ミレニアル世代は、ファッションより体験にお金を払う傾向に。堅実な買い物やミニマムなワードローブも素敵ですが、GINZAは今こそ流行に縛られずにお洋服を所有するよろこびについて考えます。今回はEGO-WRAPPIN’のヴォーカリスト中納良恵さんをお招きし、彼女のファッションに対する偏愛を語ってもらいました。
EGO-WRAPPIN’中納良恵のファッション愛「流行にとらわれず、私が着るものは私が決める」

キャメルのジャケットはセリーヌのヴィンテージ。Tシャツもヴィンテージショップで。ベルトはソロイストです。
もともとグレーだったパンツを、工場出しでゴールドに塗ってもらった唯一無二の1本。
ゴールドのバングルとネックレスは、AFTER SHAVE CLUB。シルバーのネックレスは「壊れてしまったジバンシィのイヤリングをアレンジしました」。帽子はEGO-WRAPPIN’のギター・森くんからもらったもの。
──中納さんはおしゃれだ!とGINZA編集部の中でも話題なんです。ヴィンテージ好きは、昔から一貫しているんですか?
学生時代から、ずっとヴィンテージアイテムが大好きですね。でも、「◯年代の」とか、そういう知識はぜんぜんないんです。パッと見て、自分に似合って、風合いが良かったら買う。それだけですね。洋服の情報は、店員さんに教えてもらいます。
ヴィンテージの魅力は、やっぱりロマンですよね。知らない人の名前が書いてあったり、ちょっとしたダメージがあったりすると、「この服は100年生きていて、いろんな国を旅してきたんだなあ」と感慨深くなって。自分の体や手持ちの服とマッチすると、もうそれだけで感動するんですよね。
海外ツアーに行った時も、必ずヴィンテージセレクトショップをチェックします。日本よりも安いし、旅の空気感を含めて熱量が入るんです。
──人生で初めて買った一生物アイテムは?
まだ全然お金がなかった時期に、ちょっと高いヴィンテージのデニムオーバーオールを買って、それをずっと着ていましたね。ハイブランドのお店でも買い物をすることはあるんですけど、かっこよすぎて、なんだかしっくりこないときがあるんです。眺めているだけで幸せだし、着るけど、かっこよすぎてちょっとひいちゃうんですよね。大切にしているし、手放すつもりもないんだけど、やっぱりヴィンテージを取り入れて「ちょっと外した着こなしをしたい」っていう気持ちがあるのかな。
──本日の衣装もご自身でスタイリングされているんですよね。ステージ衣装も?
ライブ衣装も、自分でセレクトしている公演がほとんど。ギターの森くんも服が大好きやから、自分が着たい服を着てる感じかな。普段から買っている、お気に入りのお店の服(TORO Vintage Clothing, Hooked vintage, DESPERATE LIVING, tahlia store, Mecha Vintage, ASAGI USED CLOTHING)でステージに立つことが多いですね。年末のワンマンライブは、スタイリストの井口さおりさんに制作してもらったり、ここ数年は、TORO Vintage Clothingの山口郁子さんに作ってもらっています。ずっとお客さんとして通っていた大好きなショップで、直接私から依頼したんですよ。
ヴィンテージ以外だと、WhoWhatという夫婦でやっているブランドも好きで、彼女にスタイリングを任せることもありますね。もともと、デザイナーが舞踏をやっていた人なんです。だから、ステージで踊ると映える服をよく知ってる。最近の「CAPTURE」という曲のMVも、WhoWhatの中川順子さんにスタイリングをしてもらいました。
──いまのスタイルにいきつくまでに、影響を受けたものは?
昔から流行を追ったことがなくて、ファッション雑誌はあんまり読まないんです。こんなこと、GINZAで言っていいんかなあ(笑)。音楽雑誌をよく眺めて、好きなミュージシャンの服に影響を受けてきましたね。デビュー当時のダイアナ・ロス、ブロンディのボーカルのデボラ・ハリー。PJ ハーヴェイやビョーク……自分が着たい服を着ている人がかっこよく見えたんですよ。スタイルに、生き方が出ていますよね。そういう人たちは、つくる音楽もかっこいい。それこそ、デボラ・ハリーはNYのパンク・ニューウェーブシーンを担ってきた人だし。フージーズのボーカル、ローリン・ヒルも超おしゃれ! 若いころから、ずっと憧れていました。似たような服を探して、とにかくいろんなお店に足を運んでいました。
──今、気になるアーティストは?
