小泉今日子、中井貴一W主演!鎌倉を舞台に59歳と63歳の恋と人生を描く『続・続・最後から二番目の恋』(4月14日スタート、フジテレビ毎週月曜よる9時〜)をドラマを愛するライター・釣木文恵が振り返ります。
鎌倉を舞台に描かれる59歳と63歳の恋の行方は?6話までをたどります
小泉今日子、中井貴一W主演!鎌倉を舞台に59歳と63歳の恋と人生を描く『続・続・最後から二番目の恋』(4月14日スタート、フジテレビ毎週月曜よる9時〜)をドラマを愛するライター・釣木文恵が振り返ります。
テレビを観るともなくつけていると、番組の合間にぽんと、何のテロップも音楽もなく、このドラマのワンシーンが流れることがある。そのたび、思わず見入ってしまう。「ドラマだ」とは思わない。「会話だ」と思う。名言だったり心打つフレーズだったりが織り込まれているシーンももちろんあるのだけれど、そういった要素が入っていない軽やかなやりとりであっても、それを見ているだけで楽しい、ごちそうのような会話がこのドラマにはたっぷりと詰まっている。たとえば定年までの日にちの可視化に対する吉野千明(小泉今日子)と長倉和平(中井貴一)、二人の意見の相違(第1話)。千明と和平の妹・典子(飯島直子)による、働く女と専業主婦の対立と、その勝負の変化の話(3話)。千明の母(三田佳子)の仲間の一人が先日亡くなり、グループの人数がちょうど和平の手土産である鳩サブレーの枚数ぴったりになったこと。会話自体に見応えがあるから、観ている1時間のあいだ、飽きることがない。
小泉今日子と中井貴一のW主演による『続・続・最後から二番目の恋』は、2012年の『最後から二番目の恋』、スペシャルドラマを挟んで2014年の『続・最後から二番目の恋』に続くシリーズ第3弾。岡田惠和の脚本による今作は、鎌倉を舞台に、テレビ局でドラマのプロデューサーを務める千明と、鎌倉市役所で働く和平のお隣同士の恋と人生を描いた物語。千明45歳、和平50歳でスタートしたこのシリーズ。今放送中の『続・続』では千明は定年を1年後に控える59歳、和平は63歳となった。プロデューサーだった千明はドラマ制作部の副部長を経てゼネラルプロデューサーになり、作っているドラマも『モテキパラダイス』から『サレ妻』シリーズへと変わった。和平は観光推進課の課長から部長まで出世の後に定年退職し、再任用で「指導監」として働いている。
45歳で千明が鎌倉の古民家を購入して引っ越して以来、千明と和平は隣人としてお互いを憎からず思い、相手が自分にとって大事な存在であることも伝え合い、しかし結婚という形をとることはない、一番近くの他人同士として関係を続けてきた。千明は毎朝、和平の弟・真平(坂口憲二)が自宅で営む「カフェナガクラ」で、長倉家と朝食をともにする。そこには結婚して家を出たのにすぐに実家に戻って来る和平のすぐ下の妹・典子、真平の双子の姉であり、千明に見出されて脚本家として活動する万理子(内田有紀)、和平と死別した妻との一人娘・えりな(白木彩奈)も集う。千明と和平は毎朝飽きもせず、口論を繰り広げる。けれどもこの時間こそが豊かでたいせつであると、ここにいる人たちも、それを観る私たちも感じている。1話の回想シーンで、2020年にコロナに罹った千明は、コロナが収束したらやりたいことを問われ「いつものように、長倉和平を木っ端微塵に論破する」と言っていることからも、彼女が和平との会話を大切に思っていることが見てとれる。
Edit_Yukiko Arai