ショーの来場客は、歌手のデミ・ロヴァートやキム・ペトラス、LOREN、俳優のジェナ・オルテガ、日本からは歌手の黒瀬ひなも駆けつけた。
──ブランドのDNAと新しい要素のバランスの取り方は?
クリエイティブ・ディレクターとして、私の名前がブランド名を超えてはならないと思っています。これはステファノ・ガリーチの物語ではなく、〈アン ドゥムルメステール〉の世界であるということ。ブランドへの敬意を持ち、ハウスのコードを守ることです。そしてお客さまの多くは、ブランドの過去に対する理解も深い。新しいビジョンを受け入れてくれるのは、現在と過去のバランスをしっかりと感じ取ってくれているからだと思います。
──ステファノさんはパンク、ロック、インディー、ガレージといった音楽の世界からファッションに入り、〈アン ドゥムルメステール〉も音楽との強い繋がりを持っています。音楽はデザインにどのような影響を与えていますか?
音楽は、私の創作の原点であり、今も中心にあります。幼い頃は楽器を学び、音楽が最初の表現手段でしたが、成長とともにファッションへと移行しました。それでも、ロックやパンクなどのアーティストから受けた影響は今も色濃く残っています。音楽性だけでなく、ミュージシャンが放つビジュアルや“ドレスコード”にも強く惹かれてきました。だからこそ、毎シーズンのショーではアーティストとコラボレーションし、コレクションのムードを音楽でも表現しています。
──ショーのサウンドトラックは、アーティストとどのように制作しているのですか?
毎シーズン、異なるアーティストと対話を重ねながら制作しています。インスピレーションやその時々のテーマ、共有する美意識をもとに、彼ら彼女たちが音楽を形にしています。私にとっては、サウンドトラックとコレクション、そしてアーティストとの間に一貫したストーリーがあることがとても大切なんです。
今回のイベントでは、イギリスのバンドThe Cultのヴォーカル、イアン・アストベリーとのコラボレーションによる前回コレクションのサウンドトラックをレコードとして発表しました。The Cultは私が10代の頃から強く影響を受けてきた存在で、今回のムードボードを完璧に体現してくれています。