見過ごしてしまうような風景も、作品の中ではいつもとは異なる表情に映るもの。GINZAでおなじみのライター陣が紹介するのは、実在の場所が登場するおすすめの作品。思わずロケ地巡りに出かけたくなる、あのシーンの舞台、ここなんです!
🎨CULTURE
移動しながら見える東京の駅模様。あのMVの舞台になったのは? chelmico『COZY』
「COZY」(21)
chelmico
吉祥寺駅から井の頭公園まで(東京都武蔵野市)
忙しない毎日の中でふとできた予定のない1日を、気の赴くまま快適なことだけをして過ごす。そんな日でもないと何がしたいとか自分がどんなものを好きなのかを忘れてしまうよね、とゆるいムードのラップが心地よい。chelmicoの「COZY」は、イギリス在住のフィルム・ディレクター木村太一が監督。
舞台となるのは、2人が普段から遊んでいる吉祥寺。駅前の繁華街を通り過ぎて井の頭公園で桜を眺め、行きつけの古着屋さんにセイハロー。プリクラ撮ってハモニカ横丁でごはんを食べるのもいいけど、やっぱりTONY’Sでチーズたっぷりのピザかな、とおしゃべりする声が聞こえてきそう。定番のスポットだけれど、意外と実現することが少ない羨望のコース。街で友達にばったり遭遇してその流れで一緒に過ごす。そんな“普通”の日常が普通ではないことも、好きなお店や目に映る景色が当たり前にずっとそこにあるとは限らないことも知ってしまった私たちだから、いつもの街をただ歩く素の時間もきっと特別になる。
「COZY」(21) chelmico ワーナーミュージック・ジャパン
Illustration: Toshikazu Hirai Selection&Text: Reira Okuhama Edit: Tomoko Ogawa