遠藤清美(市川実日子)らと仲良くなるにつれ、ますますしょうもないことに能力を使う機会が増えてきた宇宙人の高橋さん(角田晃広)。『ホットスポット』(日テレ 毎週日曜よる10時30分〜)3話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。
2話レビューはコチラ。
『ホットスポット』3話「もんぶらん」に集まった4人の「仲間」感がいい
電気グルーヴは二人とも静岡出身だけど「富士山」で大丈夫かな

考察『ホットスポット 』3話
ちゃんとした人助けは
自分からする高橋さん
山梨のビジネスホテルでひっそりと働く高橋さん(角田晃広)。1話で彼が宇宙人と知った遠藤清美(市川実日子)らはその能力を頼って何かとお願いごとをする。3話でとうとう高橋さんの能力の用途は「スマホに保護フィルムをうまく貼る」にまで至った。基本、清美たちからのお願いには一旦拒否の姿勢を見せる高橋さん。けれど、清美、みなぷーこと美波(平岩紙)、はっちこと葉月(鈴木杏)とのランチの際に出会った清美の同級生、あやにゃんこと岡田綾乃(木南晴夏)の車が側溝にはまってしまったときには「一回、みんなで持ち上げてみる?」と自分から手伝いを申し出ている。このシーンを観て一瞬、頼られる喜びと使命感に目覚めたのかとも思ったが、そもそも高橋さんは、こういった本当の困りごとは放っておけないのだろう。実際、車を救った直後にSOSランプを点灯して走り去るタクシーに能力を使って追いつき、戻ってきたあと、「すいませんなんかいろいろと」と言われた高橋さんは「これはちゃんとした人助けだからさ」と言っている。
タクシーのSOSは間違いだった。が、もしかして本当はタクシー強盗を解決したものの、心配をかけないため間違いと言ったのではと案ずる清美たちに高橋さんは乗っかり、さも強盗をひっそりと解決したフリをする。ここで高橋さんの心の声が。
「あれだけしんどかったのだから、これくらいのウソはつかせてもらう」
大変な思いをして事件を解決したフリをする高橋さんの姿に、冒頭で清美がビジネスホテルの同僚たちと交わしていた「エレベーターの扉が閉まらないようにわざわざ手で押さえる」自己犠牲演出の話を思い出した。
ところで、高橋さんが追いかけたタクシーで運転手と乗客が話していたのは、山梨の文化「無尽」のことだった。仲間うちで積立をし、飲み会や寄り合いを行うものだ。思えば清美、幼なじみ3人による「貯金会」も無尽のひとつだろう。客は「若い人たちもやってるんですか?」と聞いていたから、県外の人間なのだろう。SNSではこの声が池松壮亮のものではないかという声も見られたが、この一瞬の出会いがこの先に繋がっていくのだろうか。
Edit_Yukiko Arai