ミランダ・ジュライ。可愛いなと思います。彼女は賢いし、自分がやっていることを信じているから、良く見えるんですよ。スタイルや顔だけでなく、彼女の内側から湧き出てくるものが好き。かっこいい人って、なんにでも造詣が深い。服も、ただ着させられてるミュージシャンとか、あまり好きではないですね。ミュージシャンって、自分で表現する職業だから、全部スタイリストつけちゃうのもどうなんだろう?って思ったりすることもあるんです。
──中納さんにとって、音楽とファッションの関係性は?
私はファッションのプロじゃないから、うまく語れないんですけど……ヴィジュアルバンドって言葉もあるくらいだし、ヴィジュアルは大切だと思うんですが、中から湧き出るものが大切だと思うんですよね。流行よりも、自分軸で決めるほうがいいと思う。
ライブのMCも「人に好かれよう」と考えながら喋るといつも失敗するから、「もうええわ、自分が好きに喋ろう」と思うようになりました。ワンマンだとファンが耳を傾けてくれるけど、フェスやイベントなどの対外試合だと、みんなお客さん正直だからね。「ああ、この人、ええこと言おうとしてんねんな」ってすぐバレるんですよね(笑)。自然に、やりたいことをやるのが一番。
──自分が似合うものや好きなものに出会うまでには、失敗や冒険も?
テンションで買い物をしているから、やっぱり失敗はしますね。フリフリとか、似合わないのに買っちゃうこともある。でも、懲りないめげない(笑)。試着しないと服が選べないタイプなので、プライベートの買い物も、信頼できる店員さんに相談しながら進めます。自分では選ばないようなデザインの服でも、オススメされたら試着してみます。「似合わないんじゃないかな?」と思うような服でも、実際に着てみるとしっくりくる。ハンガーにかかっている状態だと、ピンとこないこともあるんだけど。やっぱり、服のプロってすごいな!と実感することも多くって。お買い物、楽しいです。「信頼できるいいお店にお金を落としたい」って気持ちが強いから、ずっとECは使わず、店舗で買っています。
──5月22日には7年ぶりのアルバム『Dream Baby Dream』をリリース。ジャケットも素敵ですね。
漠然と、「セクシーな写真を使いたい」っていう気持ちがあって、野村佐紀子さんにお願いしました。『Dream Baby Dream』のタイトルは後付けなんですけど、「夢を見させるよ」という気持ちを込めて、森くんがつけてくれたんです。いつもコンセプトから先に入るような作り方はしていなくて、全部別々に作った曲。だけど、どれも夢が溢れているなって。ツアーもやります。衣装はまだ決めていないので、これからお店を回って探します。
【NEW ALBUM】
『Dream Baby Dream』
2019年5月22日リリース
01. Arab no Yuki
02. CAPTURE
03. oh boy, oh girl
04. L’amant
05. timeless tree
06. on this bridge
07. Shine Shine
08. human beat
09. 衛星ハロー
10. 心象風景
11. 裸足の果実
初回ラッピン(初回完全限定盤):¥10,000+税
●「Dream Baby Dream」Album CD
●「HALL LOTTA LOVE ~ホールに溢れる愛を~」 Live DVD
2018.4.7 / 2019.4.7 中野サンプラザホール
●写真家 野村佐紀子 オリジナル Photo T-shirt
●豪華プレミアムBOX
●Dream Baby Dreamオリジナルアイテム
通常盤: TFCC-86658 ¥3,000+ 税
12inch アナログ(LP):TFJC-38036 ¥3,000+ 税
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中納良恵
EGO-WRAPPIN’ヴォーカリスト。1996年 中納良恵(Vo、作詞作曲)と森雅樹(G、作曲)によってEGO-WRAPPIN’結成。「色彩のブルース」や「くちばしにチェリー」は、多様なジャンルを消化し、エゴ独自 の世界観を築きあげた名曲として異例のロングヒットとなる。以後作品ごとに魅せる斬新な音楽性において、常に日本の音楽シーンにて注目を集めている。2014年5月には脚 本・演出 大根仁、主演オダギリジョーのドラマ「リバースエッジ 大川端探偵社」の主題歌、エンディングテーマを含む4曲入りシングル「BRIGHT TIME」をリリースした。EGO-WRAPPIN’の活動と並行して2007年にはソロ1st Albumとなる「ソレイユ」をリリースし、TOURも行う。またYuji Ohno & Lupintic Fiveに招かれ「ルパン三世のテーマ」の歌唱や、東京スカパラダイスオーケストラ、セルジオ・メンデスなど国内外様々なアーティストの作品にヴォーカリストとして参加している。