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戸田恵梨香×永野芽郁『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』チェック決定!志の低い警察官が素敵な1話

戸田恵梨香×永野芽郁『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』チェック決定!志の低い警察官が素敵な1話

一見クールな戸田恵梨香のもとにほわほわした新人、永野芽郁が配属されて、交番勤めの仕事ライフが開幕。人気漫画原作の『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(日本テレビ、毎週水曜22時)の不思議なリアルさが見逃せないと話題です。ドラマを愛するライター、釣木文恵が第1話を振り返ってみました。


令和に生まれた新しい警察ドラマ

刑事ドラマはここまでユルくなったのか! と目を瞠るドラマだ。正確には主役は刑事ではなく交番勤務だから「交番ドラマ」か。

先週スタートした『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(日本テレビ)。交番勤務のひよっこ警察官・川合麻依(永野芽郁)と、刑事課から交番に異動してきた藤聖子(戸田恵梨香)。ペアを組んで交番の仕事に取り組むことになった二人の日々を描く物語。

昭和の頃、警察を描いたドラマといったら、ハードボイルドな刑事たちが毎週起きる事件の解決に奔走し、銃撃戦を展開し、派手なカースタントを繰り広げるのがお決まりだったように思う。『あぶない刑事』は刑事同士のやりとりは軽妙だったけれど、キメるところはキメるスタイリッシュなドラマだった。大ヒットを記録した『踊る大捜査線』では、一警察官が警察組織の中でどう理想を実現していくかを描いた。ここでは出世や保身が第一の警察官たちも時にコミカルに描かれた。以来、警察を描いたドラマはさまざまな発展を遂げ、そして令和の世に生まれたのがこの徹底的にユルい『ハコヅメ』だ。そういえば1話にはちょっとしたカーアクションがあったけれど、その内容は犯人追跡ではなく、ひったくり犯の元へたどり着くまでの交番と刑事課の内輪の小さな諍いだった。

かつてないほど志の低い警察官

主人公の川合は「安定している公務員だったら何でもよかったけど、警察にしか受からなかったから」警察官になったという新人。彼女と組むことになった藤は刑事課のエースだったものの、パワハラで異動してきたというワケありの警察官。組んで早々、パトロール中に不審者を捕まえる藤に対し、「刑事課は怖いからあまり連絡したくない」なんて温度感で働く川合は、「頑張れば頑張るほど嫌われる仕事」である警察官に嫌気がさし、辞めたがっている。

違反切符を切っては暴言を吐かれ、犯人を追っては足がもつれて転び、うまくいかないことだらけ。時折、空き巣に純粋な興味で質問していくうちに空き巣がスルスルとこれまでの罪を供述してしまう「北風と太陽」みたいな展開もあるけれど、やっぱりつらいことの方が多い。私たちが「会社に行くの、嫌だな」と思うのとまったく同じ感覚で仕事に取り組んでいる。ドラマでここまで志の低い警察官が描かれることは、そうそうないかもしれない(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津勘吉も志の低さでいえばなかなかだけど、別のベクトルの計り知れないパワフルさを備えているのでここでは置いておきたい)。でも、だからこそ共感できる存在だったりする。

 

「通常点検」のリアリティとグルーヴ感

見事だったのは「通常点検」シーン。警察官の規律を保つため、署長の前で警察手帳や手錠などの点検をするという、実際にある行事らしい。きちんとしなければならない儀式的な場だからこそ、うまくいかなかったときに仲間同士で心の中でツッコミ合い、笑いを我慢して変な空気になってしまう。その様子が交番署長・伊賀崎を演じるムロツヨシをはじめとする手練れたちによってテンポよく運び、表情と心の声だけで笑いを生む名シーンに仕上がっていた。

この「通常点検」回は泰三子による原作マンガ(『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』)でもとりわけ人気の高いエピソード。自身が10年間の警察官生活を経験しているからこそ生まれた、これまでには描かれなかった警察官のリアリティだ。原作ではリハーサルや並び方なども描かれていたが、ドラマでは手錠飛ばしパート(原作で手帳を飛ばすのはドラマで西野七瀬が演じている牧高)と警笛にキュッと絞り、グルーヴ感を生み出した。原作では6巻に収録されているこのエピソードを1話に持ってくるあたり、このユルさとリアリティこそがこの作品の肝だというドラマ制作陣の意志が見える。

 

戸田恵梨香と永野芽郁のいい関係性

ここまでユルく展開するからこそ、クライマックスのシリアスさが光る。1話ではいつも自殺をほのめかしては通報してくる「常連」の市民(森田甘路)が実際に自殺を図ってしまう。「どうせいつものことだろう」と反応のない彼の家から帰ろうとする川合に、「警察の通報には虚偽通報やくだらないものも多い。でもそれに対応する私達は、いつだって本気じゃなきゃダメなの」と藤が部屋に突入し、彼を助ける。さらに落ち込み、やはり辞めようとする川合の元に彼の母がやってきて、日々彼に声をかけていた川合に感謝を伝える。藤は「警察官の顔じゃない川合だからこそ、できることがある」と声をかけるーー。

1話を振り返って特筆すべきは、やはり戸田恵梨香の演技だろう。3月まで放送されていた『俺の家の話』(TBS)でもそうだったけれど、演技のチャンネルを大きく変えることなく、コミカルからシリアスまでをシームレスに演じられる彼女。刑事課のエースという肩書きに説得力を与えられる存在感。原作でもあまり表情を変えることのないままとんでもないことを言ったりやったりする藤にぴったり。彼女が藤という役を成立させているから、その下で永野芽郁がやる気のない新人という役柄を振り切って演じられているように見える。役の上でも、演技の面でも二人はいいペアになりそうだ。

 

『ハコヅメ』公式サイト(日本テレビ)

脚本: 根本ノンジ
演出: 南雲聖一、丸谷俊平、伊藤彰記
出演: 戸田恵梨香、永野芽郁、三浦翔平、山田裕貴、西野七瀬 他主題歌: milet「Ordinary days」

Profile

Writer 釣木文恵 つるき・ふみえ

ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
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Profile

Illustrator たけだあや

イラストレーター、ときどき粘土作家。趣味の多い京都府出身。
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Edit: Yukiko Arai

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