No.343 / 2025年12月12日発売

MAGAZINE

もの作りを促す「WORKSHOP」で目指すものとは？

〈A.P.C.〉で自分だけのバッグチャーム作りを体験

PROMOTION

クリエイティブ集団「YAR」によるインスタレーションが「GINZA SIX」に出現

Nujabesの楽曲にインスピレーションを得たクリスマス

Nujabes　GINZA SIX　YAR クリスマス

インテリアのヒントは「Build Your Christmas」に！

レゴ®ブランドで始めるクリスマスデコレーション

この冬に贈るもの、決めた？

〈バルミューダ〉のギフト、ふたりのホリデー。

Light WING

本田翼が着る〈TATRAS〉のダウン

ホリデーを彩るジュエリー＆ウォッチ　

INI 木村柾哉が纏う〈エンポリオ アルマーニ〉

冬を彩る輝くピース

〈ハリー・ウィンストン〉ジンジャーブレッドマンとめぐるジュエリーハント

TU-ハリーウィンストン メイン ジンジャーブレッドマンのクリスマス旅

ALWAYS ON YOUR SIDE

〈バレンシアガ〉進化するアイコンバッグ

MEET THE NEW SCENT

〈N.〉の新しい香りで髪と心にときめきを

波紋の記憶

小松菜奈 in KYOTO for CHANEL

臼田あさ美と、国内最大の〈アークテリクス〉新店へ！

アークテリクス池袋店_臼田あさ美

ドラマの人気を後押しする衣装を深掘り ＜俳優編＞

INTERVIEW

長〜い行列、その先にあるものは？

LIFESTYLE

女優・河合優美　かっこいいのモノローグ

FASHION

FOOD

BEAUTY

ドラマの人気を後押しする衣装を深掘り＜スタイリスト編＞

東京ケンチク物語

劇団雌猫の“幕間におしゃべり”

家入レオ「言葉は目に見えないファッション」

「自分をごまかさないで、正直に生きたい」家入さん自身が今感じる心の内面を丁寧にすくった連載エッセイ。

平松洋子「小さな料理 大きな味」

小さな料理　大きな味

スニーカー愛が止まらない！

私と部屋

毎日22時に更新。タロット使いのJON（犬）が、あなたのために毎日リーディング。その日の「対策」を星座別にお伝えします。

JON（犬）の毎日占い「 今日を過ごすヒント」

占い師章月綾乃さんによる、12星座別月間占い。星の声に耳を澄ませれば、過ごし方のヒントが見えてくる！ あなたの現在地点と今月の運勢は？

章月綾乃「開運レター占い」

トップスドッグズ

臼田あさ美、のせりんと歩く初秋の陣馬山⛰️

MOVIE 🎥

この秋冬こそ、定番をアップデート！

10月号発売中📕

特別編集ムック

Tシャツに似合う
夏のヘアアレンジ

🎥 MOVIE

〈Louis Vuitton〉
穂志もえか、旅路の途中

GINZA4月号

No.341 / 2025年10月10日発売

奥山由之（以下奥山） 米津さんと僕は年齢が一緒ですが、10代20代って割と知らないことが多いから、初めて触れることの高揚感で仕事も創作も駆け抜けられていた気がするんですよ。初めてやってみた、知らない感情に出合えたということが、自分を刺激して加速させ、やり切れていたのですが、30代に入ると、あれ、これ前に感じたことあるとか、繰り返しルーティンになっているような感覚がある。仕事においてもそうですし、新しい感情に出合える回数が減ってきたときにふと立ち止まって、これでよかったんだっけ？と、自分が目指していた精神的な所在地が急に浮遊してしまう感触になったんです。そのときにこの映画の依頼をいただきました。米津さんは、貴樹のように自分がなりたかった大人ってこうだった？など、理由がわからない不全感や、焦燥感とか不安が襲ってくることはありますか？
米津玄師（以下米津） いや、もう、すごくありましたね。ゲームの桃鉄で例えると、途中順位発表があるんですけど、そこではプレーヤーが社長って呼ばれていて、「◯◯社長はこれだけお金を稼いで、これだけ土地を持っていて一番いい感じです。△△社長は2番、3番です。じゃあ、引き続きどうぞ」って。なんかそんなふうに今までの人生の結果発表を言われている気になったときがあって。お前ってこうだよな、それはもう変えられない事実だからな、みたいに言われている感覚になったりしたんですよね。それこそさっき奥山さんが言ったような、これから先、新たに出合う現象というのは、今までの亜種なんじゃないかって非常によく思ったし、ここをなんとかしないことには続けていくのが難しいと思うような、ちょっとした危機が確かにあって。これは意外と普遍的な現象なんじゃないかなって思いますよね。それこそ、現実的な話をすれば、エンタメに寄った音楽をやっている場合、割と30歳は大きな岐路になったりしますし。言葉は強いですが、若くないと商品価値が下がってしまうみたいな側面が現実としてあるので。30歳でそういうふうに思うことはよくあるんだろう。でも、40歳や50歳でももしかしたらあるんだろうなと思うので、貴樹が感じているようなある種の虚無感は自分にとって個人的な感情と密接に結びつきました。けれど、多分それはいまに限らないという予感もすごくしますね。
──お二人は子どもの頃、どのような30歳になると思っていましたか？
奥山 月並みですけど、小さい頃に思い描いていたのとは違い、30代ってこんなに子どもなんだ、年齢の数え方ってどこかから制度が変わったのかな？と思ってしまいます（笑）。
米津 やっぱりこれも月並みな言葉になりますけど、時の流れが速すぎて、30歳から34歳までの体感が2カ月ぐらい。こんなにすぐ？みたいな感覚があります。自分が大人になってみてあらためて思うのは、“大人”ってその状況が生む言葉なんだなって。人間は大人にならざるを得ないからなる。そうじゃないと、根っこの部分は人間いつまで経っても子どもなんだなと。自分が子どもの頃に見ていた大人たちは、大人をやっていたんだなって気づきますね。
奥山 大人になると、失っていくものがどんどん増えるというか。時間はもちろん、若さも失い、大切に抱いていなくてはならなかった原風景も失っていくじゃないですか。だから、それを糧に変えていく力が30を越えてぐらいからすごく大事になってきた気がしています。本来マイナスになるはずのことを無理やりいろいろな方程式でプラスに変えるような。しかも体感速度がどんどん速くなるので、実年齢は80歳や90歳まで生きられたとしても、速度的には30歳は中間地点で、これからどうするんだろう？と思う最初の時期なのかな。今回、『秒速5センチメートル』は本当に大変だったのですが、すごく成長させてもらえました。負荷がかからないと新たなことに挑戦したり、自分の気づかなかった引き出しを開けたりといったことはないので、この作品はプロデューサーの玉井（宏昌）さんに引きずり出してもらったというか。久々に少し人間として成長できた感覚がありました。

