前回（私と部屋 vol.115）ご登場の阿久津さんご夫妻にご紹介いただいたのは、STUDIO ALUC デザイナーの佐々木 洸奈さん。
🛋LIFESTYLE
私と部屋 vol.116 美しい情景と時間を感じるために
自ら手掛けた住まいで、ノイズレスな暮らしを
「設計事務所 TONERICO:INC.での勤務を経て、2020年よりSTUDIO ALUCとして独立。空間の設計から家具・インテリア・建築・ランドスケープまで多岐にわたり活動しています」
洸奈さんの暮らしの3ヵ条
1.整理整頓と掃除を心がける
2.よく食べ、よく眠る
3.クリーンな空気を保つ
自らデザイン・設計を手掛けたリノベーションハウスで暮らしています。庭に面した窓辺のソファは日当たりがよく、コーヒーを飲んだり、のんびり本を読んだりしてくつろぐのに丁度よいスペース。期間限定で預かっている実家の猫も、日向ぼっこするためによくここで寝そべっています。
こちらも吉田直嗣さんの器。こつこつ集めています。白と黒の対比やプロポーションが美しく、鋭いエッジが魅力的。
作り付けのソファ。空間全体に合わせた寸法感や座のクッションの柔らかさまでこだわって検討し、信頼のおける家具職人さんに特注製作をお願いしました。生地は大好きなデンマークのテキスタイルメーカー Kvadrat のもので、絶妙なグレーの色味と、触り心地の良さ、生地としてタフなところが決め手に。座面下をすべて収納にしたおかげで、整理整頓が楽に出来ています。
リビングダイニングから奥のキッチンまで間接照明を繋げています。遠くまで視線が抜けることで、実際の面積以上に広さを感じられるように。中央にあるダイニングテーブルもこの家に合わせてデザインしたもので、1番のお気に入り。空間の中でオブジェ的存在になるよう考えました。ダイニングに居る人とコミュニケーションをとりながら料理ができるところも◎。
（Photo by Satoshi Asakawa）
キッチンの天板とソファの背もたれの高さを揃えることで、すっきりとした見た目になるようデザインしました。程よい高さで、猫も楽しそうに歩いています。
「60㎡という限られた面積の中で、出来る限り広さを感じられるよう工夫して設計しました。住まいとしての機能・使いやすさは第一に、精神的な安らぎと静けさを基軸にデザインしています。空間全体の骨格からディティールに至るまで、例えば壁の塗装の色味や、巾木レス、床のタイル、引戸の形、コンセントの色や形・取付け高さなど…。少しマニアックですが、目に入る情景が心地よい程度のノイズレスになるよう設計しています」
解体工事によって現れたモルタル壁を残し、抽象的な水墨画に見立てている一角。空間はすべてを作りこみすぎると息苦しくなってしまうので、随所に遊びを残しています。キッチンはsanwa companyのグラッド45。オールステンレスで角ばった形が気に入っていて、メンテナンスもしやすく使いやすいです。
朝、掃除と換気をした後にお香を焚くのが日課。〈リスン〉のお香や、銀閣寺の東山のお香が好きで、ガラスキャニスターに香灰を入れて使用しています。
好きな作家さんを見つけて器を買いに行くことが趣味のひとつ。仕舞ってあるけれど、色んな作家さんのコレクションがたくさんあります。ダイニングの花器はおおやぶみよさんの作品。日々のお花は、近くのファーマーズマーケットで購入することが多いです。
ピーター・シャイアーが主宰するEcho Park Potteryのマグカップは、ひとつひとつ柄が違う一点もののデザイン。独特な形だけれど、実は使いやすく日常使いしているお気に入りの器の一つ。
ピーター・ズントーがデザインした調味料入れ。ずっと欲しいと思ったまま時が経ち、ついに廃盤になると噂を聞き、昨年在庫を探してなんとか3つ購入しました。有機的なフォルムが美しく、彫刻のような佇まい。オブジェとして、使わずに眺めて楽しんでいます。
キッチンからリビングダイニング側を見た様子。庭側からたっぷり入る自然光が心地よいです。
（Photo by Satoshi Asakawa）
自宅の写真を撮っていると熱い視線が…。いつもなんとなく監視されています。
洸奈さんの紹介する次回のゲストは、金光玲子さんです！
Edit&Text: saori uemura
