ここへきて離婚してしまったネルラ(松たか子)と幸太郎(阿部サダヲ)。二人はどうなってしまうのか。ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日毎週木曜よる9時〜)9話(最終話)を、「物語」を愛するライター・青島せとかとイラストレーター・まつもとりえこが振り返ります。
8話のレビューはこちら。
*レビューはネタバレを含みます。
決してドラマティックではない日常をこそ描きたかったのではないだろうか

ここへきて離婚してしまったネルラ(松たか子)と幸太郎(阿部サダヲ)。二人はどうなってしまうのか。ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日毎週木曜よる9時〜)9話(最終話)を、「物語」を愛するライター・青島せとかとイラストレーター・まつもとりえこが振り返ります。
8話のレビューはこちら。
*レビューはネタバレを含みます。
『しあわせな結婚』が最終回を迎えた。
15年前の布勢夕人(玉置玲央)殺人の真犯人はレオ(板垣李光人)だった。自分や叔父・考(岡部たかし)が罪を被ってでもレオを守りたかったネルラ(松たか子)は、レオの罪を暴いた幸太郎(阿部サダヲ)を許すことができず、二人は離婚する。決意を固めたネルラには、弁が立つ敏腕弁護士の幸太郎でも敵わなかった。
考の判決が出た日、ネルラは姿を消す。幸太郎は刑事・黒川(杉野遥亮)の力も借りてネルラが一度は書いて消していた自分宛のメールを復元。ネルラが抱えていたもうひとつの秘密=布勢の代わりに彼の絵を描いていたことを知る。後半で現れてネルラのことを悪し様に言っていた画商、絵を見る目がないじゃないか!
オークションにアルバイトスタッフとして入り、自分が描いた布勢名義の絵を切り刻もうとしていたネルラ。幸太郎はすんでのところでネルラを見つけ出して止め、再び結婚を申し込む。法律家としての筋を通すことより、真実を最後まで二人の胸にしまっておくことを優先させて。
正義の皮をかぶったネットの悪意。作品の良し悪し以上に、どんな理由であれ作家が注目されることによって変化する絵画の価値。人の中身ではなく、その人の属性や見た目に飛びつくテレビの制作者。現実にあるいろんなものを描き込みながら、最終回で辿り着いたのは、50代の男と40代の女のしあわせな再婚だった。大きなハサミを持ったまま幸太郎に抱きつくネルラ。「ちょちょ、それ置こう」と一旦は慌てるも、「まあいいか」と抱きしめる幸太郎。
もし何かがあれば、その鋭く大きな刃先が刺さるかも知れない。そんな危険と隣り合わせのこの夫婦生活を、幸太郎は再び丸ごと受け入れた。
Edit_Yukiko Arai