrorpix/Aflo
フランソワーズ・サガン
Françoise Sagan
1954年、『悲しみよこんにちは』で小説家デビューし、60年代のパリ文化人界隈の寵児となる。その装いは、無造作でノンシャランななかにブルジョワらしい品や知性が潜んだもの。ボーイッシュな髪型はラフに巻かれたスカーフとも相性抜群。コンパクトなVネックカーディガンで首から胸元に抜け感を出す。
©AFP/Aflo
タマラ・ド・レンピッカ
Tamara de Lempicka
ワルシャワで生まれたが、1917年のロシア革命後にパリに移住。官能的でスタイリッシュな画風を確立し、1925年には自画像がドイツのファッション誌の表紙に採用される。裕福な家庭出身の彼女はボヘミアンを地で行き、エスニックパターンのローブなどを着用。ゴージャスな服にも負けない生来の華がある。
©Ullstein bild/Aflo
ジョージア・オキーフ
Georgia O’Keeffe
風景、花、動物の花を描き続け、40年代にはニューメキシコの荒野に移り住む。ストイックな意志は服装にも表れていて、黒を中心に、無駄な装飾のない上質な天然素材でできたものをまとう。ときに銀細工の小物でアクセントを添え、友人で前衛芸術家のアレキサンダー・カルダー作のブローチも愛用していた。
©Everett Collection/Aflo
フリーダ・カーロ
Frida Kahlo
1925年より絵画制作に没入。刺繡トップやたっぷりしたギャザースカートなど、出身地メキシコの民族衣装を着た自画像を多く残す。ロングボトムを好んだのは幼少期の病気で痩せた足を隠すためだったとも言われるが、色鮮やかなヘアアクセサリーや太眉も含め全身でアイコニックなスタイルを打ち立てた。
©AP/Aflo
Text&Edit_Motoko Kuroki Cooperation_Shin Asahi
