いよいよ15年前の事件の真相が明らかに! 事件の解決は二人の「しあわせ」につながるのか。ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日毎週木曜よる9時〜)8話を、「物語」を愛するライター・青島せとかとイラストレーター・まつもとりえこが振り返ります。
7話のレビューはこちら。
*レビューはネタバレを含みます。
ベテラン名優に囲まれながら魅力を発揮する板垣李光人の凄さ

いよいよ15年前の事件の真相が明らかに! 事件の解決は二人の「しあわせ」につながるのか。ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日毎週木曜よる9時〜)8話を、「物語」を愛するライター・青島せとかとイラストレーター・まつもとりえこが振り返ります。
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*レビューはネタバレを含みます。
『しあわせな結婚』というタイトルの「しあわせ」とはいったい何なのだろう。少なくともネルラ(松たか子)と幸太郎(阿部サダヲ)、二人の間ではその中身はかなり違ったようだ。
ネルラの弟・レオ(板垣李光人)がボヤを起こした。原因は、アイロンをつけっぱなしにするという普段ならしないはずのミス。ボヤ騒ぎによってネルラの記憶の扉が開く。
「お前はやってない」
15年前の事件のときに聞いた叔父・考(岡部たかし)の声が脳裏によみがえる。ネルラは、その声は自分に向けて発せられたものと解釈、やはり記憶にないだけで自分が殺人犯なのではと考え始める。幸太郎はネルラに「どんな君でも愛すよ」と伝える。
「幸太郎さんの人生はむちゃくちゃになるわよ」
「俺の人生も君の人生もむちゃくちゃにしないよ。……すごいだろ、俺」
この言葉にネルラは「むちゃくちゃすご〜い!」と泣いていたけど、ネルラでなくてもそう思う。幸太郎はむちゃくちゃすごい! 殺人を犯した可能性のある配偶者を前に、こんな言葉を、こんなに自信を持って伝えられる人間がいるだろうか。
抱きしめあって「ネルラの方が俺より大きいな」「私もずっとそう思ってた」と言い合う二人。彼らは初めてこうして抱き合ったことになる。つくづく、珍しい歩み方をする夫婦だ。
でも、幸太郎がこう言える根拠は、ネルラに対する愛情だけではない。彼が元検事であり、敏腕弁護士だからだ。もしネルラが犯人だとしたら、彼は持てる能力の全てを使って正当防衛を主張し、無罪を勝ち取るつもりだったろう。「法律家としての筋を通」しながら、ネルラを助ける術を模索したはずだ。実際、幸太郎はネルラのために事件を解決することになる。けれどそこにはネルラの願うしあわせは、なかった。
Edit_Yukiko Arai