2025年5月30日から6月29日まで、スペイン・マドリードのティッセン=ボルネミッサ国立美術館にて、LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2025のファイナリストによる作品展が開催されている。開幕前日には、今年度の受賞者の発表が。GINZAはその授賞式を特別に取材。会場の熱気をお届けします。
LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2025、マドリードで開催
ファイナリスト30名の作品が一堂に集結!

故郷へ“帰還”
クラフトプライズの意義

〈ロエベ〉が、1846年に数人の職人による革工房としてスタートした起源への敬意から、2016年に設立されたこの賞。10年近くの歳月をかけて、世界のクラフト作家が憧れる国際的なプライズへと成長。ファイナリスト展は、第1回のマドリードを皮切りに、これまでロンドン、東京、ソウル、ニューヨーク、パリなど世界各地を巡回してきた。そして今回、第8回となる2025年展は、ブランドの故郷であるマドリードへと帰還した。
ロエベ財団 プレジデントであり審査委員長のシーラ・ロエベは、この回を「おそらく過去最も重要な回」と語る。「クラフトは〈ロエベ〉の出発点であり、本質そのもの。今回の開催は、クラフトプライズの“帰還”であると同時に、〈ロエベ〉の、そしてクラフトそのものの“帰還”でもある。スペインはクラフトの豊かな遺産を持つ国。だからこそ、この地での開催には特別な思いがあります」。
今年は、133の国と地域から4,600点を超える応募があり、厳正な選考を経て30名のファイナリストが選出。陶芸、木工、テキスタイル、家具、紙、ガラス、金属、ジュエリー、漆など、多様な素材と技法が集まり、審査は技術、創造性、芸術的なビジョンなどの観点から行われた。今年は、伝統的な技法に新たな素材や解釈を加えた作品が多く選ばれているのも特徴だ。授賞式では、グランプリが1名、特別賞が2名発表された。
Text&Edit_Ko Ueoka