──米津さんが30歳の頃にちょっとした危機に直面した際、そこから抜け出すきっかけは何かあったのですか？
米津 やっぱり映画『君たちはどう生きるか』の主題歌である「地球儀」という曲を作ったときでしょうか。宮﨑駿さんの映画は子どもの頃から何度も繰り返し観ていて、勝手に師匠みたいに思っていました。当時は会ったこともないけれど、書籍なりで叱咤激励される感覚になることもあって。だから、いついかなるときも、エア宮﨑駿が横にいるみたいな感じです。何かやっていても、エア宮﨑駿が「それはけしからんぞ」と言ってくる瞬間がある。
奥山 「自分で、すぐ自分を許せる人間は、大した仕事をやらない」って。
米津 そうそうそう。やっぱり宮﨑さんはいろいろな作り手の横にいると思います。
──奥山さんにはエアーどなたがいらっしゃいますか？
奥山 それで言うと、叱咤激励ではないのですが、米津さんですね。創作をしていると、ずっと穴を掘っている感覚になるんです。作家の朝井リョウさんが言っていたのですが、いつも一人で穴を掘っているのだけれど、どこかのタイミングで耳を澄ますと、作家仲間たちが他の穴を掘っている音がうっすら聞こえてくるような気がする。それがもう一歩前に進もうという原動力になって、なんとか書き切れるという話をされていて。僕はものを作って辛いなぁというときに、でも米津さんも今きっとウンウン悩みながら机か楽器に向かって、ああでもない、こうでもないって生きているんだろうなって思うと、勝手に勇気をもらえます。昔、本当にしんどいことがあり、すごく追い込まれたときに、自分の作業場にいたら、朝5時に米津さんからLINEが来たことがあって。そこに書いてあったことはとても大切にしているので、あまり共有したくはないのですが、ざっくり言うと、奥山さんという作り手と出会えたことで、今の自分が生かされているような気持ちになるから、自分の前に現れてくれて本当にありがとうございます、というメッセージを、朝5時に米津玄師から受け取ったらもう！作り続けるしかないだろうと。しかも、僕が何かのMV撮影後に送ったLINEへの数カ月ぶりの返信で。このタイミングで！？って。
米津 その話は前も一回されたことがあって、それ以降ちょっと自分の中で連絡を送るハードルが上がりすぎて（笑）。
奥山 本当に何気ないことでもいいので送ってください（笑）。なので、僕にとって米津さんはそれぐらい大切な存在。米津さんが創作を続ける中で、僕が力になれることがあれば、いつでも連絡ください。
米津 ひとまずその言葉で十分うれしいです。

奥山由之

おくやま・よしゆき&gt;&gt; 1991年生まれ。映画監督、写真家。オムニバス映画『アット・ザ・ベンチ』で監督デビュー。主な写真集に『windows』（赤々舎）。Spotifyにてポッドキャスト番組『穴』配信中。

米津玄師

よねづ・けんし&gt;&gt; 1991年生まれ、音楽家、イラストレーター。ハチ名義でボーカロイド楽曲を発表後、2012年より本名で活動を開始。楽曲以外に、ジャケットのイラストや映像制作も手掛ける。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌「IRIS OUT」と、エンディング・テーマとなる米津玄師, 宇多田ヒカル「JANE DOE」を書き下ろし2025年9月リリース。2026年には「米津玄師 2026 TOUR / GHOST」を開催予定。

奥山由之×米津玄師 1991年生まれの“同志”が語る、刺激し合うクリエイション vol.3

銀座を遊ぼう！巡ろう！GINZA 11月号「THE GINZA BOOK」

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