25 Feb 2023
恋をするひとの生真面目さ、どうしようもなさを描いてきた 島本理生『憐憫』|G’s BOOK REVIEW

2月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする新刊をご紹介。
『憐憫』
島本理生
(朝日新聞出版/¥1,540)
20代後半にして仕事に行き詰まりを覚えている女優の沙良は、出会い系バーで知り合った年上の会社員・柏木と逢瀬を重ねるようになる。礼儀正しく接する彼の内側に自分と響き合うものを感じ、素性をなにひとつ知らない不安も、夫への罪悪感も手放して柏木を求める沙良。やがて彼女が知ったのは──憐れみと愛情の間を行き来する甘美な時間のなんと残酷なこと。恋をするひとの生真面目さ、どうしようもなさを描いてきた著者の本領発揮の中編。
Recommender: 北村浩子
ライター、フリーアナウンサー。BTSのリーダー、RMのソロアルバム『indigo』がすばらしく、毎日聴いています。
GINZA2023年2月号掲載