江戸川乱歩が生み出し、三島由紀夫が戯曲に仕立てた『黒蜥蜴』は、令和の今でも上演されるほどの人気を誇っています。私がこの作品に初めて出会ったのは、美輪明宏主演の舞台でした。観ておかなくちゃ!と思って。
ただ、もう記憶があやふやで、それがいつのことだったのか、さっぱりわからないのです。主演と演出を兼ね、衣装はもちろん、装置にもこだわったという触れ込みだった気がします。豪奢な家具のイメージが残っています。
先日、三島由紀夫生誕百年で1968年公開の映画『黒蜥蜴』が上映されたのです。シネマヴェーラって、どこ? のレベルで、初回を観ました。ため息がでるような美しさです。
寺山修司の『毛皮のマリー』も舞台で観ていますが、いずれも平成版、公開当時33歳の美輪明宏の美貌に触れて、やっと完結したように思います。そんな話を年上の人に話したら、「銀巴里で観ていた」とおっしゃるのです。銀座の伝説のシャンソンバー、どうです、この濃さ!
