今年ドーバー ストリート マーケットのサポートを得て、パリでデビューした〈マティエ フェカル/MATIÈRES FÉCALES〉。ブランドを手がけるカナダ出身のアーティストデュオ、スティーブン・ラージとハンナ・ローズによる「フィーカルマター」が来日し、10月25日、ドーバー ストリート マーケット ギンザのイベント「オープン ハウス」でショーを行なった。
「排泄物」を意味する単語をブランド名に掲げる、パンチのあるヴィジュアルの2人だが、実はとても気さくな人柄。今回のショーやブランドの信念について、熱く思いを語ってくれた。
保守主義が台頭する今こそ、表現の自由を追求する
注目の新ブランド〈マティエ フェカル〉のデザイナーデュオにインタビュー

──今回のショーはどのような経緯で実現したのでしょうか?
ハンナ ドーバー ストリート マーケット ギンザが「オープン ハウス」で「何か特別なことをしたい」と言っていたので、「私たちがショーを行うのはどうでしょうか?」と提案してみたんです。すると興味を持ってくれていろいろとサポートしてくださり、夢を実現することができました。
──なぜ日本でショーを行いたいと思ったのでしょうか。
スティーブン パリ ファッション ウィークでショーを行ないましたが、その後、さまざまなコミュニティとコレクションを共有したいと考えていました。1990年代から2000年代初頭にかけて、デザイナーたちがコレクションと共に旅をして、さまざまなショップでトランクショーを行なっていたのをご存知でしょうか。それをイメージしたんです。
ハンナ SNSが登場する以前の話ですね。
スティーブン オンラインだけではなく、対面で私たちの美学を提示し、コミュニティを構築することも重要だと考えています。それに、日本の文化に見られる美や精密さに共感してきました。私たちは「よそ者であること」をテーマとしていて、ファーストコレクションである2025-26年秋冬のタイトルは「THE OTHER(他者)」です。私は日本の文化は常に他者や独自の美にフォーカスしていると思うんです。
──フィナーレの曲が都はるみの「北の宿から」だったので驚きましたが…
スティーブン そうです!ハルミを昔からよく聴いているんです!
ハンナ 毎日聴いています!
スティーブン 私がこの曲を選んだんです。ハルミのアルバムのカバーの写真も非常に美しいですよね…日本の音楽が大好きで、多くの着想を得ています。
──日本でのモデルのキャスティングはどうでしたか?
ハンナ 本当に楽しみにしていました。DJ、アーティストのLewis G. Burtonや、Parma Hamといった友人たちには来日してもらいましたが、コズエ(秋元梢)をはじめ、日本でも新しいコミュニティを築けそうです。
Photo_Wataru Fukaya Text_Itoi Kuriyama


