トーキョー=カワイイが広まった2000年代の広告。ねじれた方向に突き抜けたカルチャーが世界を魅了!

トーキョー=カワイイが広まった2000年代の広告。ねじれた方向に突き抜けたカルチャーが世界を魅了!

2000s

トーキョー=カワイイカルチャーが一気に広まった2000年代。アニメ、マンガ、オタク、ゴスロリ、シブヤ……。ねじれた方向に突き抜けたカルチャーの数々は、新世紀の秘境のように世界を魅了した。もちろん東京ではそんなガラパゴスカルチャーが百花繚乱。LAセレブブームが飛び火した赤文字系ギャル、極北のゴスロリ、癒し系の森ガールと、なんとなくガーリーなムードが気分だった。毒っぽさすら漂う極彩色の写真で、女子の支持を得た蜷川実花を起用したルミネの広告が、この時代の女の子像を物語っている。

2000s

 

パルコ

2000年代に入るとコミュニケーションも変化

若者が日常的に訪れるショッピングビルとして浸透した渋谷パルコ。時代が変わればコミュニケーションも変わる。クリエイティブディレクター佐藤可士和は、従来の写真+コピーの形式をやめ、シンプルなメッセージをグラフィックのみで表現。また、現在もパルコの広告に関わり続ける箭内道彦が初めて手がけたのは2001年、広島パルコのポスターだった。

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2005年   「PARCO SAYS,」 AD: 箭内道彦 Photo: 重森豊太郎

ファッションアイコン 木村カエラが広告に登場

2005年秋冬キャンペーンのモデルとして抜擢されたのは、当時メジャーデビューしたてで注目を集めていたミュージシャン木村カエラ。クリエイティブディレクターは箭内道彦。「自分探しと服探しどっちが簡単???」「ケータイの画面見るのと同じ回数ニッコリしたら友達増えるよ」など、ポップな手書き文字で、若者の何気ない話し言葉が描かれている。

 

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2002年   「NO MORE IMAGE! PARCO」 AD: 佐藤可士和

佐藤可士和によるグラフィック宣言

写真とコピーが主流だったそれまでの広告のイメージを一新。2002年に佐藤可士和が打ち出したのは、文字通り「NO MORE IMAGE!(=イメージはもういらない!)」という大胆なメッセージ。シンプルでありながら迫力十分の佐藤のグラフィックは、グランバザールでも多く展開され、パルコの広告の新しいスタイルが誕生した。

 

ラフォーレ原宿

03年まで続いた大貫卓也による広告からバトンタッチしたのが、キラ星のごとく現れた野田凪。ダークファンタジーの世界観が、当時の女子にロックオン。その一方、グランバザールなど季節の広告は気鋭のディレクターが担当、新人の登竜門的な場に。

5.0.2 JP ラフォーレ原宿   2001年 リニューアルオープン「Giant Bra」

ロスに落下した、本物の巨大ブラ!

ラフォーレの大リニューアルに合わせた広告は、巨大ブラジャーがロサンゼルスの街に落ちているというハプニングが話題をさらった。巨大セットを作り、合成など一切していないというから驚き。

 

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ラフォーレ原宿   2002年   イメージ 年間広告「Billboard」

イメージ広告への、アイロニカルな一発

ビルボードを広告キャンペーンの主役にしようと考えた大貫。白紙のビルボードに、インスピレーションでペンキをぶちまけて「今月のラフォーレはこんな感じです!」をそのまま広告にしてしまった。イメージ広告のクリエイションを俯瞰したこの作品は、大貫が日常的に行っているデザイン行為を自ら揶揄するかのよう。

 

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ラフォーレ原宿 2003年 イメージ春「ベロ」

 

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ラフォーレ原宿   2003年   イメージ秋「想像妊娠」

女子のロマンス妄想が突っ走った、摩訶不思議なストーリー

長〜く伸びた舌がインパクト大なビジュアルの「ベロ」。野田は“春”から女の子が憧れる恋や結婚をイメージ、彼氏もいない少女が結婚式を夢見るストーリーを考えた。けれど、実際は妄想が過ぎてベロがバージンロードになっちゃって……というなかなかエグい展開に。秋になると、同じ女の子が想像妊娠してしまい、たくさんの人を産むという、これまた奇想天外なストーリー。よく見ると生まれた人形の人種や世代は多種多様。みんな女性から産まれてきたという人類愛のメッセージが込められている。このぶっ飛んだアイデアこそ、野田節。

