一旦距離を置くことになってしまったネルラ(松たか子)と幸太郎(阿部サダヲ)。ふたりの関係と事件の行く末は……。ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日毎週木曜よる9時〜)4話を、「物語」を愛するライター・青島せとかとイラストレーター・まつもとりえこが振り返ります。
3話のレビューはこちら。
*レビューはネタバレを含みます。
どのジャンルにも当てはめられないドラマ

一旦距離を置くことになってしまったネルラ(松たか子)と幸太郎(阿部サダヲ)。ふたりの関係と事件の行く末は……。ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日毎週木曜よる9時〜)4話を、「物語」を愛するライター・青島せとかとイラストレーター・まつもとりえこが振り返ります。
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*レビューはネタバレを含みます。
新婚の夫のもとに、「結婚はしない主義」だった頃の元恋人が登場。彼女はまだ男に気があるらしい。かと思えば妻の父に不倫疑惑が持ち上がる⁉︎
あらすじだけ書き出せば、ドタバタラブコメにもなり得そうなこの展開。実際、回想にしか登場しないと思っていた幸太郎(阿部サダヲ)の元恋人・つばさ(小雪)は至極軽やかな口調で復縁を迫ってくる。
けれども、4話全体を覆う空気はどことなく重い。3話ラストでネルラ(松たか子)の婚約者が死んだ15年前の事件について言い争った末、幸太郎が家を出てしまったからだ。新婚でありながら二人は距離を置くことになる。
余談だが、「一人になりたい時用」にマンションをそのままにしておいたのも、定期的なハウスクリーニングを契約したままにしてあったのもすごい。売れっ子弁護士のなせる技だ。さすが50歳まで一人暮らしをしていただけあって、半熟卵を作る手際もいい。
しかし、二人の心が離れたわけではない。幸太郎は、情か弁護士としての使命感か、それともネルラの叔父・考(岡部たかし)の言うとおり「ネルラにゾッコン」だからか、
「でも今のネルラをほっぽり出すわけにはいかない。ネルラがもう少し心を開いてくれれば……」
と、ネルラのことを考え続ける。そんな中、「原田こうたろう法律事務所」を訪ねたネルラは病院に行ったことと、検査の結果を話す。ネルラは記憶について詳しく調べるため、脳の精密検査を受けたのだ。彼女なりに幸太郎とも、事件とも向き合うための行動だろうと思いきや、ネルラは幸太郎に決別とも思えるような言葉をかける。
「これ以上あなたに迷惑はかけられません。幸太郎さんと出会えて、一瞬私の暮らしにも光がさして夢のようにしあわせでした。ありがとうございました」
そして思い出の回想とともにOasisの「Don’t Look Back in Anger」が流れる。二人の関係は終わってしまうのか?
そんな二人の隙を突くように幸太郎が一人で暮らすマンションに刑事の黒川(杉野遥亮)がやってくる。この強い執着はいったいなんなんだ。黒川は24時間この事件だけに関わっていていいのか? 雑務とかないのか?
「奥さんは、この世のどこにもいないようなタイプです」「奥さんは嘘つきですよ」
とネルラについてあらゆることを知っているような口ぶりで幸太郎を揺さぶりつつ、新人の頃にネルラの事件に駆けつけたこと、当時の署長で現在は警備部長まで出世した佐久間(野間口徹)が別の事件に力を入れるためにネルラの捜査を打ち切ったことを語る。黒川の思惑も気になるし、警察内部も何やら不穏だが、それより何より、まさか野間口徹まで登場するとは! このドラマ、ネルラ一家や臼井(小松和重)に続き、演劇界でも活躍する名バイプレイヤーが片っ端からやってくるじゃないか。
Edit_Yukiko Arai