2025年3月20日(木)から7月21日(月)まで建築家、安藤忠雄の数々の挑戦を辿る展覧会が開催される。会場となるのは、安藤自身が設計監修した文化施設「VS.(ヴイエス)」。半世紀以上にわたる創造的冒険を一望できる。
『安藤忠雄展|青春』で壮大なビジョンを追う
異端の建築家の集大成を、大阪「VS.」にて展覧

大阪で生まれ、まちが復興を遂げるさなかに育った安藤忠雄。10代のときに古本屋でル・コルビュジェの作品集に出合い、建築家という職業を意識したという。独学で勉強を続け、1969年に大阪で建築設計活動をスタート。建造物と自然とのつながりという、日本の伝統建築がもつ要素を取り入れ、都市生活における人間性の回復など、建築を通してさまざまな挑戦を繰り広げてきた。
本展『安藤忠雄展|青春』は、「挑戦の軌跡」と「安藤忠雄の現在」 という2つのゾーンで安藤の仕事を紹介する。前者では住宅や祈りの空間、文化施設など、過去の代表作の数々を一望のもとに。後者で取り上げられるのでは、近年の活動だ。「直島の一連のプロジェクト」のような長期スパンの作品から、「ブルス・ドゥ・コメルス」に代表される歴史的建造物の再生プロジェクトなどにフォーカス。天井高15m以上の空間でのヴァーチャル体験や、「水の教会」の原寸再現など、建築を五感で知る仕掛けが設けられている。37年にわたる直島での活動の軌跡を模型と映像、音楽で表現するインスタレーションも見どころの一つだ。
会場は、安藤が設計監修を担当した「VS.」。大阪都市再生プロジェクトの一環で、2024年に「グラングリーン大阪うめきた公園」に誕生した。さまざまな規模のスタジオが組み合わさったような構造を持ち、多様なジャンルの人やアイデアが対峙しで新たな価値を生み出すことを目指す“文化装置”的施設だ。

展覧会タイトル「青春」は、安藤のスタイルそのものを表している。いつまでも燃える情熱と冒険心、あえて「青いまま」でいようとする姿勢。半世紀以上もの間青春を続け、既存の価値観に挑んできた安藤。その力強いメッセージを、展示から感じ取りたい。
ℹ️
『安藤忠雄展|青春』
会期_2025年3月20日(木)〜7月21日(月)
*月曜休館(祝日除く)。
会場_VS.
住所_大阪府大阪市北区大深町6-86 グラングリーン大阪うめきた公園ノースパーク
時間_10:00〜18:00(金土、祝前日は 〜20:00)
*入場は閉館の30分前まで。
問い合わせ_https://vsvs.jp/contact
Text_Motoko KUROKI