 

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ラフォーレ原宿   2001年   イメージ春「ハル」

女の子による女の子のための広告

大貫が年間広告を続けるなか、01年からラフォーレの季節の広告を担当し始めた野田。女の子が作る女の子のための広告を意識した可憐なビジュアルだけれど、実はこれ本物の枝毛に花と蝶をあしらって撮影したぎょっとするひねりを利かせた一品。

 

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ラフォーレ原宿   2004年   イメージ秋「ファッションショー1」

アニマルになっちゃうファッションショー

2004年の秋とクリスマスのテーマはファッションショー。アニマル柄の流行を受けて、柄ではなくシルエットが動物になる10体の服をデザイン。同じ服を真っ黒にした影ヴァージョンも作っている。同じテーマでCMも制作、実像と影が並んで歩く姿が圧巻だった。

 

ルミネ

ゼロ年代を象徴するファッションビルの広告といえばルミネ。意外にも、始まったのは2000年代から。蜷川実花が撮る美少女の姿に、尾形真理子による等身大の女子がいかにも思いそうなコピーが添えられた広告は、女子のハートをわしづかみ。日記から飛び出したような言葉はSNSで一気に拡散され、女子の心の声としてシェアされた。

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ルミネ   2008年 「あなたのために着てきたのにあなたじゃない人ばかりに褒められる」

蜷川カラーのお花と美少女に、女子のあるある言葉。テッパンの組み合わせ

女子なら誰でもきゅんとしてしまうピンクのお花に包まれた美少女。そこに添えられたコピーは「あなたのために着てきたのにあなたじゃない人ばかりに褒められる」。誰でも一度は思ったけれど、でも人に言うほどでもない、一瞬心に浮かんだ気持ちがニクいほどうまく表れている。

 

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ルミネ   2008年   「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」

ルミネといえば、この名コピー

駅でこのコピーを見てハッとした人は何人いるだろう? 考えたことがなくても、女子なら共感できる同時代感がルミネのコピーらしさ。たった一言で、新しい服を買う理由(言い訳?)ができたり、なぜだか背中を押されているような気分にさえなる。ルミネのコピー人気を受けて、尾形はこのコピーと同名の小説を出版することに。

 

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ルミネ   2009年 「何を着てもかわいくない日も、たまにはあるけど」

写真とコピーのアンビバレントなバランス

写真と言葉が一体となって目に入ってくるのもルミネの広告。実際、蜷川と尾形は共同で作業しながら広告を作り上げていくそう。一見ネガティブなコピーも、抜けるような青空を見上げる女の子とあわせて見れば、気分も一新、元気が出る言葉に変身するから不思議。

 

パルコ

池袋に続き、1973年に渋谷パルコが開店。ファッションだけでなく、劇場やギャラリー、ライヴハウスも運営、ユースカルチャーを全体として発信し続け、渋谷を若者の街にした中心的存在。現在は2019年の再オープンに向けて一時休業中。 shibuya.parco.jp


ラフォーレ原宿

1978年開店。原宿=ファッションの街のランドマーク的存在。DCブランドブームを生み、バーゲンの行列が風物詩になるなど、流行の発信源でもある。クリエイターの発想が自由に発揮できる一風変わった広告も含め、強烈な個性がポイント。 www.laforet.ne.jp


ルミネ

1976年に新宿にルミネが開店したのが始まり。駅ビルとして営業していたが、2000年頃にファッションビルへと華麗な転換を図る。駅直結の利便性と買いやすい価格帯が人気を博し、一躍日本有数のファッションビルに。 www.lumine.ne.jp

Cooperation: PARCO, Laforet HARAJUKU, LUMINE, NEWoMan
Photo: AFLO, amanaimages, Getty Images
Text&Edit: Satoko Shibahara, Satoko Muroga

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GINZA2017年7月号掲載

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