2024年1月29日、イスラエルの攻撃下にあったガザで、パレスチナ赤新月社のボランティアが一本の緊急通報を受けた。それは、銃撃を受けた車内に取り残された、6歳の少女ヒンド・ラジャブからの電話だった。ともに避難しようとした家族は、すでに全員が亡くなっていた。赤新月社は電話をつないだまま、懸命に救出を試みる──。『皮膚を売った男』(20)、『Four Daughters フォー・ドーターズ』(23)でアカデミー賞にノミネートされた映画監督カウテール・ベン・ハニア(Kaouther Ben Hania)が、この緊急通報の記録をもとに作り上げたのが『ヒンド・ラジャブの声』(9月4日より公開)だ。ブラッド・ピット、ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、ジョナサン・グレイザー、アルフォンソ・キュアロンが製作総指揮に名を連ね、第82回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞し、アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネートされた。そして事件から2年半あまりを経た2026年8月19日、イスラエル国防軍はヒンドの乗っていた車への発砲を初めて認め、刑事捜査に着手すると発表した。来日した監督に話を聞いた。
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